今?このタイミングで!?子どもができて感じる転勤族の苦悩…人生設計が変わった女性達

 春は出会いと別れのシーズン。 旦那の職場から、突然、転勤の辞令が出て、なんと3週間後に引っ越しを余儀なくされた家族。 子どもの幼稚園と小学校入学が決まっていたため、苦渋の選択で、旦那だけ単身赴任することになった家族。  毎年辞令の時期はナイーブになり、「この春は、転勤を免れた…」とホッと胸をなで下ろしている家族。

 そんな転勤族の旦那を持つ妻は、口をそろえて言います。 「会社は、社員の家族のことなんて考えてくれない。転勤がどれだけ家族の負担になるか!」 そこで旦那の転勤で、人生設計が変わった女性達に話を聞きました。

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 「目の前が真っ暗になったよ。まさか、この年齢になって転勤の辞令が出るなんて…」 そう呟く40代前半のAさんには、年の離れた50代前半の旦那さんと、4歳の子どもが1人います。結婚して10年、旦那の仕事の関係で、3回の転勤を経験しました。結婚当初は、住んだことのない街に転居することも、好奇心が勝って楽しめたのですが、30代後半で子どもが生まれてから、考えがガラリと変わりました。  

 「子どもが幼稚園で友達を作っても、私にママ友ができても、旦那の辞令ひとつで、築き上げてきた人間関係や環境が、すべてゼロになってしまう。この春、突然の転勤が決まった時は、はじめて『どうしても行かなくちゃいけないの?』と旦那に問いただしてしまったの。
 旦那は『キャリアアップのためには、転勤は仕方ない。受け入れてくれ』と言ったけれど、転勤を受け入れないと昇進できない働き方に、納得がいかないわ。現地採用、現地雇用でいいじゃない。異動したからと言って、突然、仕事ができるようになるわけじゃない。」

 辞令が出て、3週間後には引っ越しというハードスケジュールの中、日帰りで新居を決め、子どもの幼稚園を決めました。土地勘がない場所なので、治安と利便性が良く、子どもの教育にも安心な文教地区を選ぶことに。おのずと家賃や駐車場代が上がり、転勤のたびに無駄な出費を強いられるのだと言います。
 「家族は一緒が当然、単身赴任なんて考えられなかった。今回はついていくけれど、子どもが小学生・中学生になったら、単身赴任も検討するよ。家族を犠牲にした、旦那のキャリアアップなんて望んでいないもの。」

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 実際、この春、単身赴任を決めた家族もいます。30代前半のBさんは、2歳と5歳の女の子を育てるママ。同世代の旦那の転勤が決まった時
 「長女が可哀想だよな…。せっかく慣れた幼稚園なのに。あと1年、卒園まで通わせてあげたい」と言いました。

 Bさんの長女は、とてもシャイな子どもで、環境が変わることを好みません。幼稚園に入園した当初、3ヵ月間誰ともしゃべらず、いつもうつむいて泣きだしてしまうような状態でした。それでも、周囲の子ども達がどんどん話しかけてくれるうちに、Bさんの長女も心を開き、笑顔いっぱいで過ごせるようになったそう。

 そんな長女の性格をよく知るBさんの旦那は、長女の卒園までの1年間、単身赴任することを決意。1年後、長女の小学校入学と、次女の幼稚園入園の際には、旦那のもとへ家族で引っ越す予定です。
 「子どもの心のケアは、もちろん悩ましいけれど、もっと困るのが、私自身の仕事。専門職の資格を持っていて、次女が幼稚園に入園したら、仕事復帰しようと思っていたのに、旦那の単身赴任先には、その資格を活かせるような職場がないみたいなの。結婚した時も、旦那の転勤で仕事をやめたから、『またか…』という気持ち。
 必死で取った資格も、共働きでバリバリ稼いで早くマイホームを買う人生プランも、旦那の転勤で台無しだよ。娘達が年頃になったら、『結婚相手に転勤族はやめておきなさい』って口出ししちゃいそうだわ。」

 たしかに女性も仕事を持ち、働くのが当然という世の流れに、旦那の転勤制度はそぐわないのかもしれません。さらに夫婦二馬力を前提で、住宅を購入した場合は、女性が仕事をやめる選択肢がないケースもあります。

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 Cさんは30代半ばで、同世代の旦那と、小学1年生の息子がいます。
「我が家は、昨年から単身赴任。嘘みたいだけれど、マンションを購入して半年後に、旦那に転勤の辞令が出たの。真っ先に頭に浮かんだのは『新居をどうしよう?』ということ。夫婦共有名義で住宅ローンを組んでいるから、私が仕事をやめるわけにはいかない。それに、旦那についていったとしても、たった半年しか住んでいない新居を、他人に貸し出す気にはなれないもの。仕方なく、旦那は単身赴任で、二世帯になったよ。」

 お子さんがもう大きいこともあって、旦那がいないワンオペ育児生活は、案外、楽なのだそう。旦那がいなければ洗濯物も少なく、食事の支度も子どもと二人分なので、旦那がいるよりも負担は少ないのだと言います。それでものしかかってくるのが、お金の問題。旦那の会社から、単身赴任の手当は出ますが、たかがしれています。月に1回分の帰省費用も出ますが、できれば旦那と子どもには毎週末に会って欲しいので、その費用も馬鹿になりません。

 「彼が全国転勤だと分かって結婚したけれど、自分の父親が自営業で転勤の心配をしたことがなかったから、転勤族の現実を想像できていなかったよ。単身赴任の家族に対して、会社がしてくれるのは、最低限の手当だけ。結局、転勤の辞令を出した社員に、どんな家族がいて、どれだけ転勤で振りまわされるなんて考慮してくれないのよね。IT化がこんなに進んで、遠方でもビデオ通話などで打ち合わせができる時代に、転勤なんてナンセンスだよ。飛行機や新幹線、リニアモーターカーもできたら、日本全国、出張でなんでも対応できるようになると思うし、私が現役で働いている間に『転勤?単身赴任?なんですかそれ?』という時代になればいいな」

 こうした転勤族の話を聞くにつれ、「これほど家族に負担をかける転勤制度は、本当に必要なのか」という疑問がわいてきます。昨今では、労働基準法が変わり、過度な長時間労働を法律で制限されるようになりました。転勤族の妻達が皆、願っていたように、転勤という制度自体を見直す時期が来ているのかもしれません。

(ファンファン福岡一般ライター)

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