子どもを可愛がってくれる親戚の存在はとてもありがたいもの。 でも、その愛情の注ぎ方が家庭の子育て方針とあまりにも違っていた場合、親としては困惑してしまいますよね。 子どもたちのことが大好きなあまり、あらぬ方向へ愛が暴走中の叔母の話です。

近所に住んでいる叔母は、わが家の3歳と5歳の息子たちが可愛くて仕方がない様子。「これ、子どもちゃんに食べさせてね~」と、頻繁に差し入れを持ってきてくれます。曰く「子どもは食べている時が一番可愛い」のだとか。 子どもたちも毎回喜んでいることだし、差し入れ自体はとってもありがたいのですが…。食べものに関する叔母の言動にはいつも困惑させられています。 ある休日のお昼時のこと。自宅で子どもたちとグラタンを食べていると、叔母がショートケーキの差し入れを持って遊びにきてくれました。美味しそうなケーキを目にした子どもたちは、「やったー!ケーキだー!」と大喜び。 すると叔母は、子どもたちの食べかけのグラタンを見て、「冷めたグラタンはまずいから残して、こっちのケーキを食べなさい」と、勝手にケーキを子どもたちに与えたのです。

「まだご飯中なので、ケーキはデザートに…」思わず私が遮ろうとすると、叔母は「いいじゃない!好きなものを食べさせないと、大きくならないよ!」と持論を展開。 そして、ケーキを選んでいた子どもたちには、「一口ずつかじってみて、まずかったら口から出しなさい。美味しいのだけ食べたらいいから」と。 それを聞いた子どもたちは調子に乗って、「これ美味しい!」「これはいらないー!」と、次々にいろんなケーキに手を出し始めました。それを見ながら「そうそう、もっと食べなさい!」と叔母はニコニコ。 残されたのは、子どもたちにちょっとずつ食べ荒らされ、無残な姿になったケーキたち。

「もうこれは食べ残しだから捨てなさいね」 え?捨てる? 小さいころから親に「食べものを粗末にしないように」と言われてきた私には信じられないような言葉。食べ残しといっても、まだ8割以上残っているものがほとんどです。 これを捨てるなんて、…とんでもない。残ったケーキもきれいにお皿に並べると、十分に美味しそう。子どもたちもそれを見て「後でまた食べるー」と言い始めました。 「そんなのを食べるの?無理しなくていいのよ」叔母はちょっと眉を寄せて言いながらも、子どもたちが自分の持ってきたケーキを好きなだけ頬張る姿を見て、十分に満足した様子。「いっぱい食べられてよかったわ―」とご満悦でお帰りになりました。 もちろん叔母に悪気などは全くありません。でも、食事に関する価値観が違いすぎる叔母の言動には、せっかく苦労して積み上げてきたしつけも一瞬でぶち壊しになりかねない破壊力があります。 わが家では子どもたちに「出てきたものは残さず食べる」「食事中は席を立たない」の二つは守るように言い聞かせているのですが、叔母と食事をしていると、率先して叔母がこのルールを破ってしまいます。 「もうこれは残しなさい!おばちゃんとお店の中を探検しよう!」 それとなく夫の方から「しつけもあるので」と伝えてもらってはいるのですが…。「いつも厳しいんなら、たまにはいいじゃない」と、どこ吹く風。 とにかく子どもたちの可愛い姿が見られればそれでいい!そんな子どもたちへの愛が暴走中の叔母なのでした。 (ファンファン福岡一般ライター)