私たち夫婦が結婚して2、3年目のことです。まだ幼い息子と3人で暮らしていたある日、わが家を訪れた義母が庭を見て放ったひと言に、私は傷ついてしまいました。傷つくほどの義母の発言、いったい何が引き金になったのか、紹介します。
いつも優しい義母
私たちは共働き夫婦です。「女は専業主婦が当たり前」という世代から見たら、仕事に出ている私の印象は悪いようで、実母からは
「まだ1歳になったばかりなのに、保育園に預けてかわいそうに」と言われていました。
しかし義母は
「もう時代が違うもんね」と一定の理解を示してくれ
「たまには子どもを私たちに預けて、映画にでも行って来たら?」と言ってくれていました。
義実家にお邪魔した時にも、歓迎されていると感じることの方が多く、私は本音をチクチク言う自分の実家よりも、義実家の方が居心地が良かったくらいです。
私たちの住まいと義実家とは車で1時間半程度の距離で、月に1回は互いに行き来していました。義母は料理や裁縫が得意で、何を食べてもおいしいし、息子のために作ってくれた小さいバッグは売り物のよう。
しかも義母はいつも優しくて、少ない荷物で泊まりに来れるようにと、私たちのパジャマや歯ブラシまで用意してくれて、私は感謝の気持ちでいっぱいでした。
義母の口から嫌みが!
そんな義母でも、ポロリポロリと気になる発言がたまにあります。
新米主婦の私がうらやむような、家庭的な義母にも、実は苦手なことがありました。それは「片付け」です。義実家の台という台はいつも物であふれ、ソファもタオルや服が散乱し、誰も座れない状態…。
私は「散らかっているなぁ」と思っていましたが、もちろん口には出せませんでした。
ある日、義父母がいつものように遊びに来た時のことです。わが家は片付いている方だと思いますが、義父が
「いつ来てもきれいになっているね」と褒めてくれました。それを聞いた義母は
「この家には収納がたくさんあるからよ」と自分の家が散らかっているのを収納のせいにします。私は、せっかく義父が褒めてくれたのに、と少しムッとしながら「ちゃんと片付けてますから! 私の実家は収納が少ないけれど、すっきり片付いてますけど?」と、心の中でつぶやきました。
すると、わが家の庭を見た義母は唐突に
「庭に草が生えていないことだけは、認めてあげる」と言い放ったのです。
夫の一言にすくわれた
義父が褒めたのが気に食わなかったのでしょうか。
急に言われたので、私は気の利いた返事もできず、ショックで顔が引きつっていたと思います。未熟な私は料理も裁縫もいまいち。それを
「何もできないけど、庭作業だけはできるのね」みたいな表現で遠回しに言ってきた義母。
料理のレパートリーは少ないし、味付けも決まらない、そんなことは私だって承知してます。「そんな言い方しなくても…」と悔しいやら悲しいやら。「片付けが苦手な義母に言われたくない」そう思ってしまいました。
ようやく
「生えたらすぐに抜いた方が楽なので」と笑顔で私が答えると、近くにいた夫が
「人の家のことはいいから、自分の家を片付けろよ! あれじゃ誰も座れねぇ」とぴしゃりと言い返してくれました。少し恥ずかしそうにしている義母を見て、私の気持ちが和らいだのを覚えています。
気を遣い過ぎるのも疲れますが、義母と良好な関係を続けるためには、うっかり嫌味を言ってしまわないようにしないといけないな、と思った1日でした。
ちなみに、その後も義母はたまに嫌な言い方をしますが、夫がいつも私の味方をしてくれるので、とても心強いです。
(ファンファン福岡公式ライター / kaeru)