子どもの誕生日会で仲の良い5人のママ友とケーキを手作りすることに。それぞれの分担を決めた後に、まさか私以外の全員がマクロビ志向だったとは知る由もなく、デコレーション担当になった私が指示された食材とは一体?
ケーキに生クリームはありえない?
子どもたちの間で、砂で作ったケーキの誕生日会ごっこが流行っていたのをきっかけに、3歳の長男が通う保育園のママ友でケーキを作ってお誕生日会をしよう! と盛り上がったのですが、誕生日会前日大きな違和感が…。
ひとりのママさんが神妙な顔で
「間違っても、生クリームなんて買わないですよね?」と言ってきたのです。私は意味がわからず
「ケーキですよね? 生クリームじゃないの?」と聞くと、
「生クリームの代替えは豆腐しかないですよね」と力強く返されました。(え? 豆腐? 代替え?)
意味が分からず他のママ友に助けの視線をおくったのですが、なんと! 私以外のママたちは当たり前といった顔でうなずいたのです。そう、私以外は皆マクロビオティックという穀物や野菜を好み、動物性食材を好まない志向のママさんたちだったのです。
これまでもワクチンや薬に対して慎重派であることから、自然派のママさんたちであることはわかっていましたし、私も添加物などはできるだけ摂らないように一定の食のこだわりはありました。ですが、この時はさすがに動揺しました。
とはいえ(こうなったら、子どものためにもなんとか誕生日会を乗り切ろう!)と気持ちを切り替え、豆腐クリームなるものをレクチャーしてもらいました。有機大豆使用の豆腐を水きりして、きび砂糖を適量入れホイップします。
いよいよ誕生日会当日
レシピ通りの豆腐クリームを持参して誕生日会のお宅へおじゃましました。ほかのママさんが焼いてくれたスポンジケーキ(材料は不明)に、わが家から持参した白い豆腐クリームがきれいに塗られ、ケーキの土台が完成しました。かわいらしくハートにカットされた有機栽培のいちごやキウイ、星形のクッキーなどが飾られ、子どもたちが楽しみにしていた誕生日会がはじまりました。
いよいよ子どもたちがお待ち兼ねのケーキの時間です。それぞれの皿にカットされたケーキを前に
「いただきます」と元気な声。他の子どもたちは食べ慣れているようで、美味しそうにケーキを頬張っていました。しかし、はしゃぐ子どもたちの声にまぎれて、私のとなりに座っていた息子から小さな声が。
「まずい…」思わず「だよね〜」と大笑いしたいところでしたが、こみ上げる笑いをなんとか押し殺し、
「無理して食べなくていいよ」と、そっと息子に耳打ちしたのでした。
息子の皿にはイチゴを乗せ、ケーキはそっと私の皿へ移動しました。私もケーキを一口。ヘルシーで健康的なクリームが硬めで素材の味を生かしたスポンジケーキによくなじみ… と言いたいところですが、ドロっとした食感の甘ったるい豆腐を塗ったパサパサのケーキを、どう頑張っても美味しいとは思えませんでした。
マクロビ志向が間違っているとは思いません
マクロビに限らず、食に関してはそれぞれのママたちの考え方があり、子どもや家族のために健康的な食のあり方を考えていること自体とても素晴らしいことです。ただ一方で、その考えを周囲に強要するのはどうかなと思います。ケーキはともかく、息子は大好きな苺をいっぱい食べたり遊んだりと満足な様子でした。
「またやろうね」と笑顔の息子。なんとか無事に終えた誕生日会の帰り道、私は生クリームたっぷりのケーキを2つ買って帰りました。
(ファンファン福岡公式ライター/モモ☆タロー)