音感が身に付くピアノ、体力が付く水泳。さまざまな目的で、子どもに習い事をさせる家庭は多いでしょう。息子もいくつか習い事をしているのですが、ママ友が語った「習い事をさせる理由」に驚愕! 皆さんは、こんなママ友と一緒に習い事へ通いたいですか?
習い事に積極的なA君ママ
幼稚園の年中組からクラスが一緒のA君は、活発で人懐っこい男の子。息子を迎えに行くといつも園庭を駆け回っており、
「○○君ママ~!」と声をかけてくれます。
わが家の息子はどちらかと言えばおっとりしたタイプですが、A君とは馬が合う様子。
「遊ぼう!」と誘ってくれるA君に手を引かれ、鬼ごっこや遊具などでよく一緒に遊んでいます。息子を友だちの輪に引き込んでくれるA君の存在に、私も感謝していました。
活発なA君ですが、A君ママも明るくて物怖じしない方です。一言でいえばコミュ力が高いタイプ。私も送迎のときA君ママと話したり、公園で一緒に子どもを遊ばせたり、園内園外問わず交流を持ちました。
A君ママは習い事にも積極的です。A君は、幼児教室・体操教室・英語・スイミングと、たくさんの習い事を掛け持ちしていました。年長に進級してからはさらに増やすそうで、私たち親子にも
「一緒に習い事の体験に行かない?」と声が掛かります。
A君ママは、A君に体力を付けたいそうで、サッカー・野球・空手の体験に行くとのこと。さすがに全部は付き合えません。息子に聞き、
「空手やってみたい!」という息子の希望で体験に行くことにしました。
「拳でやり返す」発言に困惑
空手は小学校の体育館を借りて行うため、A君ママと私は、体験の様子を体育館の隅で見学していました。
空手は挨拶から始まり、準備運動、基本の「型」練習、「組手」と呼ばれる攻撃や守りの方法を学びます。活発なA君につられて息子も楽しそうに参加しました。A君ママは子どもたちの様子を見て
「入ってみようかな」と上機嫌です。
「空手いいよね。A君もやりたがってるの?」私が尋ねると、A君ママは
「嫌がってないからとりあえずやろうかなって感じ。格闘系は絶対やらせたいんだよね!」と、前向きでした。たしかに体を動かす機会は多いほうが良いし、礼節を重んじる空手を私も気に入ったので、A君ママの言葉に頷きます。
「たしかに礼儀も身に付くもんね」
「うん、それもそうなんだけど… 喧嘩で負けたくないじゃない?」
驚いた私は思わず「喧嘩?」と聞き返しました。A君ママは「うん!」と断言し、自信にあふれた顔で言葉を続けます。
「男の子だから喧嘩もするだろうし、相手にやられたら拳でやり返さなきゃ!」
えー?! 暴力をふるうために空手をやるの?! 私は、A君ママの言葉に耳を疑い、正直ドン引きです。A君ママは、自分の考えを微塵も疑っていない様子。私は
「そうだね~」となんとなく調子を合わせ、苦笑いしながら会話を終わらせました。
各家庭で違う子育て方針だけど…
わが家では、息子に「どんな理由があっても暴力は悪いことだからやらない」「誰かに手を上げられたときは、親や先生に相談する」と教えていました。
もちろん子育ての方針は各家庭で異なります。A君ママは、A君に「たくましく育ってほしい」と考えているのかもしれません。A君ママの気持ちは理解できますが、「拳でやり返すために空手を習う」という考え方には納得できませんでした。
結局、A君は空手を習い始めましたが、わが家は他の習い事とのスケジュール調整ができず、見送ることに。本心では、少しだけほっとしました。「やられたら暴力でやり返す」という考え方に困惑し、A君と一緒に空手を習うのが怖いと思ってしまったからです。
A君ママと空手について話してから、A君と息子がふざけてじゃれあっていると、ドキッとするようになりました。しかし幸いなことに、A君は友だち思いで、息子と激しい喧嘩をしたり誰かに手を上げたりという話は聞いたことがありません。これからもそうであって欲しいのですが…。
子育ての方針は、各家庭の考え方やそれぞれの子どもによって異なります。他所の家庭の方針で賛成できない部分はうまく受け流しつつ、わが子のベストな方法を模索できたらいいなあと思うのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)