私の不妊治療は、思いがけず突然始まった。不妊治療を始めたきっかけとは?

一般的に不妊治療は夫婦生活を普通に行って、1年経っても妊娠に至らなければ始めた方が良いと言われています。若い夫婦なら、二人の時間をゆっくり楽しんで自然に妊娠するのを待つ、それで良いと思います。ただし年齢が上がるほど、妊娠は難しくなるし、染色体の異常や流産の確率は上がります。年齢と妊娠の関係性について勉強している方は、結婚と同時に不妊治療をスタートする方も少なくありません。不妊治療は望んで始める人もいれば、私のように思いがけず治療を始めることになるケースもあります。今回は私が不妊治療を始めることになったきっかけについて書いていきたいと思います。

出典:写真AC
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結婚と同時に生理が止まった!

私はテレビやラジオ、イベントの司会のお仕事などをさせていただいています。とにかく生活が不規則になりがちです。以前は夜12時まで生放送の番組を担当していて、家に帰って寝るのは深夜2時。翌朝は5時半に起床して7時集合でテレビのロケ、といった感じのスケジュールの日も多く、睡眠不足の日も多かったです。それでも、生理のサイクルは順調な方だったし、年に一度の子宮がん検診などもちゃんと受診していたので、将来“不妊”に悩むことになるなんて思ってもみませんでした。 私が結婚したのは34歳。35歳の誕生日も迫っている頃でした。入籍と同時に夫と同居を始めました。その頃、私の仕事のペースは独身時代と同じような不規則なもの。一方、夫は朝6:30頃には家を出ていく生活ペースでした。「結婚したからには、早起きして、夫に朝ご飯を作ってあげなくちゃ!」そう意気込んで、前夜が仕事でどんなに遅くても早起きして朝食を作る生活に。夫を送り出した後、時間に余裕があれば、2度寝して睡眠時間を確保していました。 が、そんな生活が祟って、順調だったはずの生理が止まってしまったのです。初めは「お!いきなり妊娠したか!?仕事、どうしようかな!?」なんてお気楽に考えていたのですが、市販の妊娠検査薬を使ってみたら“陰性”。あれ?となって、即、婦人科を受診しました。

婦人科を受診した結果、タイミング法スタート

結果はストレスによって、ホルモンバランスが乱れているというものでした。これまで不規則な生活でも生理は順調だったのに、花の新婚生活がストレスだなんて…。夫にはどう説明しよう?といきなり頭を抱える羽目に。医師には、「子供が欲しいなら、ホルモンバランスが乱れていると、ちゃんと排卵されない可能性があるので、排卵誘発剤を服用して、このままタイミング法を始めてみてはどうか?」と提案されました。 タイミング法?結婚してから1か月でいきなり妊活の為に何らかの治療をすることになろうとは思ってもいなかったので、動揺しました。しかし、その頃には35歳の誕生日を迎える時だったので、すぐに妊娠しても“高齢出産”扱いになります。子供を作るなら兄弟も産んであげたい。ならば第一子は少しでも早いにこしたことはありません。 排卵誘発剤は生理のタイミングに合わせて、薬を飲むことで、女性ホルモンを安定的に補助してくれるので、ちゃんと卵子が育って、排卵されるというもの。特に難しいものではなくて、本来の身体の働きを薬で助けてもらう、くらいのイメージでしょうか。排卵のタイミングに合わせて、夫婦生活を行うというのがタイミング法です。この程度の治療なら、と服用を始めてみることにしました。 その結果、私は普通の夫婦生活による子作りを1年もすることなく、わずか結婚1か月で不妊治療のスタートラインに立つことになったのです。この頃は、まだ気楽に考えていたし、こんなに不妊治療と長く向き合うことになるとは思ってもみませんでした。 それと同時に無理して早起きすることも止めて、しっかり睡眠時間を確保し生活リズムを整える事と、働き方についても考えることになりました。

もっと早く結婚について考えておくべきだったかもしれない

これから結婚を考えている方の少しでも参考になればと、私の結婚のきっかけについても少しお話しておきたいと思います。20代はとにかく仕事が楽しかった!目標をもって挑戦し、認めてもらえたり、大きな仕事を任せてもらえるようになったり。とにかく仕事が楽しかったんです。周りの友人も20代のうちに数人は結婚しましたが、結婚より、仕事や友人と過ごす時間、旅行などの趣味の時間が楽しくて仕方がありませんでした。結婚は30代になったら、ぼちぼちでいいかな?多分、そのうち素敵な人と出会った時に結婚するんだろうな~と、漠然としか考えていませんでした。 ところが私が31歳の時に、父が急逝しました。花嫁姿も孫の顔も見せてあげられていないのに…。その時に初めて「こうやって家族って一人一人減っていくんだな~。私は一人で生きているわけじゃなかったんだ。自分の家族を作らなくては。」と結婚を本気で意識するようになったのです。 「結婚は地獄だよ」なんて言う大人も周りにはいました。それまでは、確かに結婚したら財産は共有物になり、家事などの負担が増え、独身時代のような自由がなくなるというデメリットばかりが目についていたので、面倒くさいことは先送りしよう!という意識も働いていたのかもしれません。 それから3年後、ようやく「この人となら楽しい家族が作れそう。一緒に生きていきたい。」と思える人と出会い結婚しました。34歳の時でした。誤解のないように言っておくと、私の場合は、今の夫との出会いを早めることはできないので、このタイミングでの結婚しかあり得なかったのですが、もっと結婚について早くから意識していれば、運命が変わって夫との出会いも早くに訪れた可能性もあるかもしれません。誰もが子供を望める年齢のうちに生涯のパートナーと出会えるわけではないですから、ここが女性の人生の難しい所だな~とつくづく思います。

周りの大人の「大丈夫だよ」を信じすぎるな!

「結婚をそろそろと考えたい、子供も欲しい」と周囲の既婚・子持ちの人生の先輩に話すと決まって「まだ全然焦らなくていいよ~」「まだ若いじゃん」「40歳過ぎても全然大丈夫だよ~」と言う人ばかりでした。焦らすまい、と善意での言葉だったはずですが、誰一人として、「子供が欲しいなら、少しでも早い方がいいよ」とアドバイスしてくれる人はいませんでした。

出典:参照:David B.Dunson.et al.Human Reproduction.2002, 内閣府「妊娠適齢期を意識したライフプランニング」

ちょっと、このグラフをご覧ください。年齢の進行とともに、わかりやすく妊娠率は低下していきます。男性の年齢が女性より5歳上のグラフの方法が成績が悪いことからもわかるように、男女ともに年齢が上がると妊娠が難しくなってくる、これが現実なのです。周りに高齢出産をした人がいたり、芸能人の高齢での妊娠や出産がニュースになる度に「あの人も妊娠したじゃん!」「私も大丈夫なはず!」と勘違いしてしまいそうになりますが、それはほんの一部の人にだけ訪れる奇跡なのです。 今振り返ってみると、当時は素直に「大丈夫だよ」という気休めの言葉を受け入れていましたが、結局、結婚するとかしないとか、子供が欲しいとか欲しくないとか、他人事ですから、大人は波風立てない当たり障りのないアドバイスしかしたくないのです。誰も相手を不安にさせるような事実を、自分のエネルギーや時間を割いてまで言わないものなのです。 人は心理学的にも“楽なこと”や“自分が信じたいこと”を信じる習性があるようです。大変な道は誰だって避けて通りたいですからね。優しく「大丈夫だよ」って言ってもらって安心したいですよね。わかります。私もそうだったから。 でも!だからこそ!誰も言ってくれないことを、ここでは私が口を酸っぱくして言いたいのです。根拠のない気休めの「大丈夫だよ!」という言葉を信じて、現実と向き合う事を先送りにしてはならない!私自身、その言葉を信じすぎて甘んじて、“結婚“と向き合う事を先送りにしていたと反省しています。

結婚・出産・不妊・仕事のバランスを取るには知識が大切

もちろん、とにかく早く結婚しろ!と言っているわけではありません。誰もが皆、妊娠や出産が可能な年齢で生涯のパートナーに出会えるわけではありません。そもそも結婚に興味関心がないという方もいるし、それは個人の自由ですから。 でも、もし「いつか結婚して、子供が欲しい」と思っている読者の方がいたら、私は「焦らせるわけじゃないけど、年齢重ねるほど一般的には妊娠が難しくなってくるから、子供欲しいなら早めがいいよ」と声を大にしてアドバイスしたいです。 女性は出産適齢期とキャリアが脂にのる時期が重なってしまいがちです。勤務先の雇用環境が整っていない限り、出産や不妊治療でキャリアを諦めなくてならない女性も多い。でも時代は少しずつですが、変わっていくし、変わるべきタイミングにきていると個人的には感じています。不妊治療費用の保険適用への動きだったり、男性の育休取得制度だったりもその一環です。 その仕事は、本当に今しかできないものなのか?出産を先送りにしたことを後悔することはないか?出産後に社会復帰しやすくするために、今やっておくべきことは何か? 若い女性は生理が毎月なくても、それが当たり前だと思っている方が多いそうです。低体温期や高体温期って知っていますか?妊娠しやすいタイミングっていつなのか正しく説明できますか? 若い世代の方が、もしこの先、結婚や出産を望むのであれば、安易に先送りにするのではなく、しっかり情報収集して、正しい知識を持って妊娠や出産のための体作りもしておくこと、そして賢く自分のライフプランを練って欲しいと思うのです。もちろん、人生思うようにいかないことが多いですが、きっとコントロールできることだってあるはず。仕事も家族も夢も、自分の納得のいくバランスで生きていけるように、まずはしっかり知識を持つことから始めてみませんか? 次回からは具体的な不妊治療の内容について書いていきます。是非、お付き合いくださいね。

ファンファン福岡で不妊治療日記始めます。私が不妊治療について書く理由とは?

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡を拠点にフリーアナウンサー・タレントとしてテレビリポーター、イベントMC、ラジオパーソナリティ、コラム執筆など多方面で活躍中。健康管理士、食生活アドバイザー。自身の不妊治療の経験を通して、より多くの方に不妊治療に対する理解を深めて欲しいと発信している。

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