わが家は夫と私、小学生の娘と息子の4人家族です。わが家はみんな猫が大好き。子どもたちが小さい頃はペット不可のアパートに住んでいましたが、子ども達が小学生になり一軒家を購入したタイミングで、猫と暮らすことを考え始めました。
かわいい猫ちゃんと暮らしたい!
ある日、猫の里親募集のSNSを見ていると、とてもかわいい子猫を見つけました。大きな瞳が愛くるしいその子猫は、母猫が出産直後に交通事故で亡くなってしまったそうです。しかし残された子猫は運良く近所の人に発見され、保護団体に預けられたとのことでした。
まだ生後間もない子猫が、哺乳瓶で一生懸命ミルクを飲む姿はとても健気でした。そしてわが家はその子猫に会いたくなり、すぐに里親に応募しました。
厳しい譲渡条件
保護主からはすぐ返信が届きました。そして偶然、保護主はわが家の隣町にお住まいだったので、条件が合えばすぐにでも面会に来てほしいということ。子どもたちも大喜びで一気に盛り上がったわが家ですが… 実は譲渡の条件はかなり細かく厳しいものだったのです。
条件は「室内飼いをすること」、「十分な食事を与えること」から始まり、家族全員の帰宅時間や生活習慣についても細かく書かれていました。
どうやら最近は猫の転売や虐待目的の応募が多く、条件を厳しくせざるを得ないそうです。しかし、夫も私も猫と暮らした経験があり、住宅環境も問題ないため、条件はほぼクリアできました。
ついに面会の許可が下り、わが家はワクワクしながら子猫と対面することになったのです。
どうしても越えられない条件の壁にぶつかる
実際に会った子猫は写真以上に可愛らしく、わが家は一瞬でメロメロに。子どもたちは、ヨチヨチ歩く子猫をそっと撫でて喜んでいました。
保護主は、夫と私に改めて譲渡についての条件を確認しました。そのほとんどは問題ないはずでしたが… しかし「長期間不在中に子猫の世話をしてくれる近親者がいること」という項目で私たちは困ってしまったのです。
なぜなら夫も私も県外出身なので、近くに身内はいません。しかし保護主は、
「旅行などで長期不在にするときは、猫の世話をしてくれる人物が必要だ」と言うのです。特に子猫は行動が不安定なため、どうしても必要な条件だと…。
世話をしてもらうためには、家の鍵をその人物に預けなくてはなりません。近所に仲の良いママ友はいますが、家の鍵を預けるとなると、お互いに気を遣います。
夫と私は何も言えなくなり、その場は一気に不穏な空気になりました。子どもたちも心配そうにこちらの様子をうかがっています。
子猫の行動は…?
するとそれまでオモチャで遊んでいた子猫が、ふと夫の膝に登り始めました。そしてなんと、そのまま夫の膝の上でスヤスヤと眠り始めたのです。それを見た保護主は
「『この人がいい』ってこの子が決めたみたいです!」と言って笑顔になりました。それを聞いて家族全員でガッツポーズ!
子どもたちはさっそく子猫の名前を考え始めました。夫と私もホッとして、夫の膝の上で気持ち良さそうに眠る子猫をそっと撫でました。
選んでくれてありがとう
ただ追加条件として、「成猫になるまで長期の旅行は出来るだけ避ける」ということを約束しました。また、わが家がどうしても長期間出掛ける際は、子猫を一時的に預かると保護主は仰ってくれました。
いろいろな壁を乗り越えてわが家に来てくれた子猫はスクスク育ち、あっという間に大きくなりました。子どもたちも子猫のお世話をしながら、命の大切さを感じているようです。そして子猫と私たち家族は、今もずっと一緒に仲良く暮らしています。
(ファンファン福岡公式ライター / salice)