ほのかな恋心を抱いていた先輩と先輩の友人からの告白を受けた私。恋愛初心者の私には一大事! さらに、いつのまにか私が悪女? ダメンズ達との10代最初の恋物語、お読みください。
ダメンズ達との出会い
19歳の頃、軽音サークルへ入りました。所属サークルはN大学とペアで活動していて、練習はN大学のスタジオ。スタジオ利用は時間枠制で、よく3人の男性バンドが私達の後の枠に入っていました。
ドラム担当のM先輩は24歳、シルバーのロン毛で細身。ボーカル&ギター担当のZ先輩は年齢不詳の既婚者。ギター担当A先輩は22歳、背は低めで顔はジャニーズ系。
最初は一目見ただけで、ロッカーとわかるスタイルの3人に威圧感を感じましたが、何度か顔を合わせるうちにお勧めアーチストの話などするように。そのうちプライベートでも会うくらい仲良くなりました。
憧れの兄ができたと思っていた…
私を妹のように感じてくれていると思ったのですが、気づくとM先輩が「俺の横ね」と、常に自分の隣に居させるように。ある日、M先輩から
「私ちゃんが好き。彼女とは別れるから」と衝撃告白が。彼女いないって言っていたのに…。まだ恋愛初心者の私は、彼女持ちの人から告白されてパニック! 無理と言っても、真剣な眼差しで
「落としに行くから!」の一点張りでした。
私は、M先輩のことをよく知るバンドメンバーのA先輩に相談することに。
「M先輩から聞いています?」と、聞くと
「告られたよね」
「彼女いるのに… 私、もう顔だせないです」と伝えました。すると……
「じゃあ、俺と付き合ってよ」
「ごめん。私ちゃんと会えないのは嫌」と、A先輩からまさかの告白。驚いて固まる私に、返事は急がないと配慮してくれるA先輩…。実は、A先輩と2人で会うときはドキドキしていた私。そして、告白によって恋心を確信。
ただ、M先輩のこともあり、躊躇しました。M先輩には彼女がいる…M先輩にどう接すればいい? 先輩同士の仲が壊れるのは辛い。数週間悩み、どちらとも付き合えないとの結論をA先輩に伝えることに。話している途中で涙が止まらなくなり、A先輩が
「Mと話しつけてくる」と。翌日
「Mは彼女と別れていない。最終的に俺が私ちゃんと付き合うならいいって!」とまさかの急展開。A先輩の彼女になったのです。
発覚した事実
最初の数カ月は、A先輩との時間が幸せでした。しかし1年が経つ頃、元々コンパ好きなA先輩は女の子を一人暮らしの部屋に呼んだり、デート中に長電話したりするように。どんどん気持ちが冷めて
「もう別れたい」と伝えました。
もちろん「別れたくない」とすがるような顔をするA先輩。それでも私の気持ちは変わらず、幾度かの別れ話で、ようやく
「わかった、別れる。でも最後にライブを観に来てほしい」と言われました。
ライブ当日、偶然会った男性の先輩と話していると、A先輩と同じバンドメンバーであるZ先輩とその奥さん、M先輩とA先輩が来ました。するとZ先輩の奥さんが無表情で
「あ〜彼女いるMと、同じメンバーのAにも手を出した子ね。その男にも手を出してるの?」と。
M先輩もA先輩も否定せず黙ったままでした。陰で私が悪女のように言われているショックと、先輩たちが否定してくれないショックで、すぐライブハウスを出ました。
それから数年後、A先輩と道でばったり遭遇。すれ違う際、A先輩が何かを言いかけましたが、私は振り返りませんでした。悪女として終わった10代の恋。先輩達の言動は今でも腑に落ちませんが、淡くて苦い恋は今となっては私の人生の彩りとなりました。
(ファンファン福岡公式ライター/なちりん)