双子の娘達が小学一年生になったばかりの頃、初めての授業参観がありました。科目は国語で、「家族への手紙」を作文にして読んでくれるという内容。楽しみにして行きましたが、そこで思いがけずママ友の秘密を知ってしまうことに…。私が体験した、授業参観での出来事を紹介します。
初めての授業参観
娘達が小学生になって初めての授業参観。私も夫も、当日を楽しみにしていました。
張り切って少し早く小学校に到着すると、そこにはママ友のAさんがいました。Aさんは、娘達と同じクラスで仲良くしている息子のB君がいます。娘達とB君は仲が良く、放課後に一緒に公園で遊んだりする仲です。
Aさんは私達を見つけると笑顔で
「こんにちは! 夫婦お揃いで仲良しだね」と声をかけてきてくれたので、私も
「Aさんの旦那さんは? 仕事?」と、カジュアルな感じで聞きました。
するとAさんは
「あの人は、私達よりも仕事が大事だから…」と顔を引きつらせながら言います。私は一瞬「聞いてはいけなかったかな」と思いましたが、その後Aさんはすぐ笑顔になり、たわいもない話で盛り上がったので、考えすぎだと思いなおしたのでした。
授業内容は「家族への手紙」
チャイムとともに授業が始まります。娘達は、後ろを振り返り、私達の姿を見つけると嬉しそうに笑顔で手を振ってくれました。
先生が
「みんな、お父さんやお母さんにお手紙書いてきてくれたよね! 今日はみんなにそのお手紙を読んでもらいます」と言うと、みんな張り切って大きな声で返事をして、とてもやる気に満ち溢れていました。
1人ずつ前に出て、お父さんやお母さんに心のこもった手紙を読んでいきます。中にはその手紙を聞いて、感動して涙をこぼしている保護者もいました。
長女の番になりました。緊張しながらも堂々と、「大好きなママへ」と題した手紙を発表してくれました。もうすでに私の目には涙が浮かびます。
続いて次女の番です。次女は私だけではなく、夫にも宛てた手紙を発表してくれました。夫婦で感動し、こらえていた涙があふれてきます。
涙を慌てて拭いていると、B君の発表が始まりました。B君は、緊張を感じさせない様子で、姿勢よくお母さんに宛てた手紙を読み始めました。
「さすがB君、しっかりしているなぁ」と感心しながら聞いていると、衝撃的なことを発表し始めたのです。
B君の手紙
B君は、手紙の最後を
「パパが違う人の所に行ってしまったのは悲しいけど、僕がママのことを守るから安心してね!」と締めくくりました。
私は一瞬、B君が何て言ってるのか理解できないくらい動揺しました。隣の夫を見ると、夫も動揺している様子。というのも、Aさん一家は保育園時代には、「仲が良い一家」として有名だったからです。
発表後、B君はAさんを見つめ、お辞儀しました。B君の目からは大粒の涙が流れています。
思わずAさんを見ると、ハンカチで顔を覆って号泣しています。まわりの保護者や、聞いていた子ども達もびっくりして、騒然とした雰囲気に。
とにかく無事に全員の発表が終わり、授業参観は終了しました。娘達にバイバイして、クラスを後にしようとした時、Aさんが声をかけてきたのです。
B君の気持ちに感動
神妙な面持ちのAさんは、
「さっき、Bが発表したことは本当なの…。旦那の浮気が原因で離婚したの。ずっと言おうと思っていたのに、言えなくてごめんなさい」と謝ってきました。
私は戸惑いながらも、Aさんに
「こちらこそ何も知らないでごめんね。私にできることがあったら何でも言ってね」と言って、その場を後にしました。
その後も、Aさんとは何事もなかったようにお茶をしたりランチをしたりしています。
仲が良かったAさん夫婦が離婚してしまったのは、びっくりしましたが、幼いながらもきちんと家庭のことを理解してお母さんを守ろうとしているB君に、私は胸がとても熱くなりました。
まさか、授業参観でママ友の秘密を知ることになるなんて…。こんなこともあるんだなぁとびっくりした体験でした。
(ファンファン福岡公式ライター / miyuki)