不妊治療ってどんなもの? タイミング法・人工授精の違いを説明できますか?

【不妊治療】 といっても、気軽に始められる治療から高度不妊治療と呼ばれる時間もお金も必要となる治療まで多岐に渡ります。一般的に不妊治療は「タイミング法」 ⇒ 「人工授精」 ⇒ 「体外or顕微授精」 という流れでステップアップしていくことが多いです。この違い、不妊治療経験者でないとご存知ない方が多いと思います。今回は、タイミング法と人工授精とはどんな治療なのか?また私の経験談を書いていこうと思います。

出典:イラストAC

厚生労働省のサイトにわかりやすいタイミング法、人工授精、顕微授精、体外受精の違いの説明(4ページ)があるので、まずはこちらを読んでいただくと、私の体験談もわかりやすいと思います。

子ども・子育て支援(不妊治療関係)

公益財団法人 日本産科婦人科学会

目次

不妊治療最初のステップ、タイミング法とは?

最初に行う検査で大きな不妊の原因になるようなものが見つからない場合、一般的には最初にステップとしてタイミング法からスタートする事が多いようです。 月経スケジュールからみて、排卵日だと思われる少し前にクリニックへ行きます。エコーで卵巣内の卵胞(鶏の卵をイメージすると卵子が黄身で、卵胞が白身) の大きさが2センチ程度に育っていれば、もう排卵のタイミングです。その日に性交を行うのがタイミング法です。つまりもっとも妊娠しやすいタイミングに狙い撃ちするということ! 不妊治療といっても、これは自然妊娠です。排卵してからの卵子の寿命は約7~24時間、一方精子の寿命は2~3日と言われています。ですから、その間に卵子と精子が出会わなければなりません。妊娠ってタイミングが大切なのですね。 タイミング法は費用も安価です。最近では薬局でも排卵のタイミングを尿で調べるキットも購入できるようになりましたね。 ただし、この治療でのデメリットは卵胞の成長が緩やかな場合「まだ卵が小さいですね~。排卵遅れそうだから、また明日クリニックに来てください」 と言われる可能性があること。つまり、仕事と通院のスケジュール調整が大変!! また夫婦の予定が合わないと、折角の月に1回のチャンスを逃すことになります。特に男性は「今夜がタイミングよ」 と宣告されると精神的に後ろ向きになってしまう方も多いようなので、タイミングが妊娠にはどれだけ大切なことなのか、夫婦で勉強して前向きに取り組む必要があるかもしれませんね。 ホルモンバランスが崩れている場合は、確実に排卵させるために排卵誘発法(内服薬や注射) を併用する場合も多いようです。

次のステップ、人工授精とは?

タイミング法でしばらくトライして上手くいかない場合、人工授精にステップアップする方が多いです。 人工授精とは、排卵日に容器に採取した精子を元気な精子だけの状態に濃縮させて、それを直接子宮へ注入する。その先、受精するかどうかは自然任せ、というもの。限りなく自然妊娠に近い手段ですね。 精子を元気なものだけに濃縮するので、精子が量や運動率など基準値をクリアしていない場合は有効な手段と言われています。費用は自費診療なのでクリニックよって1.5万~3万円くらいまでと幅があるようです。 一般的に人工授精で妊娠する確率は1回目が一番高く、2回目、3回目と回数を重ねるごとに成功率は下がっていきます。4、5回やってダメなら体外・顕微授精へのステップアップを考えるタイミングと言われています。(様々なクリニックのサイトに実施データが公表されているので、色々調べてみてくださいね。)

人工授精、私は7回トライしました。

私の場合はフーナー検査の結果が不良だった為、タイミング法は飛ばして、人工授精からトライすることにしました。内服の排卵誘発剤も併用したのですが、初回は処方された薬が効きすぎて卵子が3つも育ってしまったのです。万が一、3つとも受精してしまえば3つ子になる可能性があるということで、その月は人工授精が中止に。1か月を棒に振ったようでガッカリしました。2回目からは弱い薬に変えてもらい、無事に人工授精をすることができました。 人工授精もタイミング法と同じく排卵のタイミングがずれれば日程を変更しなくてはならないので、仕事との調整が必要になります。薬も飲んで準備していたのに、どうしても仕事の調整が出来ず、泣く泣く見送った月もありました。 また精子はクリニックで採取して冷凍してくれる所もあるようですが、私が通院していたクリニックでは朝一で採取したものを2時間以内に常温でクリニックに持参せねばなりませんでした。ですから、男性も大変ですよね。どんなに疲れていようが、眠かろうが、朝っぱらから採取しなくてはならないというプレッシャーがあります。 我が家でも夫はどうやって採取したのか知らないし、聞けません(笑)「とりあえず採取したら起こして~」とスヤスヤ寝ていることにしました。まだ温かい夫の精子を大切にクリニックへ運ぶのは、なんとも変な感覚です。

実際の人工授精の方法としては、まずは受付で精子を預け、精子を洗浄や元気の良いものだけの状態にしてもらいます。準備が整ったら、脚が広がる診察台に乗って、細いチューブで精子を子宮まで直接注入します。痛みはありませんが、個人差もあるようです。 私の通院したクリニックでは、精子を注入した後、脚を開いたままという恥ずかしい状態で5分ほど、ジッと待機させられました。精子が卵管まで泳いでいけるように、ということでしょうが、せめて下着くらい履かせてほしかったです。その後、ベッドに移動し、30分ほど休んで終了です。トータルの所要時間は2時間程度でした。 結局、私は人工授精に7回トライして、全て失敗。フーナー検査以外では問題がなかったので、人工授精で妊娠できるはずだという医師の判断の元、回数を重ねたのですがダメだったのです。最初は「そんなにすぐ上手くいかないか。次こそは!」 と前向きだったのですが、回数を重ねるごとに生理がくると「あれ? なんでダメなんだろう?」「あぁ、またダメだった・・・」とトイレで落ち込んで、涙が出るようになっていきました。 不妊治療は長引くほど、上手くいかない回数が増えていくほど、精神的に辛くなってきます。妊娠への期待から、生理がくると絶望を感じるようになっていき、前向きな気持ちを維持し続ける事がとても難しいのです。私の友人にも、人工授精の段階で心が疲労困憊してしまった人がいます。 私の場合は、これでダメならステップアップするしかない、と転院して体外受精に挑戦することになりました。ここまでに、既に1年の月日を費やしていました。その時、36歳。ここから妊娠率は右肩下がりです。精神的にはしんどくなってきましたが、この頃から焦りも感じ始め、前向きに治療を続ける事を決めました。

出典:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou/k_3/pdf/s2-1.pdf

女性のみならず、妊娠には男性の年齢も影響するという事がわかりますよね。現実を突きつけられるようで、ゾッとするデータです。でもこれが現実。一般的に不妊治療って大変なんでしょ?お金かかるんでしょ?とイメージをお持ちの方も多いと思いますが、それはここから先の話。次回は体外・顕微授精について書いていきます。

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参考資料

『厚生労働省 不妊治療に関する取組み』 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01.html 『公益社団法人日本産科婦人科学会 不妊症について』 http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡を拠点にフリーアナウンサー・タレントとしてテレビリポーター、イベントMC、ラジオパーソナリティ、コラム執筆など多方面で活躍中。健康管理士、食生活アドバイザー。自身の不妊治療の経験を通して、より多くの方に不妊治療に対する理解を深めて欲しいと発信している。

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