幼稚園や保育園に入園する以前、未就学児の子どもをのびのびと遊ばせたいママは、積極的に子育てサークルに参加しています。自治体が主催する子育てサークルのほかに、参加するママ達自身が企画運営する子育てサークルもあり、素人運営だからこそ、トラブルが起こりやすいと言われています。 これは、楽しかった素人子育てサークルが、空中分解して解散したお話。きっかけは、一人のママの行動でした。
楽しい子育てサークル
友人は、ママが運営する子育てサークルに参加しています。ベビーマッサージ教室や、親子ヨガ、絵本の読み聞かせ、ボディーペインティング、公園でピクニック、お誕生日会・・・ ママ達はこどもがのびのび遊べるように、様々な企画を考えます。
2年目になる子育てサークル。当初は、できる範囲で活動を盛り上げて、参加するかどうかも自由、のんびりと、ゆる~い活動をしていました。ところが、徐々にサークルの活動に熱心なママと、「こどもが楽しく遊べたら、なんでもいいよ」という他人任せなママに分かれてきて、雰囲気が変わってきたのです。
気づけば、熱心なママがリーダーシップをとって、企画をたてるようになりました。
以前は、お誕生日会といっても、バースデーソングを歌ったり、折り紙で作った金メダルをあげるだけ・・・ と気軽なものでしたが、リーダーママが主催になり、会費を集めてお菓子を配ったり、お誕生日の子に小さなプレゼントをあげたりと、お誕生日会は盛大になっていきました。
またリーダーママが
「こども達に四季を感じさせたい!」と言いだし、春にはピクニック、夏は水遊び、秋は紅葉狩り、冬はクリスマス会と、準備が大がかりなイベントが増え、活動も月に2回から、週1回と頻繁になりました。
ママに温度差がでるように
そのうち「こどもは、公園や外で遊ばせれば十分」と考えるママ達は、リーダーママは悪い人じゃないけれど、ついていけない・・・ と、一人抜け、二人抜け、子育てサークルを辞める人が増えていったのです。そんなある日、リーダーママの提案で、送別会をやることに。
みんなは内心「サークルを辞めるママは、こういう手の込んだイベントが嫌だから辞めたのに、送別会をやるんだ・・・」と苦笑い。それに反して、リーダーママは「思い出に残る送別会にしよう!」と張り切っていました。
日頃、子育てサークルのイベントの企画や相談は、LINEのグループトークで行うのですが、送別会にむけて、張り切るリーダーママ。
「お花はどこで準備します? オススメの花屋はありますか?」
「みんなで寄せ書きをしたメッセージカードを作りましょう!」
「今回辞める人だけ送別会をやったら、以前辞めた人が怒っちゃうかもしれない。せっかくだから、合同送別会にして、辞めた人も呼ぼうか」
そんな会話が次々と送られてくるのです。子育て中は、想像以上に携帯やパソコンを見る時間なんてありません。リーダーママとの会話に付き合っていたら、家事もままならないし、第一、子どもと過ごす時間もとれません。子育てサークルなのに、本末転倒・・・と、みんな徐々に面倒になって、誰も返信しないまま1日が経過しました。
リーダーママが空回り!
「コメントに対しては、スタンプでも、『了解!』の一言でも良いから、返信くらいしてください! 私がこんなにサークルのことを考えて、活動をしているのに、無視するなんて酷いと思いませんか? 忙しくて返信できないんですか? 忙しいのは、誰だって同じです!」 突然、激怒するリーダーママに、みんなポカーン…。
やる気が空回りするリーダーママに辟易して、さらに辞める人が増えてしまい、数カ月後、子育てサークルは解散することになりました。
「最初はみんな、わが子を楽しませたいだけの、ゆる~い雰囲気だったのにな。段々、強制参加で、息が詰まりそうになっちゃった」 子育てサークルの立ち上げ当初から、活動していた友人は、ぽつりと残念そうに漏らしました。
(ファンファン福岡一般ライター)