先日、幼稚園の保護者会で配られたプリントの中に、こんな文言がありました。「園内で撮影された写真をSNSで配信したり、第三者に見せたりすることは禁止します」。これまで、幼稚園の行事のたびに、保護者はカメラでわが子の写真を撮っていましたが、SNSに載せるか否かは、個人の裁量に任されていて、このように禁止されることはありませんでした。きっかけは、あるいざこざでした。
ママ友のSNS 見たことありますか
普段は感じの良い人なのに、SNSでは言いたい放題。そんなママにドン引きした経験はありませんか? 幼稚園で仲良くなったママ友のAさんは、今年幼稚園を卒園して、小学生になった男の子を育てています。
わが家にも、同じ小学校に通う、小学校1年生の女の子がいるので、入学式の日にAさんの姿を見つけて、声を掛けました。
少し立ち話をして、「おや?」と違和感が。いつも彼女の隣にいた、お友達のBさんがいないのです。AさんとBさんは、幼稚園で意気投合して、いつでも双子のように一緒にいた人で、卒園式の日まで、仲良くしていたはずです。周囲を見回してみると、Bさんは離れた場所で、別のママとおしゃべりをしていました。
「AさんとBさんが一緒にいないなんて、珍しいね。今年も、子どもたちのクラスは一緒なんでしょう?」 そう尋ねると、Aさんは気まずそうな表情で、こんな話をしてくれたのです。
きっかけは、Aさんが習い事で一緒のママ友とインスタグラムの話で盛り上がり、写真を見せてもらっている時でした。写真の投稿にコメントしていた人の中に、見覚えのある愛犬のアイコンとアカウント名を見つけたのです。
「あれ? これってBさん?」
Bさんと一致する気がして、そう尋ねてみると、やはりBさんでした。3年間も仲良く過ごしていたのに、インスタグラムをやっているなんて、一言も伝えてくれなかったなと一抹の寂しさを感じつつ、どんな投稿をしているのだろうと、興味が湧いてきました。
そこで、アカウント名をチェックして、自宅に帰ってから、Bさんの投稿を見たところ、そこはパンドラの箱。Bさんは、本音や愚痴を言いたい放題だったのです。
そんな風に思っていたの?
例えば、見覚えのある、ランチの写真。Aさんが幹事をしたランチ会の料理でした。その写真には…。
「SNS映えだけする料理。味はひどいもの。こんな店を予約するなんて、幹事失格!」と書かれています。確かにそこまで絶品料理ではありませんが、お値段やゆっくりおしゃべりできる時間を考えればコスパが良かったと、みんな声をそろえていたではありませんか。
他にも何を言われているのか… と不安になり、過去の投稿をさかのぼって見ていきます。
同じクラスの男の子たちが戯れている姿の写真には、
「幼稚園児の男の子って馬鹿ばっかり。低レベルすぎて、うちの娘ちゃんが影響されないか心配。女の子の精神年齢の高さを見習ってほしい」と書かれてました。
Bさんの子は、女の子ですがわんぱくで、男の子顔負け。他人の子をおとしめるほど、優秀なわけではありません。
そもそも、その写真に写る子どもたちは、スタンプなどで顔を隠しているわけでもなく、見る人が見れば「あの子だな」と分かるのです。SNSに他人の子の写真を勝手にアップするなんて、ネットリテラシーに反するのではないでしょうか。
あまりの怒りに直接抗議!
最も頭にきたのが、Aさんの息子とBさんの娘が、卒園式の日に、園の門の前に並んで撮った2ショット写真でした。幼稚園の名前や顔はもちろん、名札も写っているので、子どもの名前もネット上にさらされています。これだけでも不快感があるのに、写真につけられたコメントが、さらにひどいものでした。
「わが家のプリンセスと元彼♪ 今は別の彼氏がいるみたい。6歳なのにおませさんなのは、私に似たのかな(笑)」
Aさんは、わが子が元彼扱いされて、ネット上でさらされているのが我慢できず、Bさんに連絡をして、写真を取り下げてくれるよう抗議をしました。
Bさんは、
「ごめんねー! 2人ともかわいくて、つい写真をアップしちゃったの」と弁解していましたが、どの写真をアップするかは、自由なのだからと、なかなか写真を取り下げてくれません。そこで、Aさんは、幼稚園の先生に相談をして、幼稚園側から「幼稚園の名前や園児の名前が分かる写真を、SNSにあげないでほしい」と注意してもらったのだと言います。
結局、Bさんから謝罪され、写真は取り下げられましたが、SNSで言いたい放題だったコメントを全部読んだ今では、全くBさんを信じられません。その事件をきっかけに、2人は仲たがいをしてしまい、3年間の友情は、終わりを迎えました。
そして冒頭の、幼稚園内の写真は、SNSへの投稿禁止のお達しへとつながるのです。
「アカウントを伝えていないから、SNSで本音をぶちまけても大丈夫」と思っている方、いませんか?
何かのきっかけで、アカウントがばれてしまった時に、周囲の人と縁が切れないように、くれぐれもお気を付けくださいね。
(ファンファン福岡一般ライター)