息子離れしていない姑が、新婦を睨み、悪口を吹聴し、結婚式を台無しにする。 私が目撃した最も不幸な結婚式…。嘘のような本当にあったお話をご紹介します。
不幸な結婚式になるとは知らず…
その日、私は、友人の晴れ姿を祝おうと、結婚式に向かっていました。息子を愛してやまない姑が暴走して、ゲストはドン引き、新婦が号泣する、不幸な結婚式になるとも知らず・・・。
友人Aは、社交的で快活な素敵女子。Aが20代の頃、職場で出会ったBは、30代前半、高学歴で高収入。某イケメン俳優に似た爽やかなルックスで、文句のつけようがない男性でした。ただ一つ、バツイチという点を除けば。それでも、元妻との離婚理由が、すれ違い生活だと聞いて、Aは結婚に踏み切ります。
約1年かけて、AとBが準備した結婚式は、豪華ホテルに200名のゲストを招く盛大なもの。ところが、挙式会場に到着した途端、異様な光景に唖然としました。
Bのお母様、姑が真っ白なワンピースを着て、親族席でグスグスと泣いているのです。「バツイチ息子が、ようやく幸せをつかんで、感動しているのかな? それとも結婚に反対して、嫌がらせで白い服を着ている?」 もう姑から目が離せません。
新郎Bの登場に、涙を拭きながら笑顔を見せた姑ですが、バージンロードを歩く新婦Aを睨み付ける・・・。そして新郎新婦誓いのキスの瞬間は、こらえきれなかったのか、ヒイヒイと悲鳴のような泣き声が響きわたりました。
披露宴会場に移動してからも、姑の暴走は続きます。 目のふちを赤く腫らした姑は、ゲストの皆さんに、挨拶とお酌をしてまわりながら、息子の自慢バナシを始めるのです。
「Bは、幼い頃から賢くて、神童と評判だった」
「昔から優しい子で、母の日や誕生日には必ずプレゼントを贈ってくれる。初任給で海外旅行に連れて行ってくれたのよ」
「今でも毎日LINEで話しているし、Bのことはなんだって知っている」 とまどうゲストの様子に気づかず、姑の自慢は止まりません。
ついに姑が、私達、嫁の友人のテーブルへ挨拶に来た時、第一声に耳を疑いました。
「皆さんは、Aのお友達?Aはこれまで何人とお付き合いしていたのかしら?Bならどんなお嬢さんでも選び放題だったのに、あんな派手な子を選ぶなんて。本当に人がいいったら・・・」私達がAの人柄をほめても、舅が姑をいさめても聞く耳なし。結局お酌をすることもなく、立ち去ってしまいました。
Bがバツイチなのは、あの強烈な姑が元凶なのでは・・・?! そんな話をヒソヒソとしているうちに、結婚式は感動のクライマックスへ。 「花嫁の手紙」の時間がはじまりました。
「花嫁の手紙」が終わったところハプニングが!
新郎に寄り添われた新婦が、幼い頃や思春期の思い出を振り返り、社会人になってからも心の支えであり続けてくれたご両親へ、尊敬と感謝の気持ちを伝える感動のシーン。
新婦のご両親が、肩をふるわせながら涙をこらえている様子に、もらい泣きするゲストも多い中、会場で唯一、ブスッとふくれっ面をしている人が・・・姑でした。
新婦側に注目が集まっているのが、面白くなかったのか、新婦を睨み付け、不機嫌そうな顔をしています。 やがて手紙を読み終わり、新郎新婦からご両親へ花束が手渡された時、その日もっとも不幸な瞬間が訪れました。
姑は、新郎に駆け寄り、新郎の手を握りしめるように花束を受け取ったかと思うと、大声で
「Bちゃんは、我が家の宝物なんですからね! Aには、貸してあげるだけ! 食事も体調管理も気をつけてちょうだいね。風邪でもひかせたら承知しませんよ!」と、新婦を恫喝。
新婦は、ワッと泣き崩れ、ゲストは、姑の様子にドン引きして唖然・・・ 救いようがない程、冷たい空気が流れている中、腹の中にしまっていたことを全部言った姑だけ、すっかり満足しているようでした。
その後、1年経ちますが、A夫婦はまだ離婚していません。姑の再三の呼び出しを無視して、Aは一度も姑に会っていないそうです。もうすぐA夫婦には子どもが生まれますが、姑は孫を抱かせてもらえるのでしょうか・・・。
一生に一度の晴れ舞台を、台無しにされた花嫁の恨みは、深いのです。
(ファンファン福岡一般ライター)