私が20代半ばの頃に勤めていた職場には、明るく気さくで、仕事がとてもできる小柄な40代の女性(Aさん)がいました。Aさんは私と同じ頃に入籍していて、お互いに新婚同士ということもあり、仕事内容以外のプライベートな話もする仲に。そんなある日、「Aさんと合わないかも…」と感じる出来事があったのです。
周囲に助けてもらった妊娠初期
私は当時妊娠初期で、常に気持ち悪い状態の中、片道1時間以上の道のりを自分で運転をして出勤していました。職場は人数が少なく、1人あたりの業務が多かったので、つわりで休めるような環境ではありませんでした。
しかしある日の朝礼で立ちくらみがして、私は倒れてしまいました。そして3週間、自宅療養するように医者に言われたのです。
元々旦那の方が私より早く帰宅すること、私の体調が悪いこと、そもそも旦那が料理好きなので、食事の用意は旦那がしてくれました。
仕事では、私の業務をAさんが担当してくれたので療養に専念することができました 。復帰した時は、仕事が増えた不満など一切言わず、いつもどおり温かく迎えてくれたAさん。赤ちゃんと私の心配もしてくれて、本当に感謝の気持ちと申し訳なさでいっぱいでした。
求めていないアドバイスが始まる
お腹が目立つようになった妊娠中期、やっとつわりが楽になりました。その頃、Aさんと結婚生活について話す機会がありました。目を輝かせながら、食いつき気味に話すAさん。
Aさん「毎日、料理してるの?」
私「いえ、旦那がしてますね」
Aさん「え、何で作らないの?」
私「妊娠してから嗅覚が敏感になって、ご飯の匂いがしんどいのもありますけど… 旦那の方が早く帰って来るので。でも、それ以外の洗濯や掃除は私がしていますよ!」
Aさん「ちゃんと作らないとダメよ! それくらい、奥さんがやらないと。料理は女がするものよ!」その後、私が相槌しかできないくらいのテンポで、お説教されているような時間が数分続きました。
Aさんとしては、毎日料理を作る大変さを私と共有したかったのかもしれません。でも各家庭によって違う事情を知った上で、そのフレーズを言われた私は、何も言えなくなり、その場は苦笑いするしかありませんでした。
Aさんのチェック
しかし、その翌日から
「今日は料理するの?」
「晩御飯の献立は?」
「早く仕事切り上げて、ご飯作らないとだね!」と私が料理をするかチェックが入るようになったのです!
ほぼ毎日聞かれ、しんどくなった私は
「夕飯悩みますよねー。Aさんは何を作るんですか?」など、当たり障りない返事をするようになっていました。
一番衝撃だったのは、Aさんが愛用している高級な出汁を
「出汁が肝心だから、これを使ってお味噌汁を作るように!」と、わざわざ職場に持って来たことです。しかも手書きのレシピ付き。ここまでしてもらったら、さすがに作ろうかなとは思いましたが、レアな出汁を使いたがる旦那にお任せしました。高級な出汁だけあって、とても美味しかったです。ただ、ここまで料理を強要してくるとは…。正直ドン引きしました。
アドバイスの収束
私が産休に入り、距離ができたことでアドバイスの嵐は終わりを迎えました。気が利く人なので、私のためを思ってのことだと思います。
基本的に、年上のアドバイスは貴重な意見だと思うようにしていました。ただ、自分の意見を押し付ける一方的なアドバイスをされるのは本当にしんどいと感じ、仕事とプライベートは適度な距離がある方がうまくいくのかなと思った出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター / しろまんじゅう)