家族で出かけ、楽しい夏の思い出になるはずだったプールが、私の失敗で忘れられない思い出になってしまいました。大混雑のプール施設で、息子が迷子になってしまったエピソードをお話しします。
家族で大きなプールへ
息子が3歳と1歳の夏、家族4人でプールに出かけました。たくさんのウォータースライダーがある人気のプールのため、大変混雑していました。テントを置く場所を探すのも一苦労、トイレさえも長蛇の列だったので、いつも以上に気を付けながら息子達を見守ることに。
それでも、子どもプールで
「見てて!」と水に顔をつけて得意げにしている長男、波打ち際で恐る恐る水に触れてはニコニコとしている次男を見て、夫と
「混んでるけど来てよかったね」と話していました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、もう閉園時間。みんなプールから出て、出口へ向かいます。夫は次男を抱き、私は長男と手を繋いで更衣室へ向かいました。
「もう帰るの?」長男が言います。
「そうだよ。もうおしまいの時間だって」
「えー…」不満だったようで黙り込んでしまいましたが、それでもしっかりと手を繋いだまま歩いていました。
ほんの一瞬の出来事だった
長男があまりに残念そうにしていたので
「楽しかったね。また来ようね!」と声を掛けたそのとき。
「やだ! 帰らない!」長男はそう叫び、パッと手を放して元来た方へ走って行ってしまったのです。
「待って! だめ!」
慌てて追いかけるも人の波に飲まれ、進むことができません。
「すみません!」謝りながら人混みをかき分けますが、小さい身体ですり抜けていく長男をすぐに見失ってしまい、私は唖然と立ち尽くしました。
夫がすぐさま従業員の方に声をかけると
「僕たちが探しますのでここにいてください」と言われ、その場で待つことになりました。そうは言われても、心配で落ち着いていられません。
怪我をしていたら… プールに落ちていたら… 誘拐されてしまっていたら…。二度と会えなかったらどうしようとパニックでした。
私がもっとしっかり手を繋いでいればこんなことにならなかったのに… 後悔してもしきれませんでした。
迷子センターで再会
居ても立っても居られない気持ちをグッと我慢し、震えながらこぶしを握り締めて待ちました。10分ほど経った頃、
「青色の水着を着た3歳の男の子、〇〇くんを迷子センターで保護しています」というアナウンスが。私と夫は顔を見合わせ急いで迷子センターに向かいました。
そこには呑気に座ってDVDを見ている長男の姿がありました。
「あ! ママ!」私を見つけてニコニコと手を振る様子を見て、ほっとして涙が溢れます。
「心配したよ」抱きしめながら声をかけると
「ごめんね…」と苦笑いをしていました。
聞くと、自ら従業員さんに声をかけ、名前と迷子になったという旨を伝えたそうです。優しく微笑んだ従業員さんに
「お子さん本当に偉いですよ!」と褒められ、やっと冷静になった頭で
「迷子になったら周りの大人に声をかけて名前を言うのよ」と伝えておいてよかったと思ったのでした。
たった10分間でしたがとても長く感じ、過去に感じたことがないほど怖かったのを鮮明に覚えています。
子どもは思いがけない行動をすることがあります。手を繋いでいることに安心し、急に手を離して走り去ってしまうなんて考えもしなかった自分に猛省しました。
一瞬の失敗で大切なわが子を危険な目に合わせてしまわないよう、常日頃から気を付けようと思った出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/さとう なつこ)