感動的な出産から一変、翌日から予想だにしなかった産後トラブル「おなら」。おならの回数が増え、音を消すことも困難に。そんな時、人前で思わず出てしまった大音量のおならと、歩く度に連続で発射されたおなら。一世一代の大恥をかきそうになった、私の体験談です。
感動的な出産を終え、産後はしっかりと食事を摂り、よく眠り、私はとても充実した気持ちでした。しかし、予想だにしなかった産後トラブルは出産の翌日に現れました。 私が入院していた部屋は4人の大部屋でした。 それも私は周産期母子医療センターに入院していたため、私以外の3人は妊婦さんです。この大部屋では、全員ベッドの周りのカーテンが閉められており、妊婦さん同士でお喋りしたり、仲良くなったりといったこともありませんでした。私自身も子供を早産で出産したため、産まれたばかりの子供はNICUに入院しており、赤ちゃんの泣き声などもなく、病室は常に静寂が保たれていました。 全員が物音には気をつけており、やはりみな女性ですから、げっぷやおならも音が出ないように我慢するわけです。 そんな私も切迫早産で2ヶ月半、この大部屋に入院していましたから、あらゆる音の消し方においては、もはやプロの腕前とも言えます。ゲップやおならの音を消すことなんて、たやすいものでした。 産後、私は久しぶりに食欲もわき、モリモリと食事を食べまくりました。 そうすると、おならがしたくなるわけです。音を消しておならをすることなんて、私の特技になっていましたから、いつものように音が鳴らないよう、おならをしようとしました。しかし、おならは出ず、ガスがお腹の中に戻っていく感じが。 「なんだこれ?!」 私は初めての体験に驚きました。 すると、何度も何度もおならをしたくなるわけです。その度に音を鳴らさないように意識をすると、やっぱりお腹にガスが戻ります。お腹がどんどん張ってきて、痛くなってきました。 「これはまずい。」 私は病室から離れたトイレに行き、おならが出そうになった瞬間に息み、「わざと」音が鳴るようなおならをしました。すると、とてもお腹がスッキリしたのです。そうやって私は病室にいるときには、おならを出さず、お腹にガスをため、トイレに行ってから音が出るような大きなおならを「わざと」出す、といったことを繰り返しました。 おならの音のコントロールをうまくやっていた私ですが、ある日事件が起こります。
エレベーターホールには、4組の入院中の妊婦さんとその家族らしき人達がいました。しかし、みんなエレベーターに乗るわけではなく、妊婦さんと別れを惜しむかのように立ち話をしています。 私達は、その家族を通り抜け、ちょうど着いたエレベーターに乗り込もうとしました。 「ぼふっっ!!!」 その場で、まるでブーブークッションに思いっきり座ったかのような大きな音のおならが鳴り響きました。 そうです、それは私です。 エレベーターに乗り込もうと意識が向いたことで、おならの音を隠すことを忘れてしまったのです。 あまりの恥ずかしさに、走って逃げ出したい気分でしたが、それでは逆に周りの視線を集めてしまうと、どうにか冷静を装いました。私は素知らぬ顔で、エレベーターに乗り込みます。 しかし、焦っておしりに力を入れられなかった私は、歩く度に「ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷっ」と、さらなる小出しのおならが連続で出ました。 私は小出しのおならに我ながら驚き、急いでエレベータの「閉」ボタンを押します。 閉じゆく扉の隙間から、恐る恐る4組の家族の顔を見てみると、なんと!みんな夫を見て、きょとんとしたり、笑いをこらえているではありませんか。 エレベーターの扉が閉まった瞬間、夫が私に言いました。 「おい、絶対みんな俺がおならしたと思ってるぞ。」 「ごめん、ごめん。まぁ、女の私がしたと思われるよりいいじゃないの!」 夫には悪いですが、ラッキーな勘違いをみなさんがしてくれたことで、私はなんとか一世一代の大恥から免れたのです…。 産科医におならの悩みを打ち明けたところ、産後に骨盤底筋群が弱ってしまったことでおならが出やすくなっていると言われました。 今でも実は、かなりおならが出やすい私。もう音を消すことはある程度可能になりましたが、大笑いした瞬間や大声出した瞬間に「ぷっ」と出てしまうことも…。 まだまだ骨盤底筋群が弱っているようなので、いざという時におならの音が出ないよう、骨盤体操などこれからも続けていきたいと思っています。 (ファン福岡一般ライター)