みんなの平均年収と手取り年収は? 会社員の実態を詳しく解説

 こんにちは、福岡市のファイナンシャル・プランナー中村賢司です。  皆さんの年収は昨年より増えましたか? 国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」を基に、同じ年代の会社員の平均年収はどれぐらいか、年代別・男女別・業種別に見た場合はどれぐらい差があるのかを解説します。

目次

1.    実態に近い中央値は「年収350万円」

毎月の給与やボーナスからは、所得税や住民税などの税金、さらに健康保険や介護保険、厚生年金や雇用保険などの社会保険料、会社によっては組合費や社内旅行などの積立金がたくさん引かれています。そして残った金額が手取り収入となるわけです。年収は上がっても税金や社会保険料も同じように高くなっているので、ひょっとしたら手取り収入が増えている実感がない人もいるでしょう。  《会社員の平均年収》  全体:​432万2000円  男性:531万5000円  女性:287万円  国税庁「民間給与実態統計調査」の第4表事業規模別及び給与階級別の総括表(続)より  では実際にデータから見ていきましょう。国税庁が発表した「民間給与実態統計調査(平成29年分)」によると、会社員の平均年収は432万円(昨年比10万円アップ)です。この平均年収は、民間企業の従業員(非正規雇用を含む)と役員の年収が対象となっています。  この金額から税金や社会保険料が2割ほど差し引かれるので、手取り収入はおよそ350万円となります。  この平均年収は調査対象者約5000万人の平均ですが、中央値の年収は「300万~400万円以下」のランクで、その平均は350万円でした。ということは、手取り収入にすると約280万円となり、先ほどの平均手取り年収よりも70万円も下回っています。 《会社員の年収中央値300万~400万円以下のランク》  全体:​350万8000円  男性:352万9000円  女性:143万1000円  国税庁「民間給与実態統計調査」の第4表事業規模別及び給与階級別の総括表(続)より

2.    手取り年収、男女格差は200万円

 先ほどの平均年収を男女別にみると、男性は531万円、女性は287万円です。男女の差が大きく開いていることが気になりますね。この金額からさらに税金や社会保険料が引かれると、手取り収入は男性で424万円、女性で230万円となります。男女別の手取り年収にはなんと約200万円も差があります。  では、次に中央値を見ていきます。男性の調査人数約3000万人で最も多かった年収の階級ランクは、300万~400万円以下が523万人、400万~500万円以下が520万人と、調査人数の約3分の1である1000万人が300万円~500万円のランクで年収をもらっていることになります。

出典:国税庁「民間給与実態統計調査」の第4表事業規模別及び給与階級別の総括表より

 そして、それぞれの平均年収は300万円台のランクで352万円、400万円台のランクで448万円となっており、中央値から見て分かることは、男性の最も多い年収ランクは400万円前後ということになり、手取り年収は320万円ほどになるといえます。  これに対し女性の中央値は、調査人数約2000万人で最も多かった年収の階級ランクは100万~200万円以下が473万人、200万~300万円以下が435万人と、約半数の女性が100万~300万円の年収となっています(データ省略)。  そして、それぞれの平均が100万円台のランクで143万円、200万円台のランクで250万円となっていますので、女性の最も多い年収ランクは200万円前後ということになり、手取り年収は160万円ほどということになります。  皆さんの年収と比べてどうでしょうか?

3.    年齢別に見ると

出典:iStock.com/metamorworks

 次に平均年収を、年齢別で見ていきましょう。  「民間給与実態統計調査」では5歳刻みで調査されており、それぞれの平均年収は以下の通りとなっています。  《年齢別の平均給与》  20歳~24歳:262万円(男性278万円、女性243万円)  25歳~29歳:361万円(男性393万円、女性317万円)  30歳~34歳:406万円(男性460万円、女性314万円)  35歳~39歳:442万円(男性517万円、女性312万円)  40歳~44歳:467万円(男性569万円、女性308万円)  45歳~49歳:496万円(男性629万円、女性309万円)  50歳~54歳:518万円(男性676万円、女性302万円)  55歳~59歳:515万円(男性668万円、女性297万円)  国税庁「民間給与実態統計調査」の第11表企業規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額より  この調査結果を見ると、年代別では20代から30代にかけて、年収の上昇率は非常に高くなっています。  一方で気になるのが、男性と女性の年収が年齢を重ねるごとに差が開いていることです。これは残念でなりません。20代前半ではさほど変わりませんが、20代後半になると80万円も差が開き、30代になると100万~200万円も差がついています。女性の社会進出が当たり前のご時世、男女間の給与格差がこれほどあるのは今後の大きな課題といえるでしょう。

4.    業種別に見ると

 では、業種別の平均年収と中央値の年収についてはどうでしょうか。13種類の業種別にみていきましょう。  《13業種別の平均年収と中央値》  建設業:平均年収493万円(中央値448万円)  製造業:同507万円(同351万円)  卸売業・小売業:同373万円(同144万円)  宿泊業・飲食サービス業:同252万円(同77万円)  金融業・保険業:同614万円(同448万円)  不動産業・物品賃貸業:同417万円(同141万円)  運輸業・郵便業:同431万円(同351万円)  電気・ガス・熱供給・水道業:同746万円(同646万円)  情報通信業:同598万円(同449万円)  学術研究,専門・技術サービス業、教育,学習支援業:同510万円(同350万円)  医療・福祉:同399万円(同349万円)  複合サービス事業:同436万円(同248万円)  サービス業:347万円(同250万円)  国税庁「民間給与実態統計調査」の第9表業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額より ()内の中央値の年収が低い業種については、他の業種に比べると平均勤続年数が短く、転職や退職が多い業界なので、平均年収に比べ中央値の年収が低くなっていると言えます。こうして業種別に平均年収を見るとその差が大きいことが分かります。

5.    女性の年収が高い企業第1位は?

 株式会社グローバルウェイが運営している、企業の年収・評判・求人情報サイト「キャリコネ」によると、女性の年収が高い企業のランキングは以下の通りです。  《女性社員の年収が高い企業ランキング》  第1位 野村證券(平均年収667万円)  第2位 リクルートホールディングス(同606万円)  第3位 アクセンチュア(同585万円)  第4位 東芝(同529万円)  第5位 ソフトバンクグループ(同521万円)  6位以降は、三菱UFJ銀行(同508万円)、マイナビ(同503万円)、楽天(同498万円)、SMBC日興証券(同496万円)、富士通(同496万円)と続きます。  キャリコネ「女性社員の年収が高い企業ランキング」(2019年1月25日発表)より抜粋  国税庁の調査結果では男女の差が大きかったですが、これらの企業の女性の年収を見ると男性の年収に決して負けていません。女性が活躍できそうな企業が多いですね。

出典:iStock.com/Dekdoyjaidee

6.  20代の年収が高い企業第1位は?

 もう一つ、キャリコネに登録されている企業で20代の年収が高い企業ランキングは、以下の通りです。  《20代の年収が高い企業ランキング》  第1位 アクセンチュア(平均年収610万円)  第2位 日立製作所(同562万円)  第3位 トヨタ自動車(同548万円)  第4位 三菱UFJ銀行(同546万円)  第5位 三菱電機(同528万円)  6位以降は、デンソー、ソフトバンク、大和証券、三井住友銀行、東芝と続いています。いずれも有名企業ですが、実は1位のアクセンチュアを除き、初任給がそこまで高い企業ではなく、20代後半の成長や専門職の強みを生かして年収を上げているとの分析です。 キャリコネ「20代の年収が高い企業ランキング」(2019年1月9日発表)より抜粋

まとめ

 今回見てきた会社員の平均年収は、皆さんの年収と比べていかがでしたか?  平均年収の上昇率が高い20代や30代は、頑張ればその努力が認められ年収アップにつながっていきます。 また、国税庁の調査結果では男女差が大きかったものの、企業別ランキングを見ると女性も頑張れば年収アップを狙える企業もあります。  しかし、最終的には税金や社会保険料が給与から天引きされた手取り収入が気になるところです。その手取り収入を増やすには、人よりたくさん働き成果を出す、遅くまで頑張り残業代を増やすなどの方法があります。  その他にも、個人型確定拠出年金(イデコ)や生命保険料控除・個人年金保険料控除などの所得控除を賢く利用して節税するという方法もあります。  いずれにせよ「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言うように、今の仕事を極めるくらい頑張ることが年収アップに繋がっていくと思います。

出典:mymo

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