休憩なし! ストイックすぎる友人とのスノボで起きてしまった事件

 友人4人でスノボに出掛けた時のこと。私たちは普段から一緒にテニスをしたり、お酒を飲んだりする仲間なのですが、Sさんは他の3人と違って超ストイック。何事も全力投球なのは素晴らしいのですが、一緒に行動することになった私に思わぬ受難が…

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友人とスノボへ

写真AC

 前日の夜10時頃に車で出発し、深夜1時頃にゲレンデに到着した私たちは、車内で仮眠を取り、早朝からリフトに乗って山頂から滑り出しました。

 ところが4人のうち2人は、昼食を済ませた頃にはもうクタクタで、
 「帰りに温泉でも寄って帰ろうか」などと言いながら食堂でビールを飲み始めてしまったのです。
 私も正直、車内ではよく眠れなかったし、スノボは午前中だけで十分に満足していたので、(私もふたりと一緒に休もうかな…)と思い始めていました。

 すると険しい顔をしたSさんが私の隣でぼそっと、
 「あの2人の、ああゆうとこが嫌い。やる気がないなら最初から来なければいいのに、ほんとイヤになる」と言ったんです。

 それを聞いてしまった以上、「私も休もうかな~」なんて口が裂けても言えず、
 「私たちはまだまだこれからでしょ~!」と、気持ちとは正反対のことを言い、ボードを担いで一緒にリフトに向かいました。

超ストイックなSさん

写真AC

 Sさんはスノボ上級者で、私は中級者。当然、Sさんは私なんかより滑るのが速いのですが、私が追いつけるように必ず途中で待っていてくれていました。
 私はそれを申し訳なく思い、Sさんに
 「好きに滑って来ていいよ」と言ったのですが、何だかんだ言って待っていてくれているので、私は常に自分の中のトップギアで滑っていました。

 1本滑り終わっては、すぐまたリフトに乗って山頂まで行くので、一体いつ休憩するんだろう… と思っていましたが、Sさんを見る限りまだまだ滑る気満々な様子だったので何も言い出せませんでした。

 夕方になり、リフトの営業が5分後に終了するというアナウンスがかかりました。
 私たちはその時まだ山頂付近にいて、私のペースだと麓のリフトまでは少なくとも15分から20分はかかります。とても間に合いそうにもなかったため、
 「あと5分しかないから、これでもう終わりだね」とSさんに言うと
 「あと5分あるから行こう!」と、超人的な発言が返ってきました。

 「うわぁ~! 超ストイック。でも… その考え方、嫌いじゃない!!」そう思った私はすっかりSさんのペースに乗せられ、自分でも怖いくらいのスピードで雪山を滑り始めていました。アドレナリンが放出されていたせいで、限界を超えていたのかもしれません。

とうとうバランスを崩して転倒

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 「ああ! 危ない!!」私がそう思った時には、後頭部を雪面にぶつけていました。日中に溶けた雪が夕方にまた凍ってアイスバーンになっているところがあり、バランスを崩して転んだのです。
 今まで感じた痛みの中で、一番強い痛みと、ガツン! という強い衝撃を感じて目の前に星が見えたあと、壊れたテレビのように意識を失いました。

 再び目を開けた時、私は大勢の人に取り囲まれていました。その中にはSさんや、食堂で休憩していた2人の友人もいます。
 「大丈夫?!」みんな心配そうに声をかけてくれましたが、転んで気を失っているところを大勢に見られているなんて、恥ずかしすぎてまた気を失いそうでした。幸いにも、軽い脳震盪だったようです。たんこぶひとつで済みました。

 Sさんに
 「ごめんね、私のせいで最終のリフト逃しちゃって…」と謝ると、Sさんも
 「こっちこそごめん、無理させすぎた」と申し訳なさそうに謝ってくれました。

 後日、念のため病院で脳のCTを撮りましたが、ドクターから
 「脳みそいっぱい詰まってるから問題ないよ」と言われたのでほっとしました。今思えば、無理なものは無理、出来ないことは出来ない、はっきり言えばよかったなぁと思います。それで去って行く友達であれば、それまでですからね。

 Sさんのストイックさは相変わらずですが、ポジティブな影響を与えてくれるので時々便乗したくなります。出産後はスノボからは遠ざかっていましたが、何年かぶりに誘ってみようかなぁ…

(ファンファン福岡公式ライター/あそうママ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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