オーガニック素材の今治タオルを製造販売する「イケウチオーガニック」(愛媛県今治市)は「博多リバレインモール by TAKASHIMAYA」(福岡市博多区)に、九州唯一の直営店を構える。洗濯機や手洗い場を備えたラボ(研究室)のような店内では、素材ごとに異なるタオルの使い心地を試せる。井上夏樹店長は「商品の特徴を確かめてもらうことで、作り手の思いも伝えやすい」と手応えを語る。
オーガニック素材の今治タオルを製造販売する「イケウチオーガニック」(愛媛県今治市)は「博多リバレインモール by TAKASHIMAYA」(福岡市博多区)に、九州唯一の直営店を構える。洗濯機や手洗い場を備えたラボ(研究室)のような店内では、素材ごとに異なるタオルの使い心地を試せる。井上夏樹店長は「商品の特徴を確かめてもらうことで、作り手の思いも伝えやすい」と手応えを語る。
1階正面入り口脇に出店する久原本家(福岡県久山町)の調味料ブランド「茅乃舎(かやのや)」は、全国に展開する22店舗の中で唯一、キッチンとイベントスペースを備える。定期的に開く料理教室は好評で、広報担当者は「日々の生活スタイルからだしの魅力を提案できる」と話す。 モールを運営する東神開発は12年以降、テナント構成の軸をブランド店やファッション関係から「博多発」中心に改めた。全62店のうち35店は福岡県内に本社を置く企業、15店は九州ではリバレインだけに展開する。九州や福岡の魅力を発信する一方、「ここにしかない」魅力を打ち出し、天神や博多駅周辺にはない売り場づくりに取り組む。
〝武器〟になるのが、ブランド店用に広く設計された売り場の区画。多くの店舗が実演や体験といったサービスを提供する。東神開発は13年から、店舗企画のカルチャー講座「リバカル」を累計1,700回以上実施。2月には訪日外国人客(インバウンド)向けに、英中韓の3カ国語に対応した講座も始めた。 12年度に280万人だった年間来館者数は、18年度に380万人を突破。再起への道のりは順調にも見えるが、東神開発西日本事業部の藤野憲治副部長は「福岡での競争は厳しい。オリジナリティーを追求し続けなければ成長もない」と気を引き締める。 流通業界は業態の垣根を越えた競争激化に加え、ネット通販も台頭し、将来像は見通せない。福岡市内では18年に三菱地所が大型商業施設「マークイズ福岡ももち」を開業。三井不動産は22年、同市博多区で子ども向け職業体験テーマパーク「キッザニア」を含めた大型施設を開業予定だ。テナントのターゲットが重なれば、客の奪い合いは激しさを増す。 東神開発は「家族3世代」に加え、新たな客層の掘り起こしを図る。2月に閉じた地下1階の小ホールを中心に、簡易宿泊施設とフィットネスクラブにリニューアル。健康志向の女性やビジネスマン、個人旅行客などの需要をにらみ、20年度の来館者数は400万人を目指す。 「博多リバレインには博多座やアジア美術館といった文化と芸術も集積している。20周年を機に連携を強化し、他にはない、ここにしかないものを打ち出していきたい」と藤野氏。6日で開業20年のリバレインモール。新たな門出に「博多復興」を誓う。 =2019/03/06 西日本新聞=
きょう20周年! 博多リバレインモールの苦難の歩みが分かる連載(上)