これは実際に、私の勤める会社で起きたことです。同僚の事務員Kさんは、50代の女性。どんくさいけれど、穏やかで真面目な人です。ある日、そんなKさんは「仕事が進まない」と言い、とんでもない行動に出たのです。
Kさんは天然キャラ
事務室には5人の職員がいます。その中には営業を兼務している職員もいて、純粋な事務員は私とKさんの2人です。主な業務は事務作業の他に、一般のお客様が来社した時の窓口対応や電話対応もあります。
Kさんは真面目ですが要領が悪い人。例えば作業中に電話を受けると、電話を切った後に前の作業ができなくなってしまいます。また、Kさんにお願いしたことも
「聞いてません」
「知りませんでした」と真顔で言うことが頻繫にありました。
他部署の社員も、大事なことはKさんに伝言できないと気づいているようでしたが、真面目で良い人なので「Kさんっておとぼけだよね」といった感じで天然キャラという評価だったのです。
しかし任せた業務は常に遅れ気味…。私がKさんの分まで業務をこなすことはザラだったので、周囲の評価とはうらはらに、密かにイライラしていました。そんなある日、事件は起こりました。
パーティションで周囲をシャットアウト?
私が休暇を取った日に起きたこと、それは…「姿が見えないように、Kさんは自分をぐるりとパーティションで囲って仕事をしていた」というのです。
翌日、同じ部署の営業員は出勤するなり、昨日のことを相当驚いた様子で教えてくれました。
「窓口業務もしないし、他部署の社員が来ても無視していたよ!」と。
私は耳を疑いました。
「Kさんの席は窓口に1番近いのに?」
「それで同じ給料をもらうなんて納得できない!」と、日頃からKさんの分まで仕事をしていた私は、ため込んでいた気持ちが爆発。穏やかな性格を自負していますが、その時ばかりは怒りがこみ上げてきました。
それでも私は感情を抑え、様子を見計らい、部長に確認しました。部長も呆れ顔です。
「周囲から声をかけられると仕事ができない、というから許可した」ということでした。さらに驚いたのは、窓口業務に支障が出ないよう、1番奥の席の部長が、その日は窓口に近い席に移動して仕事をしたというのです!
Kさんに直接言えない理由
本当は直接Kさん本人に怒りをぶつけたいところです。しかし以前、ちょっと注意しただけで
「あー! もうわかりました。すみませんでした!」と逆ギレされてしまったことを思い出しました。
その日のKさんは普段と変わらない仕事ぶりでしたし、前日のことを言ったところで、私の不満がさらに増すだけ… そう思うと何も言えませんでした。
私の怒りは、Kさんに不信感を持つ周囲の社員に愚痴るという行為で、どうにかやり過ごすことに。
滅多に愚痴を言わない私が言ったことで、ようやく「Kさんはただの天然キャラではない」と気づいてもらえたようです。
災い転じて…?
それ以来、社員のみんなが私のストレスを理解してくれ
「よく我慢してるよね」などと言ってくれるようになりました。
その後はパーティションで仕切ることこそありませんが、今日ものほほんとしているKさん。相変わらず仕事が遅くイライラするけれど、理解してくれる人が増えたことで、私はどうにか仕事を頑張ることができるのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / kaeru)