子育てにはハプニングがつきものですね。わが家も男の子3人の子育て中なので、ハプニングがいっぱいです。その中でも、紅葉シーズンになると必ず思い出す出来事があります。まだ長男が1歳半の頃に、初めて両親と息子を連れて旅行した時の話です。
息子、初めての旅行
息子が一人で歩けるようになり、会話もある程度出来るようになったので、両親と一緒に小豆島へ旅行することに。それまでフェリーに乗ったことがない息子は大喜びで乗船し、小豆島に着いてからも
「あれはなに? これは?」と旅行を楽しんでいました。
小豆島には大渓谷と海が一望できる「寒霞渓」があります。ちょうど旅行した時は紅葉シーズンだったので、両親と相談し、ロープウエーに乗って、紅葉に染まる大渓谷を楽しむことにしました。
もちろん、息子にとっては初めてのロープウエー。両親も私も「高い所で怖がったりしないかな? 泣かないかな?」と不安でした。
寒霞渓のロープウェイは定員が40人で、この日は紅葉の見頃だったこともあり、たくさんの人が乗っていました。
そのため、息子から景色が見えやすいように抱っこして乗ることに…。それから1分も経たない内に、息子が私を見上げ申し訳なさそうに
「ママ…」と言うのです。
「どうしたの?」と聞き返している途中で違和感が!
ほぼ密室のロープウエーで起きた事件
息子を抱っこしているので、私の片方の手のひらは息子のおしりにありました。ゴンドラ内に響く、かわいいとは言えないオナラの音と共に、手のひらにダイレクトに伝わる感覚に、思わず
「イヤ~!?」と声を出してしまいました。両親も
「あ~!!」と大慌て。
周りの乗客もみんな私たちの方を見ています。心配そうに見ている人もいれば、笑いを我慢している人も…。息子もとても恥ずかしそうに私の胸に顔をうずめていました。
直後、私も両親も冷や汗が出るほどのくさ~いにおいが漂ってきました。ゴンドラ内は少しだけしか窓は空いておらず、ほぼ密室。なんとも言えないにおいと共に約5分間の空中散歩が始まったのです。
私も両親も、周りの乗客に
「すみません…」と頭を下げ、息子には
「大丈夫だよ」と声をかけるしかありませんでした。
乗客の言葉に救われた私たち
その時、すぐ近くにいた年配の女性が息子に声をかけてくれました。
「気にしなくていいからね。ほら、外を見ないともったいないよ!」と。他の方も
「仕方ない、仕方ない!」
「これも旅行の思い出になるよ」など、笑顔で私たちに声をかけてくれました。おかげで、息子も次第に顔を上げて景色を楽しむことが出来ました。
ゴンドラから下車するとき、改めて
「すみませんでした」と、周りの乗客に頭を下げる私と両親に
「そんなことはいいから、早くお手洗いに連れて行ってあげなさい」と、皆さん笑顔で手を振ってくれました。
周りの方々の温かい声掛けで、息子も、私や両親も楽しい旅行が出来ました。小さかった息子は忘れてしまっていますが、私や両親には忘れられない思い出です。
この旅以降、少々のハプニングが起きても、「その内、笑い話になるのかな」と思い、楽な気持ちで対処できるようになりました。
(ファンファン福岡公式ライター / 降谷あいり)