インフルエンザやノロウイルス、冬の感染症シーズンが近づいてきました。もしも、あなたが体調を崩して、子どものお世話ができなくなったら、どうしますか? もしくは、子どもが体調を崩したのに、仕事を休めなかったら? 夫や実家、義実家など、手助けしてくれる人がいれば安心ですよね。けれど、その助っ人が、信頼できなかったら…?! あちらでは、嫁と姑の仲に亀裂が入りそうになっていますよ。
育児の当たり前は人によって違う
子どもを産んで一番驚いたのは、人によって、育児の当たり前が違うこと。当たり前のように3歳の子どもに刺し身を食べさせていたら
「もう生魚食べさせているの?!」と驚かれて、はじめて
「刺し身は、何歳から食べさせるのが正解なの?!」と調べました。
おおらか、というよりもズボラな私の育児は、育児書を読み込むしっかり者のママ達から
「おおざっぱすぎる!」と非難されることもしばしば。けれどズボラ者からしてみれば、
「みんなストイックに育児をしているなぁ。疲れないのかな」と心配になるのです。
最近、特に驚いたのが、友人Aのストイック育児でした。例えば、0歳児は、3~4時間おきに授乳するのがよいと育児書に書いてあれば、アラームをかけて必ず3時間おきに授乳。
授乳中は、脂っこい食事やスパイスのきいた辛い食事は厳禁と聞けば、授乳期間中の2年間、一度もカレーを食べなかったのだと言います。
4歳になる彼女の息子さんは、まだファストフードを食べたこともなければ、チョコレートやアイスクリーム、ジュースなども未体験です。彼女と話していると、自分の中で当たり前だった育児が、ずいぶんとおおざっぱで、手抜きのように思えます。とてもまねできない彼女のストイックな育児には、いつも驚かされるのでした。
息子が風邪をひいてしまった…
そんな息子さんが、昨年冬の寒さで体調を崩してしまいました。夜間から急に発熱し、翌朝には元気そうに思えましたが、熱は37.5度を超えていました。これでは保育園に預けることができません。
しかも運の悪いことに、その日は彼女が以前から準備していた大きな仕事があり、会社を休むことができなかったのです。病児保育も、この時期はいっぱいで預けることができません。そこで苦肉の策でしたが、近所に住む姑に、息子を預かってもらって、看病してもらうことにしました。
なぜ苦肉の策だったのか、それはストイック育児の彼女と違い、姑はおおざっぱな性格だったため。離乳食の頃から、育児本通りの食事を作る嫁の姿を見て
「神経質すぎるわよ!」などと言われていたのです。
さらに姑は、インスタント食品信奉者でした。年をとって、夫婦2人分の手料理に時間をかけるのが嫌なのか、普段の食卓にたびたびインスタント食品が並んでいました。
義実家に遊びに行くと、まだ息子に食べさせていないお菓子や添加物たっぷりのインスタント食品を出して勧めてくるので、子どもを預けたら勝手にお菓子をあげるのではないかと危惧していたのです。
背に腹は代えられない
それでも、背に腹は代えられません。義実家に約半日預かってもらうための準備を完璧にすることにしました。和食をメインとした手料理が一番健康的だと考える彼女は、煮魚と煮物、蒸し野菜、ご飯を容器に入れて持参し、姑に手渡しました。
「熱はまだありますが、食欲はあるので、お昼ごはんにはこのお弁当を食べさせてください」
しつこいくらいに伝えて、仕事に行きました。仕事中も息子が心配で気が気ではありません。
終業時間になると、飛ぶように義実家へ向かいました。幸い息子は元気そうな顔を見せてくれて、ホッと一息。姑にお礼を伝えながら、
「ご飯食べました?」と聞くと、こんな答えが返ってきたのです。
「レンジでチンするレトルトご飯と、インスタントみそ汁を食べさせたわよ。風邪の時には、体も熱いだろうし、アイスクリームをおやつで食べさせたわよ。パクパク全部食べたんだから。やっぱり子どもはアイスやお菓子が好きよね」と。
なぜ手料理を持参したのに、わざわざそんな粗食を出したのかと愕然…。
彼女は、姑に正面を切ってたてつくタイプの嫁ではないので、その場で
「どうしてそんなことするのですか? お義母さんだから安心して預けたのに…。信頼を裏切ったんですよ? 今後も勝手にインスタント食品をあげたりするなら、大切な子どもを預けられません!」なんてことは言えませんでした。
渡した時と同じ重さのおかずの容器を受け取りながら、
「今日はありがとうございました。夜も遅いので、これから夕飯を作るのも大変ですし、このおかずは、夫に食べさせますね」と、ささやかな反撃をしたのでした。
もう義実家には預けない!
その後、ストイック育児の彼女は、息子一人を義実家に預けることがないよう、風邪対策を万全に過ごしていると言います。
「もう二度と、勝手にお菓子やインスタント食品を食べさせたりしないように、息子が義実家に行く時は、絶対に付いていくの!」
そう彼女が決めたのなら、とことんやりぬくことでしょう。
このようにストイックな育児をする人と、おおざっぱな育児をする人とは、まったく相容れません。けれどどちらの育児が正しくて、どちらが間違っているとも言えないと思うのです。貴方にとっての当たり前も、だれか別の人にとっては、驚くことかもしれませんね。
(ファンファン福岡一般ライター)