私たち親世代の終業式はその時間さえやり過ごせば、夏休みが始まる楽しい日でした。しかし、新型コロナウイルスによって式典がすっかり様変わりしたようです。今回は、息子に聞いて驚いたコロナ禍での終業式の様子をお話しします。
学校の式典名物アレがない!?
私にとっての終業式は、体育館に全校生徒が集まり、校長先生の話を聞く行事でした。校長先生の話って本当に長いですよね。生徒は飽き飽きしているのに、楽しくお喋りする校長先生は、脱線に脱線を重ねて余談ばかりで… 他の生徒にちょっかいを出して先生に怒られる同級生が必ず1人2人いました。私も集中できず、話を聞くふりをしながら校長先生を睨み「早く終われ~」と念じていたことを覚えています。
小学校に入ったばかりの息子も、さぞうんざりしているのではないかと思い、聞いてみました。
「終業式のとき、校長先生の話長かったでしょ?」しかし、息子はぽかんとしています。
「えっ校長先生の話? なかったよ!」と、何のことやらわからない様子。まさかそんな、式典名物「校長先生の長話」が存在しないなんて! 驚いた私は、終業式の様子を息子に詳しく聞いてみました。
コロナ禍の終業式は効率主義
息子の終業式は、校内放送で行います。生徒は各教室で静かに放送を聞くのが基本。感染症を防ぐため、教室内での会話は控えるよう指導されている生徒たちは、誰も口を開きません。自分の机に座り、校内放送に耳を傾けます。
放送の声に
「みなさん、おはようございます」などと語りかけられたら、クラスで声をそろえて
「おはようございます」と返すそうです。もちろん「おはようございます」の返事は、放送室にいる先生へ届かないわけで。校内放送での式典経験がない私には、教室の光景が不思議に思えました。
放送で流す内容は、これから始まる夏休みの過ごし方が中心。その他は、熱中症対策や子どもだけで出かけてよい地域、不審者に関する警戒といった話題です。もしかすると注意事項を話したのが校長先生だったのかもしれませんが、息子は校長先生の声を覚えていないため、真相はわかりません。
最後は、スポーツ大会などで優秀な成績をおさめた生徒のクラスと名前を発表します。おそらく表彰式代わりなのでしょう。息子たちは名前を呼ばれた生徒に向けて拍手し、式は終わったとのことです。新しいスタイルの終業式で何より驚いたのは、その所要時間。朝の会の時間に終業式を行ったそうなので、10分~15分程度です。終業式後は5時間授業をし、通常の下校時刻に帰ってきました。もちろん給食も出ます。
そういえば私たち親世代の終業式は、半ドン。午前放課でした。いつ感染者が増えて授業が滞るかわからない状態で、半ドンは復活しないでしょう。式典のシステムも効率的に変わったのだなあと驚きました。
校長先生の顔を知らない息子
現在小3の息子、小学校の式典は校内放送で行う状況が続いています。校長先生を見かける機会はほとんどなく、息子は校長先生の顔も名前も「知らない」と言います。
式典で出てこない校長先生の顔を覚えられるわけがありませんよね。
私にとって学校の式典は遥か昔の出来事ですが、長話をしていた校長先生を睨んでいたせいか、未だにぼんやりと顔を思い出せるのですが…。無駄を省き、効率よく変化した終業式。コロナ禍でも工夫して式典や行事を行ってくれる学校の努力はありがたいと思います。しかし、親世代にとって印象深い「校長先生の長話」を、子ども世代が知らないことに少しの寂しさを感じるのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)