わが子が幼稚園に入園して驚いたこと。それは、雑誌の世界だけに生息すると思っていた、サロネーゼが実在すること。 料理やフラワーアレンジメント、ハンドメイド雑貨、ネイル、ホームエステなど、自宅の一室を使い、趣味や特技を活かしたおうちサロンを起業する主婦が、幼稚園にはゴロゴロといたのです。 お友達が主催するサロンだからこそ、一度誘われると、断りにくい上、事前にお値段も確認しづらい。そんなママ達の心理に付け込む、ぼったくりサロネーゼとは…。
ママ友はサロネーゼ?!
娘が幼稚園に入園してすぐ、仲よくなったママ友Aさんは、お菓子作りが趣味で、海外の製菓学校に通ったこともあると話していました。純粋にすごいと思い
「それはプロ級だねー! Aさんの子は、毎日美味しい手作りのお菓子が食べられて幸せね」と褒めると、
「今度おうちに遊びに来ない?」と誘われたのです。
幼稚園でのママ友第一号かもと嬉しくなった私は、
「おうちにお邪魔しちゃっていいの?ありがとう! 楽しみだな」と答えると、Aさんは
「次のレッスンは、今度の午前保育の日だよー!」と思いがけない言葉が返ってきたのです。
てっきり子どもを遊ばせるだけだと思ったら、実はおうちサロンのお誘い…。 サロネーゼのお誘いは巧みでした。内心、素人にお金を払って教わるなんて嫌だな… とモヤモヤした私は、その日は都合が悪いと断りました。その後も、親しげに話しかけてくるAさん。何度かおうちサロンに誘われましたが、なにかと理由をつけて断り続けました。
参加のきっかけとは
結局、Aさんのおうちサロンには、参加しないまま、春が過ぎ、夏を迎え、二学期もこのままお断りの姿勢をつらぬくぞと思っていた矢先、事件は起こりました。
子どものお世話に明け暮れた夏休みが終わり、ママ達でお疲れさまランチをしようと、集まった時のこと。和やかな席で、Aさんが
「今度お菓子作りを我が家でするからぜひ来て!」と声をかけはじめました。
「手作りのお菓子なんて素敵! 教わりた〜い!」というママ達も多く、みんなで参加する雰囲気に。
これ以上断り続けると今後の幼稚園生活が気まずくなりそうで、
「一度参加してみようかな」と、つい口を滑らせてしまいました。そして約束の日の前日、Aさんから届いたLINEのメッセージに、アッと驚きました。
「明日のお菓子教室は、参加費5000円ね。おうちだから子どもも一緒にお菓子作りを楽しめるよ♪」
5000円は高い…。 そう思ってしまった私は、ケチでしょうか。そして当日、さらに驚くことが待っていたのです。
Aさんの自宅兼、おうちサロンへ行くと、広々としたリビングに、オープンキッチン、ダイニングテーブルには、本日の材料が並んでいました。
薄力粉、砂糖、玉子、ミルク、バター、桃の缶詰、以上。 子どもの頃、風邪をひいたら出てくる黄桃の缶詰がそこにはあったのです。本格的なケーキを作るとばかり思っていた私は、材料の少なさにとまどいました。桃缶だけで、どんなケーキを作るというのでしょう。
「今日みんなで作るのは、ジューシーな桃のカップケーキでーす♪」カップケーキが悪いわけではありませんが、他人からお金をとって教える料理がこれか… とガックリきました。実際、カップケーキやクッキーは、人に教わらなくても、自宅で作ることができます。けれど、お友達と一緒に、エプロンをつけて、ニコニコ笑っている娘の笑顔を見ると、文句を言うこともできません。
そして出来上がったのは、黄桃をのせたカップケーキ、6個で5000円でした…。 たしかに、子どもと一緒にお菓子作りをするのは、久しぶりだったので、子供は喜んでいましたが、そのお値段とコスパの悪さに唖然!
その上、みんなで試食をするタイミングで、Aさんの子が、私の作ったカップケーキの上から、黄桃をほじくり返して、食べてしまったことにも、さらに驚きました。 皆さんも、ぼったくりサロネーゼには、お気をつけくださいね!
(ファンファン福岡一般ライター)