お隣さんに建前でお礼を言っただけなのにトラブルになるなんて思っていませんでした。暴走をはじめたおせっかいの押しつけに我慢できなくなった私はとうとう爆発してしまい…。ご近所づきあいの難しさを感じた体験談です。
建前の「ありがとうございます」
ある日、後で出そうと思って玄関に置いてあったゴミ袋がありません。「あれ?」と不思議思っていると、ドアノブに一枚の手紙が張ってありました。そこには、「おせっかいごめんなさい。ゴミが見えたので出しておきました。Sより」と隣に住むSさんからのメッセージが。思わず
「うわっ、勝手にうちのゴミ出したの?」と顔をしかめました。Sさんは70代の女性でお子さんは家を出て夫婦2人で住んでいます。普段から押しの強いSさんですが、直接何かされたのはこれが初です。正直、嫌な気持ちは大きかったですが「嫌な顔をしたら関係がこじれるかも」と思い、すぐにSさん宅へ。
庭にいたSさんに声をかけ
「ゴミ、ありがとうございました!」と伝えると
「ごめんね! 嫌だったろう!」と申し訳なさそうに言うので、心の中では「そうですね!」と答えつつ
「いえ! 気にしてもらってありがとうございます!」と笑顔で応えました。
加速するおせっかい
その日の午後、買い物から帰るとわが家の前の草むしりをするSさんが。
「どうしたんですか?!」と声をかけると
「ついでだから気にしないで!」というSさん。
「うちでするから大丈夫ですよ」と言っても
「甘えればいいんだよ」と聞き入れてくれません。
そのままSさんだけに草むしりをさせるわけにもいかず、生後半年の息子をおんぶしながら草むしりに付き合うことに。Sさんは
「娘とやってるみたいだ」と終始ご機嫌でしたが、私はげんなり。
その後どんどんSさんはエスカレート。玄関前で待ち伏せし、会えば長々と一方的な世間話。会わないように家の中にいると、玄関でガチャガチャと音がし
「いるんでしょー?」と呼ばれるので毎日ビクビクしていました。
他にも自分の家のついでだからと勝手に屋根の修理をしたり、子育て雑誌の切り抜きをポストに入れられたりすることも。「うちで遊びな」と無理やり子どもを引っ張って自分の家に連れて行き、私の帰宅が遅いと「防犯のために」と玄関で帰りを待っていることもありました。
そのたびに「困ります」「結構です」「やめてください」と伝えてきたのですが、Sさんはいつも
「遠慮しないでいいの!」の一点張り。
耐えられない! はっきり物申す
Sさんの過干渉に限界を感じていたある日、またドアノブがガチャガチャ動きSさんが訪ねてきました。そして
「庭の草をむしってやるから入るよ」と家にあがろうとしたので、ギョッとして
「やめてください!」と声を荒げてしまいました。
そこからはもう止まりません。
「何回も何回も私言ってます! 困ります! 結構です! 伝わってますか?!」私の剣幕に驚いたSさんは、
「あー… ごめんごめん、今日は帰るよ」と気まずそうに帰っていきました。
実はわが家は引っ越しが決まっていたので「もうどうなってもいい!」と気持ちが爆発。その後、Sさんに会えば挨拶はするものの、お互い気まずい雰囲気に…。しかし、これ以降Sさんが過剰なおせっかいを焼いてくることはなくなりました。
エスカレートしたSさんに「あのとき、建前でありがとうなんて言うんじゃなかった…」と激しく後悔しました。次の引っ越し先では、しっかりと相手を見定めて程よい距離感でのご近所づきあいをしよう、そう決意しています。
(ファンファン福岡公式ライター/K)