長男が6年生の頃、友達の仲良し4人組で、休日にちょっと遠くまでサイクリングに出かけることがありました。最初は近所の公園。そして隣町の公園、隣町のショッピングセンター、学区外の公園と、少しずつ距離を伸ばしていきました。親たちも、男の子だしね~ と子どもたちの冒険心をあたたかく見守っていたのですが…。
夏休み 子ども達だけでサイクリングへ
夏休みになると、近所のショッピングセンターへ行くのに飽きた子どもたちは、隣の市の大きなショッピングセンターに自転車で行って、映画を見てくるという計画を立てました。自宅から約12km。大きな国道をまっすぐ行くだけの分かりやすく起伏のない道のりです。
私も6年生の頃、友達と8km離れたおばさん宅に自転車で行った経験があり、とても達成感と満足感が得られたので、「よし! チャレンジさせてみよう!」と送り出しました。
暗くなる前には帰ってくる約束でしたが、夕方から天気は急変! たちまち空が暗くなったかと思えば、雷雨になりました。息子はそろそろ帰ってくる頃ですが、しばらく待ってみても帰ってくる様子はありません。
辺りも暗くなり、さすがに心配になってきたので、一緒に出かけた友達の家に連絡してみました。するとその子はすでに帰宅していて、うちの息子とは帰る途中ではぐれてしまったとのこと。
「えっ? 息子はまだ帰ってきてない…」もしかしてどこかで雨宿りしているのかも、とほかの友達の家に電話してみても、どこにもいません。 「どうしよう…」と思っていたら、1本の電話が。
1本の電話が!
それは自宅からちょっと離れたところにある定食屋さんからでした。
「息子さんが自転車で転倒したみたいで。びしょびしょだし、店のお客さんが同じ方向やから送ってあげると言ってるんですが、あとから自転車を取りに来られますか?」
いったいどういうこと~?! 息子に電話を替わってもらって事情を聴くと、急に雨が降りだして急いで帰ろうとしたところ友達とはぐれてしまい、暗くなって辺りの景色も違ってきたので、道が分からなくなってしまったそう。
お店が目に入ったので道を聞こうとしたけれど、びしょぬれの息子を見て、そこにいたお客さんが心配して声をかけてくれたのでした。住所を聞いたけれど、息子は電話番号しかわからなかったらしく、電話がかかってきたというわけでした。
急いで車で迎えに行き、お店の方とお客さんにお礼を言い、息子を連れて帰りました。
ヒヤヒヤした出来事でしたが、自分で道を聞き、解決しようとした息子を叱ることはせずに、無事でよかったとだけ伝えました。
高校生になった今では行動範囲もグッと広がりましたが、通学や遊びに行くのもやっぱり自転車。そして暗くなる前には必ず帰ってきますし、遅くなる時には必ず連絡をしてくるようになりました。もちろん、自宅の住所も書けます。
怖い思いもしましたが、「かわいい子には旅をさせろ」は正解だったのかな? と思っています。
(ファンファン福岡一般ライター)