お盆休み恒例、夫の実家訪問。舅・姑に喜んでもらいたくて選んだ手土産を罵倒されたら・・・? いつの時代も嫁姑戦争は、些細なきっかけから、はじまるのです。
真夏の帰省
皆さんは、手土産を突き返されたこと、ありますか? 数年前のお盆明け早々、友人Aに呼び出されました。
「チョコレート戦争のはじまりです。復讐につきあって」 Aは、その年のお盆休みを、実家で1泊、続いてA夫の実家で2泊3日過ごしたそうです。
義実家に到着して早々、姑に
「こちらを後回しにするなんて、情けなくてご先祖様に顔向けできませんよ!」と叱られ、玄関から一歩も中に入ることなく、お墓参りへ連れ出されました。 宿泊用の荷物や、手土産を抱えたまま、炎天下の中を歩き、義実家に戻ってからもお説教。
「いつになったら孫ができるの」
「仕事なんかして、A夫と私達をないがしろにするつもりなのか」とクドクド・・・。やっと手土産のチョコレートを渡せた時、保冷剤の効果もむなしく、溶けていました。
この酷暑の時期に、温度管理の難しい手土産だなんて、センスのいいAにしては珍しいと思って尋ねてみると、姑が無類のチョコレート好き。 今年のバレンタインデーに、義実家から呼び出された際、Aが花束、A夫がチョコレートを舅に手渡すと、姑が横からチョコレートだけを奪い取り
「A夫が選んだんでしょ? 宝石みたいに輝いて、もったいなくて食べられませんよ!」と大喜び。日頃から嫁が選んだものに、ケチをつけてばかりの姑。花束には見向きもせず、最後まで花瓶に花を生けることはありませんでした。
そんな出来事があって、お盆の帰省土産は、チョコレートでリベンジすることになったのです。 Aが選んだのは、ウィーン王宮御用達の高級品で、可愛い猫が描かれた箱に、猫の舌をモチーフにしたチョコレート。
「愛猫家の姑ならきっと喜ぶはず!」と意気込んでいたものの、炎天下のお墓参りの末、無残に溶けて団子のようにくっついたモノを見て、姑は言い放ちます。
「なに、この猫の糞みたいなの。こんな酷いものを持ってくるなんて、嫌がらせ?」 思わず、涙がにじむA。
「泣かれても困るわよ。私がいじめてるみたいじゃない!」 姑はプリプリ怒りながら、手土産を突き返してきました。
その間、A夫と舅は見事に空気と化していました。見て見ぬふりを決めこんだ男性陣にも嫌気がさして、良い嫁キャンペーンを終了したそうです。
義母へ復讐
そして冒頭の復讐宣言に繋がります。 帰省中のあまりにも酷い仕打ちに怒るAは、帰省後すぐに、私に声をかけ、某高級ブランドのカフェに向かいました。ショーケースに並ぶのは、ブランドの刻印が輝くチョコレート、なんと1粒500円!
憎い相手に、何故こんな高価なものを贈るのか戸惑う私を尻目に、彼女は迷うことなく、8粒入りの瀟洒な箱を選び、メッセージカードを添えて、義実家宛に発送しました。
「先日は、酷い手土産を持参してしまい、申し訳ありませんでした。これはお詫びの気持ちです。お父様、お母様ご一緒に召し上がってくださいね。また孫の顔も見せられず、親不孝で、不出来な嫁で、すみません。今A夫さんは、ヘルニアで休職中なので、使い物にならないのですが、よい薬があるようなので、夫婦で頑張ります!」
義実家は、自慢の息子が休職中で、彼女が大黒柱で働いていることを、ちっとも知らずに、仕事をやめろと説教していたそう。 そして某ブランドは、姑にとっての地雷。
「数年前、舅が浮気相手に、ここの財布をプレゼントしたのがばれて、修羅場になったんだって」 そう笑いながら話す彼女。 復讐のチョコレートが、姑の手に届いた後、いったいどうなったのか…。怒りに震える姿が、目に浮かぶようです。
(ファンファン福岡一般ライター)