子どもの食に関して、味付けの濃さやお菓子の食べすぎに神経質になっていた私。あるとき、私の育て方に対して、母からショックな言葉をぶつけられてしまいました。たった一言なのに、なぜいつまでもショックを引きずってしまったのか。母の言葉に傷付いた理由を掘り下げていくことは、息子との向き合い方を見直すきっかけになりました。
好き嫌いが多い息子
ある日、私の実家に帰省したときのこと。その数日前に、母が親族の家で食事をしたという話を始めました。みんなで鍋料理を食べたそうですが、私の息子と同い年である4歳の子どもも、大人と一緒に鍋をつついていた、とのこと。
それを聞いて
「うちの子は決まったものしか食べないから、一緒に鍋なんてまだ無理だなぁ…」と言うと、母が
「そういう風に育てちゃったんだね」と残念そうな顔で一言。
“そういう風”とは、息子を過保護にして、好き嫌いの多い子に育ててしまった、という意味でしょう。
たしかに私は、実家に行くと
「息子におやつを食べさせすぎないで」とか
「大人のおかずは味が濃いから、ほどほどにして」とよく言っていました。息子に好き嫌いが多いのは、私が食に敏感になりすぎたせいだと、母に思われるのも仕方がないとは思います。
しかし、私には言い分があります。
・将来の生活習慣病を懸念して、濃い味やジャンクフードをなるべく避けていること。
・調理法を工夫しても、息子は好きなもの以外は絶対に食べない、ということ。
・好き嫌いの多さは、育て方ではなく生まれ持った気質による、という説があること。
・大きくなるにつれて食べられるものが増えればいい、と思っていること。
母の「そういう風に育てちゃったんだね」という言葉に対して、言いたいことはたくさんありました。しかし、母に言い返せば、さらに攻撃的な言葉が返ってくるのが分かっていたので、私はそのまま黙ってしまいました。
母の言葉に傷付いた理由
母の言葉は数日引きずりました。夫に愚痴っても、SNSでつぶやいても、しばらく頭から離れませんでした。なぜ、母の言葉にこんなに傷付くのでしょう…。一番は、私の言い分を聞いてもらえなかったからだと思っています。
昔から母には、褒められることよりも怒られることの方が多く、私の言い分が聞き入れられた記憶はありません。母にとっては自身の考えが絶対で、それ以外の意見を受け入れる余地はありません。私はいつの間にか、黙っている方が得策と考えるようになり、言い返すことはなくなりました。
今回の鍋料理の話も同じです。子どもが大人と同じ料理を食べること、を良しとする母には、私の言い分は聞き入れられないだろう、と思いました。しかし母に言い返せないことで、悲しいような悔しいような、複雑な気持ちが残るのは、子どものころも今も変わりません。
似ている親子関係
ここまで書いてきて気付きました。私と息子、よく似ている。
かつて母に
「あんたは怒られても絶対に謝らない子ね!」と言われたことがあります。私の息子もそうなのです。「ごめんね」をなかなか言いません。
そういえば息子は、私が
「なんで謝らないの!」と叱ると、泣きながら一生懸命、何かを訴えようとすることがあります。しかし私は、
「やっちゃだめなことはやっちゃだめなの!」と言い、息子の言葉を押し込んでしまっています。
自分の気持ちを理解してもらえない悲しさや悔しさを知っていながら、同じことを繰り返してしまうなんて…。母と同じような子育てはするまい、と思っていたのに、だんだん母に似てきている自分にがっかりします。
食に関する私のこだわりも、息子にとってはただの押し付けになっている気がしてきました。寛大に構えることで、息子が食べられるものの幅が広がるかもしれませんね。
体に悪そうなものでも、息子が「食べたい」と言ったら、「ダメ!」の一言で封じ込めずに、耳を傾けることを大事にしていきたいと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/れな)