コーヒー好きが高じて、その魅力を発信するウェブサイト「CUP of LIFE」 を立ち上げた福岡市のYUUMIさん。業界関係者や愛好家から注目され、ビジネスにつながることもあるそうです。普段はファッション業界に身を置きながら、どんな思いでサイト運営しているのか聞いてみました。
今回の趣味人:「CUP of LIFE」 運営・YUUMIさん
Q コーヒーとの出合いは
親が食後にコーヒーを飲む習慣があったので、幼い頃からコーヒーは身近な存在でした。幼稚園児の頃に興味本位で飲んだことがあって、さすがに「苦い」と思いましたが、「あれ、なんだかおいしいな」とも感じた記憶があるんですよ。小学1年生の頃には、おやつにブラックのドリップコーヒーとチョコレートをたしなむような生活をしていました。 10代の頃、もっとコーヒーの味を知りたいと思っても地元の山口には当時、専門店が少なかったので、福岡まで頻繁に飲みに出かけていました。でもそれだけじゃ満足できなくて、福岡に引っ越す始末。その時に「REC COFFEE(レックコーヒー)」(福岡市中央区薬院)のコーヒーを初めて飲んで感動しました。「深くて苦い」一般的な印象ではなく、フルーティーで「これがコーヒーなんだ」と衝撃でした。今まで触れたことのないフレーバーを体感して、これがコーヒー愛が過熱するきっかけになりました。
Q ネットでどんな発信をしていますか
今は SNS が一般的となり、「インスタ映え」なんて言葉があるように写真が重視されていますよね。でも私はそうじゃなくて、コーヒー本来の味をもっと楽しんでもらいたいと思っています。だから写真だけに特化した発信ではなく、コーヒー豆の特徴やおいしく味わうこつなどを伝えられるように、「CUP of LIFE」を立ち上げました。 コーヒーに詳しい人だったらフレーバーの説明をすぐ理解できると思いますが、「グレープフルーツのような」とか「ボディがどうのこうの」と言われても初心者には伝わりにくいと思います。素人でも分かりやすいように自分の中でかみ砕き、カジュアルな表現で紹介しています。
またInstagramでは、よりリアルタイムにコーヒーのある日常を切り取って発信しています。写真から興味を持たれることの多い時代で、人との出会いの輪も広がるので、SNSでの発信も欠かせません。
Q コーヒーのおもしろさって?
コーヒーの発祥はエチオピア。ここから広がって今では世界60カ国以上で生産され、銘柄は200種類以上あるといわれています。産地によって味が全く異なりますが、豆のいり方、ひき方、お湯の量、豆の量、抽出時間、抽出する器具などでも印象が変わるんです。1杯のコーヒーに至るまでの長い長い道のりでガラリと変化するなんて奥が深いですよね。自分好みの焙煎(ばいせん)豆や入れ方を探っていくのも楽しいですよ。 また、店頭のスタッフとの会話もいい時間です。自分が知らなかった情報を教えてくれ、たわいのない話で盛り上がったり、自然とその場にいる人と仲良くなれたりする店がたくさんあります。コーヒーにまつわるコミュニケーションを育んでいくのも楽しみの一つです。
自宅では出勤前に自分で入れて飲んでいます。いろんなコーヒーを味わってみたくて、福岡で飲めない県外の焙煎(ばいせん)屋さんの豆やコーヒー店の豆を取り寄せ、自分で入れて楽しんでいます。いろんなコーヒーを飲んで、知って、ウェブサイトで紹介しています。
Q どんな味わい方をしていますか
毎朝自宅で飲んで、休みの日にも必ず飲みに出かけます。新しい豆が登場したり、期間限定のフレーバーがあると聞いたりしたら、1日2、3軒でも足を運ぶようにしています。仲のいいバリスタに会いに行くこともあります。 また、年に数回「コーヒー旅行」をしていて、旅先では1日10杯は飲みますね。エリアごとに特性があるのでそれを探求するのも楽しいです。県外にある実力派のロースターを巡りながら、味を知ったり、経験値を高めることが好きです。
SNSを使っていてよかったなと思うのは、Instagramでつながったコーヒー好きの人と実際に会えること。コーヒー旅行する際も、現地で合流して案内してもらいながら一緒に巡りします。お薦めの豆を送り合う仲になれた人もいるんですよ。 ただ、県外に行ったらここぞとばかりにコーヒー豆を買いすぎてしまうんです。おいしいコーヒーに出会ったらついつい豆も買ってしまって、気づけば200グラムの豆が7、8袋くらい一気にたまることがあります。冷凍庫に保存しようとして「もう入らない!」となることも。 豆も生き物。冷凍保存したとしても時間がたつにつれ鮮度が落ちてしまうので、新鮮な状態でおいしく飲める量を買うようにしなくては。最近は旅先でも冷静に判断するようにしています。
Q ビジネスにつながったことも?
コーヒーにまつわることを発信したくて昨年9月にウェブサイトを立ち上げたのですが、それを見たイベント関係者からちょこちょこお誘いをいただいています。 博多駅で行われたイベントで、コーヒーショップを始めるオーナーさんにアドバイスさせてもらったこともあります。 趣味として自然にやっていることをいろんな方が見てくれて、いいなと感じてもらった上で仕事のオファーをくださる。この流れが本当にありがたいです。
Q これまでコーヒーに費やした金額は
本格的に活動し始めた2015年から計算してみましたが、旅行、豆、ドリンク代、自宅用の器具やカップ、ウェブサイトの運営費などもろもろ含めたら、300万円くらいはかけていると思います。 休日に店を巡る際のドリンク代も月1万円以上は使っていて、200グラムの豆を年間50袋以上買うので、それを計算すると…。あんまりお金のことは考えたくないです。
Q これからの展開は
私は現在ファッション関係の仕事をしています。店舗でお客さまと洋服の話をするときも、コーヒーやカフェの話題で盛り上がることも多いんです。 今後新たな出店の際には、おいしいコーヒーを飲みながら、洋服を選ぶ時間を楽しむ、そんな空間ができたらいいねとみんなで話しています。 その時には私がコーヒーを担当し、しっかり良さを伝えていけたら。ファッションとコーヒー、それぞれに新たな発見を感じられ、好きなものを堪能してもらえる特別な場所になればうれしいです。 長年の趣味がビジネスとして生かせるチャンスがいつ訪れてもいいように、これからもおいしいコーヒーをたくさん味わって、多くの人にコーヒーの楽しさを伝えていきたいです。