わが家では夫や同居する義父が鬼の面をかぶり、豆まきをするのが節分の恒例イベントです。息子や娘が幼かった1~4歳のころは、鬼の登場に逃げまどい豆を投げることすらできませんでした。そんな状況を見て笑っていた私たちですが、最近では立場が入れ替わり…!?
逃げまどうばかりの鬼退治
わが家では毎年、節分の豆まきのために、100円均一ショップで販売されている鬼の面を購入しています。色は赤、青、白です。どれも微妙に顔の表情が違って面白く、持っておくと「叱るとき」など、節分以外にも使えて重宝しています。そして節分の豆も購入。最近はなんでも100均でそろうので本当に便利です。
さて、わが家の恒例は、鬼登場付きの豆まきです。鬼役は夫と義父です。息子と娘が1~4歳頃までは、2人とも鬼を見ただけで泣きわめいていました。豆をまくどころか、逃げまどうばかり。私たちはそんな怖がる息子と娘の姿を見ながら楽しむ、悪い大人といったところでした。
しかし年々、わが家の豆まきにも異変が起こってきたんです。
子どもたちも、泣いてばかりではなくなりました。鬼に対してやっと豆を投げられたのは、息子が5歳の頃でした。
豆まきの当日、鬼役の夫と義父は庭に出てリビングの窓付近に待機。私が窓を開けると、恐ろしい形相の鬼が息子と娘を威嚇(いかく)してきました。息子はいつものように泣いて逃げるのかと思いきや、怖がりながらも鬼に立ち向かい、
「鬼は外! 福は内!」と声を震わせながら、初めて豆を投げ始めたのです。
隣では2歳の娘が泣きじゃくっていました。息子は妹のためにも、自分がしっかりしなくては! と思ったのかもしれません。思うように力が入らず、ほとんどリビングの中に豆が転がっていましたが、一生懸命な姿が愛らしかったです。豆はしっかり投げられなくても、声だけはしっかりと出ていた息子の姿を見て、成長を感じたものです。
いつのまにか立場が逆転!? 息子のパワー恐るべし
その後、息子が6、7歳になると、みるみる体が大きくなり、鬼が登場しても立ち向かえるようになってきました。そして年々、豆を投げる力がパワーアップ。さらに鬼への的中率もアップ! 鬼のほうが先にノックダウン状態になってきました。
8歳ともなると、息子の相手をするのが大変だと言い出した義父。遂に鬼を引退してしまいました。夫も鬼役に後ろ向きです。 とうとう、私が鬼役をせざるを得なくなりました。これも子どものためだと自分に言い聞かせ、鬼の仮面をかぶって、いざ出陣です。
私は例年通りリビングの窓を開け、子ども達を威嚇しました。すると、すでに窓付近に待機していた息子は
「おりゃー!!」と至近距離で豆を投げてきたのです。仮面をしているといっても痛いのなんの。
一度に投げる量も半端ではありません。これは早々に退散せねば…。鬼の登場時間は3分も持ちませんでした。相変わらず5歳の娘は泣いて逃げていましたが、息子はまったく平気。むしろ力いっぱい投げられるのを楽しんでいました。
いつの間にか立場が逆転です。大人の私たちが先に参ってしまうようになりました。そして息子に関しては、すでに鬼の正体が分かっていますから、怖いものなしです。
息子が泣きじゃくっていたあの頃が懐かしい。あんなにかわいかった息子はどこへいったものか。毎年恒例の豆まきですが、今年はやる? やらない? と家族会議中です。
(ファンファン福岡公式ライター/伊藤 優香)