私たち家族と義両親は、飛行機で行き来する距離に住んでいます。普段は程よい距離感で見守ってくれる優しい義両親なのですが、手土産だけは毎回ため息の出るものをくれるのです。息子が3歳の頃、初めて帰省した時にもらった手土産は、もはや「非常識レベル」の怒り心頭ものでした。
初めての帰省
息子が3歳の時、関東に住む義両親の元へ初めて帰省しました。義実家は手狭なのこともあって、帰省の際はホテル泊という暗黙の了解があります。
「せっかくだから息子のテーマパークデビューをしちゃおう!」と、奮発してちょっとリッチなリゾートホテルを予約しました。
帰省当日は朝5時に自宅を出発! 始発の飛行機で義実家へ。久しぶりの再会でしたが、義両親とも穏やかに楽しく過ごすことができました。あの時までは…。
渡された手土産にびっくり!
夕食も終わり、そろそろホテルへ移動という時、息子は朝早かったのでグズグズ眠いモードに。「荷物をすべて主人に任せて、息子は私がおんぶすれば大丈夫かな」と思っていたところ
「これ持って帰って!」と義母が大きな紙袋を2つ渡してきたのです。
中身は、炊飯器と見間違うサイズの大きな缶入りの「シュガーラスク」と、箱に入った直径20センチはありそうな「ホールのバームクーヘン」!
「デパートに行ったらたくさん人が並んでたの。何だろうと思って私たちも並んだら、買えたのよ!」と笑顔の義母。確かに美味しいと有名なお店のものでしたが、ネット通販でも買えるもの。
そんなことは知らない義両親は「並んで買ったお菓子だから、絶対喜ばれる!」ということしか頭になく、持ち帰るこちらの事情は完全に無視されてしまったのです。
深夜のバームクーヘン爆食い
眠った息子を連れて持ち帰れるような量ではなかったので、仕方なくホテルまでタクシーで移動することに。ところが義両親は
「タクシーなんてもったいないよ! 電車で行けばいいのに」と言うではありませんか! とことんこちらの事情を考えない発言に、心の中で「この手土産のせいだよ!」と突っ込まずにはいられませんでした。
タクシー代の痛い出費にイライラしながら、なんとかホテルの部屋に到着。手土産を開けてみて、さらにびっくり。バームクーヘンの賞味期限が翌日だったのです! 早起きして疲れ切っていた夫と私は
「少しでも荷物を減らしたい。そして食べ物を粗末にしてはいけない!」というドケチ根性と謎の使命感で、ホールのバームクーヘンを爆食! 完食するころには日付けも変わっていました。
テーマパークの夜景を見ながら、「せっかくリゾートホテルで優雅に過ごそうと思ったのに、何でこんな時間にバームクーヘン食べなきゃいけないの…」と空しい気持ちになったのでした。
翌日も、楽しみだった朝食ブッフェに食が進まず、テーマパーク観光中も胸やけとともに「あの手土産さえなければ…!」というモヤモヤが湧き上がって、心から楽しむことができませんでした。
話が通じない義両親
その後、主人から義両親へやんわりと
「手土産はもういらない」という趣旨のことを伝えてもらいました。ところが義両親は
「お菓子はもういらない」と受け取ったようで… その後も、趣味の家庭菜園で採れた泥付きのジャガイモを袋いっぱいなど、「なんでこれ持って帰れると思った?」という手土産を用意してくれるのです。
手土産は相手の事情も考えて
相手に喜んでもらえる手土産を選ぶのは、本当に難しいものです。自分が良いと思うものを、相手が喜んでくれるとも限りません。
しかし、内容よりもまず「相手の事情」をしっかり考えて欲しいと思いました。
内容が好きなものでなかったとしても、持ち帰るのに邪魔にならなければそこまで気にはならなかったはず。そろそろ義両親も、こちらの事情に気づいてくれればいいのですが…。
(ファンファン福岡公式ライター / まゆみ)