明治生まれの祖母のちょっと怖くて不思議な思い出をまとめた連載「祖母が語った不思議な話」終了時に多くの方からいただいた「続きが読みたい」の声にお応えした第2シリーズです。
その根付(ねつけ)をフリマサービスで最初に見たのは二年ほど前だった。
何かの角を素材に人にも動物にも見える異形が彫られたもので、気味が悪いのに心惹かれる一度見たら忘れられない根付だった。
作られた年代の古さ、その出来にもかかわらず驚くほど安価で出品されていた。
「実家で代々大切にしてきたものです。火事や事故にも無事だった縁起物です。お好きな方はぜひこの機会に!」という説明文を読み、購入しようと思ったときにはもう売れていた。
惜しい事をしたな…と残念に思った。
「あれ?この根付、また売りに出されているぞ?」
半年くらい経ったある日、その根付を見つけた。
既にSOLD になっていたが、気になったので説明文を読んでみた。
「兄が大切にしていたものです。大事にしてくださる方にお譲りしたいと思います」とあった。
販売金額は以前見たときの半額くらいになっていた。
それから半年後、また見つけた。
説明文は「父が持っていたものです。価値は分かりませんがとても古いもののようです。お値引きに応じますのでぜひコメントください」だった。
値段はさらに下がっており、SOLD になっていた。
それからさらに半年。
「家族がこちらのサイトで入手しましたが不要になりましたので格安でお譲りします。価格交渉応じます」と書いてあった。
今度もSOLD になっていた。
そして数日前。
「娘が知人からいただきましたが使う機会がなくなりましたのでお譲りします。ノークレームノーリターンでお願いします」と書かれ、出品されているのを見つけた。
「大切にしていた」「持っていた」「不要になった」「使う機会がなくなった」…これはさすがにおかしい。
再度画像を眺めたその時、SOLD になった。
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「おばあちゃん、持ち主の命を縮める物ってあるの?」
「理由は分からないけれど持つと持ち主に不幸があり、次々と人から人へ渡り歩く物はたしかにあるよ。それを繰り返すうちに業がどんどん重なって行くのかもね」
「そうやって考えると古い物は怖いね」
「普通の物は大丈夫。むしろ大切に長く使ってあげたほうがいいよ。曰くありげな物はひと目見て厭な感じがしたり、理由も無く惹かれたりするから気をつけてね」
小学生の頃、祖母とこんな話をしたことを思い出した。
チョコ太郎より
99話で一旦幕引きといたしました「祖母が語った不思議な話」が帰ってきました!この連載の感想や「こんな話が読みたい」といったご希望をお聞かせいただけるととても励みになりますので、ぜひ下記フォームにお寄せください。