福岡市公式インスタグラム連動企画「#fukuokapeople」。福岡で魅力的な活動をしているさまざまな方にフォーカスを当て、プロジェクトの内容をはじめ、活動の裏側や熱い思いを伺います。今回は、花の生産者と花屋が直接取り引きできるプラットフォームを開発する、株式会社CAVIN(キャビン)の代表取締役社長CEO・小松祐也(Yuya Roy Komatsu)さんにインタビュー! 花業界を活性化するプロジェクトに掛ける想いと、人々に届けたい本質的メッセージ、今後の展望を伺いました。
花の生産者と花屋を繋ぐ“相互交流型プラットフォーム”を開発。
人の心を癒す「花」を使って素直な気持ちを伝えられる社会をめざし、花の生産者と花屋を繋げる“相互交流型プラットフォーム”を開発する株式会社CAVIN。どこにいてもスマートフォン一つで生産者と花屋がコミュニケーションを図れるうえ、直接取り引きできる仕組みを提供しています。 小松:「花屋さんにとって “仕入れ”は生命線。だからこそ、そこには徹底してこだわる必要があった。そこでCAVINは、どこにいてもスマートフォン一つで生産者と花屋がコミュニケーションを図れるうえ、直接取り引きできる仕組みを提供しています。オンラインサービスであっても、媒介役の僕らは現場主義。ユーザーが安心して利用できるように、お店や生産者のもとへ何度も足を運び、相互の信頼性が築けるように働きかけています」
個性的な美しさの存在価値に気づいてほしい。「花の廃棄ロス」に込めた想い。
CAVINの事業は、消費者に花の真の美しさ・芸術性を楽しんでもらい、さらに花の廃棄ロスを減らすことも目標に掲げています。プラットフォームでは少量から花を取り引きできるので、花屋が必要な量を必要な分だけ仕入れることができ、廃棄ロスを抑えられるのです。 小松:「花の美しさには“形式的な美しさ”と“個性的な美しさ”の2種類に分けられると思っています。“形式的な美しさ”は市場で見かける花のように、調和のとれた端正な美しさのこと。もう一方の“個性的な美しさ”は、突然変異(帯化)現象を起こした奇形花を指し、見る人によって好みは異なるけれど、唯一無二の魅力が詰まった美しさのこと。僕は両方とも花として美しいと感じますし、これは人間にも同じことが言えますよね。形式美も個性美もどちらも評価されるべき」 個性的な美しさを持つ奇形花が廃棄される花業界の現状を見直し、人々のニーズが高まった時に展開することで“ロスフラワー”を削減。そして花業界の従来の常識をアップデートさせる取り組みも行っています。
従来の“当たり前”にとらわれず挑戦したことで、大きな手応えを得た。
この一年のコロナ禍を経て気づいたこと、また強固となった想いについて、小松さんの中に芽生えたものは何かを伺いました。 小松:「コロナ禍での気づきは、“挑戦”の大切さですね。スタートアップの理論として『最初から急ピッチでサービスやユーザー数を拡大しない方がいい』と言われていましたが、パンデミックの状況下で、僕らはその逆へと舵を切ったんです。様々な論文を読み、覚悟を持ってユーザー登録数を増やす施策を行いました。今では福岡県中心部の約1/3の花屋さんに登録していただき、プラットフォームの活性化が実現できています!」 これまで踏み出せなかったこと、やってみたくても御法度と止められていたことでも、自分の考えで“やれる!”と思ったなら挑戦してみること。前例のないコロナ禍だからこそ、今までの常識にとらわれずにチャレンジすることが、結果的に大きな価値や、その先の未来を築く近道になるのだと、小松さんは身を以て体感したそう。 小松:「その一方で型を変えず、必死に守り続けたこともあります。それは、“僕らがユーザーの一番の理解者であること”。ユーザーである生産者さんや花屋さんとの繋がり、対話など、カスタマー・インティマシー(顧客との親密性)にこだわりたいという想いはコロナ禍においても揺るぎませんでしたし、むしろ強くなりました」
起業家として大事な想像力や英気を養えて、創造へと繋げられる福岡市の魅力。
留学やビジネスなど、海外経験が豊富な小松さん。グローバルな視点を持つ起業家として、福岡市を拠点に活動する理由や目的はどんなところにあるのでしょうか? 小松:「福岡はアジアの玄関口とあってマーケットが想像以上に大きいですよね。世界のアート市場は7.6兆円あると言われていますが、花の市場は8兆円とアート界を上回り、しかも年々市場が拡大しています。それほど大規模な市場で、日本は花の生産量が世界3位! 品質も最高峰と評されており、福岡を拠点にすることで東南アジアへフィールドを広げやすくなります」 次の瞬間、小松さんが満面の笑みに…! 小松:「なにより僕、大濠公園が大好きなんです! 大学時代に住んでいたカリフォルニアの風にとても似ていて、空も広くて心地いい。起業家は声なき声(潜在的ニーズ)を想像することが大切なのですが、大濠公園にいるとすごくいいインスピレーションを得られるんです。想像を創造へと昇華させる際も、“新しい物好き”の福岡のまちが機運を盛り上げてくれる。福岡を拠点に事業を行うことは、僕にとって必要不可欠ですね!」
便利さよりも心の豊かさが、幸福度の高い社会を生み出す。
「だれでも、いつでも、どこでも、花を贈ることで素直な気持ちを伝えられる社会を作りたい」と語る小松さんに、今後の展望を尋ねてみました。 小松:「便利さよりも心の豊かさを大事にしていきたいです。もちろん新しい技術も役立ちますが、人との繋がりや相手への思いやり、コミュニケーションの質を大切にしながら社会の幸福度を上げていけたらいいなと思います。花瓶にさした花が1日でも長く持つように、水をあげ、気を配りながら育む気持ちと同じですね。 また、CAVINとしてはプラットフォーム事業を拡張し、高品質な日本の切り花を東南アジアへ輸出する事業の準備を進めています。福岡市から東南アジアのマーケットにビジネスを拡げて、一人でも多くの人が花の美しさに触れ、“想い”を交わせる仕組みを作り出していきたいです」 福岡市で育てられた切り花が日本各地、さらには東南アジアの人々の手に渡り、そこで想いが育まれる――。そんなシチュエーションが当たり前のものになる日が楽しみです! 小松さん率いるCAVINが展開するプロジェクトにますます期待が高まります!
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