猛暑日の午前中。1歳の娘に3階のマンションのベランダに閉めだされた私。部屋にクーラーはかかっておらず、1歳の娘ひとりだけ。まさかの展開、ぜひご覧ください。
猛暑日の朝
3階建てのマンションに住んでいたころのお話です。当時、娘は1歳。動きも活発になり、家の中でもケガがないように気を付けていました。ある猛暑日の朝9時頃、暑くなる前に洗濯物を干そうとベランダに。窓を開けたまま、部屋にいる1歳の娘の相手をしつつ干していました。すると「バン! カチャ」と音が。驚いて娘を見るとニコニコして窓際に。
開けていたはずの窓が閉まっています。
「窓は締めない〜」と言い開けようとしたら
「うそ! 鍵がかかってる」娘は窓を閉めただけでなく鍵までかけていました。急いで隣りの窓にいき開けようとしましたが…。
「… やばい」隣の部屋の窓も、しっかり施錠。
このままだと娘が危ない!
部屋には1歳の娘だけ。人が訪ねてくる予定もありません。さらに気温はあがります。ダメだ! 部屋のクーラーついていない…。慌てた私は、娘に
「ここ開けて!」と、ジェスチャーを交え開けさせようとしました。しかし、1歳の娘は私が遊んでいると思い、窓の向こうでキャッキャッと喜んでいます。鍵の閉まりの甘さに期待し、窓を上下にガタッガタッと動かしてみました。すると娘は異変を感じ、泣き始めてしまったのです。
泣くと体温があがり、体力が削られるため、熱中症の危険が増します。私は、思い切ってベランダから隣の住人に助けを求めました。すると隣に住んでいる、30代の奥さん(Aさん)が
「どうしました?」と驚いた表情でベランダに出てくれました。急いで事情を話し、Aさんから携帯電話を借りて、主人と母に電話をかけました。当時の主人の会社と私の実家、私達夫婦の家の距離は近く、母が主人から鍵を受け取り家に来ることに。
電話の向こうの主人は、事の重大さに気付かずのんびりしていましたが、母は電話から聞こえる孫の泣き声に、焦っているようでした。電話をかけ終わるとAさんが、冷たいお水をくれました。普段、ほとんど接点のないAさんからの優しさと冷たいお水で、少し落ち着いた私。まずは泣いている娘を落ち着かせるため
「にらめっこしよう!」と変顔を披露。娘の状態の変化に気をつけつつ、手遊びで娘の気を引いていました。窓越しから時計をみると10時半過ぎ。窓が閉まってから約一時間。暑さの中、小さな胸を不安で一杯にしているであろう娘のことを考えると、ツラくて仕方ありませんでした。
まさかの結末
間もなく、11時を迎えようとしたとき…。「ガチャ」なんと、娘が鍵を開けたのです。正確には「鍵を開けた」のではなく、鍵のかけ方があまく、娘が偶然振り下ろした手に当たって開いたようでした。急いで部屋に入ると、すでに部屋も暑くなっていて、ゾッとしました。娘は泣いていたこともあり、全身汗だくの状態。顔も赤くなっていました。再度号泣する娘を抱きしめてケガがないか確認。すぐお茶を飲ませて汗を拭き着替えさせたのです。
数分後。ガチャガチャ… カチャ
「大丈夫?! … あれ?」と、慌てながら母が部屋に入ってきました。娘は何事もないかのように笑顔で、私は抜け殻のような状態で、母を迎え入れたのです。
「よく聞く話しだけど、まさか身近で起こるとは…」と、母と主人は同じことを言っていました。この一件以来、洗濯物をベランダで干すときは、補助キーで逃げ道確保することに。子どもは予想のつかない行動をすると実感した出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/なちりん)