子どもを叱ることに悩んでいる方へ、繰り返し叱ることに疲れてしまった・ついつい感情的に怒鳴ってしまうなどさまざまな困りごとがありますよね。本記事では子どものしかり方に悩んでいる保護者むけに適切な叱り方やポイントをわかりやすくご紹介します。子どもの気持ちに寄り添い、伸ばせるような促し方を是非チェックしてみてくださいね。
しかること自体は悪いことではない
「あぁ…また今日も子どもを叱ってしまったな。」などと子どもが寝た後で反省してしまう毎日を過ごしている保護者も多いのではないでしょうか。本来子どもを叱るというのは、子どもが危険なことをした時・いけないことをした時にそれがダメなことだと教育することを指します。
なぜ、保護者が叱ることに罪悪感を抱いてしまうのかというと、叱り方に問題があるからかもしれません。感情的になったり攻撃的、抑圧的に子どもを注意したり、強く叱ってしまうやり方を変えれば叱ること自体は子どもの発育にとって悪い事ではありません。
保護者が抱える叱り方の悩み
では、子どもを育てる親たちは叱ることに対してどんな悩みを抱えているのでしょうか。
叱り方が分からない
子どもを叱るという経験がこれまでなく、親になってからもどうしかってよいか分からないという人もいます。叱る場面があいまいになってしまい、子どももいつ・なにをしたら怒られるのか、何がだめなのかを理解しにくい状況に。
また親の幼少初期の親子関係も𠮟り方に影響を与えている可能性も。叱られずに育った人は叱られた経験がない、反対にとても厳しく育てられたという人は、お子さんにも同じように厳しくしつけてしまうという場合があるかもしれません。
ついつい感情的になってしまう
子どもの反抗期や、イヤイヤ期は叱ることが多くなり親もついつい感情的になってしまうことがあるかもしれませんね。「叱る」と「怒る」はイコールではないのですが、親も人間ですから大声を出してしまったり、イライラが態度に現れてしまうことだってあります。
子どもが言うことをきいてくれない
自我が芽生えてくると子ども自身もやりたいこと・自分の気持ちを強く持てるようになります。子どもの成長としてとても大切なことなのですが、言うことを聞いてくれない・だめなことをやめてくれないと困ってしまいますよね。
【年齢別】子どもを伸ばす叱り方とは?
保護者が抱える叱り方の悩みも、子どもの発達段階に合わせたポイントを押さえれば解決できるかもしれません。子どもの成長を促し、情緒豊かで思いやりのある子になるような働きかけを「叱る」ことを通して伝えていけるよう各年齢ごとにポイントをまとめてみました。
1、2歳児
1、2歳児の小さな子ども達はまだ物事の良し悪しの判断がついていない状況です。この時期は繰り返しいけないこと・危険なことを伝えていくことで少しずつルールなどを身につけていきます。
何かダメなことをしてしまった時には「ブブ(だめ)だよ」「イタイイタイよ」「悲しいよ」などと分かりやすい単語や擬音語などを取り入れて話してみましょう。
単語と表情でわかりやすく
「お友達ペンはだめよ。イタイイタイよ。」などわかりやすく話ながら、表情でもダメなこと・悲しくなることを表現するとより伝わりやすいです。
別のことに興味が向くような誘い掛けをする
時々、叱られているとは思わず親と遊んでいる感覚になってわざと同じことを繰り返しする場合もあるでしょう。そのような時には、他のことに興味がいくように遊びに誘ったり場面を転換してみるといいです。いけないことをしている時に親が面白がって笑ったりするのはNG。
できたことはその都度きちんと褒めて
お友達にごめんねが言えたり、今日はお片付けが上手にできた! などできたことは大袈裟なくらいきちんと褒めてあげましょう。その繰り返しで良いことをしたという体験を沢山経験させてあげると叱るよりも褒めることが多くなります。
3、4歳児
自我が芽生えてきた2歳すぎから3、4歳くらいになると自分の要求が通らない時・思い通りにならない時に癇癪(かんしゃく)を起こしたり、お友達や兄弟を叩いてしまうなどのトラブルも増えてきます。
何で怒られているのかはわかるようになってきてはいるものの、それでも自分のやりたいことや心を優先したいのです。
共感と理由説明を
お話が聞けるようになってきたら、「○○ちゃんはこうしたかったんだよね。」「もっと遊びたかったんだよね。」などとまずは子どもの気持ちに寄り添って共感してあげるのがポイントです。きちんと気持ちを受け止めたうえで何でダメな事なのかを説明してあげましょう。
否定ではなく言い換えを
「走らない!」「叩かない!」「うるさい!」などと元気いっぱいの子どもについつい言ってしまう時は、否定の言葉にならないような言い換えをしてみましょう。例えば、走らないといわれても何をしたらよいか瞬時に分からない場合があります。「ゆっくり歩こうね」と伝える方が効果があります。
お友達や兄弟に手が出てしまう子には、「いいこいいこだよ」「優しくお話してみよう」と伝えてみるのもおすすめです。保育園などでも否定の言葉を使わずにうまく促していけるように関わることが多いです。
5、6歳児
幼稚園保育園の年長くらいになると、自分だけでなく友達がどう思うのかなど第三者の気持ちを考えられるようになります。お友達とのトラブルや兄弟喧嘩も大人が介入せずにうまく解決できるようにもなりますが、まだまだ助けも必要。お約束事を破ってしまったり、誰かを傷つけたり迷惑をかけた時にはその都度きちんと話す時間を作りましょう。
どうしていけないかをイメージさせる
何かいけないことをした時にはどうしてママが叱っているのか、何がいけなかったのだと思う?と子ども達に考えさせてみるのも大切です。頭ごなしに叱るのではなくどうすればよかったのかを一緒に考えてみましょう。
きちんと考えられた時には、「そうだよね。よくわかったね」などと褒めることも忘れずに。次につなげていけるような声掛けをしていきます。
叱る内容はブレずに一貫性を
毎日忙しいと、叱ることすら面倒になってきて時には流してしまうなんてこともあるかもしれません。ただ、この時期は親や大人の行動をよく見ています。この前は怒られなかったのに怒られた。お兄ちゃんは怒られなかったのに自分は怒られるなど叱るタイミングや内容がブレてしまうと子どもの気持ちも混乱したり傷つけてしまうことも。
どんな時は叱るのか、ここまでやったらダメというラインをきちんと夫婦間でも確認しておきたいところ。
小学生
小学生にあがると、これまでの生活よりも子ども達の世界がグッと広がりをみせます。たくさんの人と関わる中で、お友達の影響を受けたり今までなかったトラブルが起きたりと親が想定していないことで叱る場面があるかもしれません。
叱るだけでなく話し合いを
親がその場にいなかった時の行動で叱る場合は、まずはきちんと状況を整理して事実を確認しましょう。頭ごなしに叱るのではなく、子どもからも話を聞いて落ち着いた対応をとりたいところ。
子どもの言い分などもあるでしょう。話を聞いたうえでなぜいけなかったのか、どうすればよいかを考えさせて話し合いましょう。小学生といっても心身の発達は個人差があるので、その子にあった声かけをしながら親の気持ちも伝わるように話してみるとよいですね。
学校生活や家庭内でのルールを子どもと確認
子ども達に対してどんな時にお母さんお父さんは叱るのかを、小学生に上がるタイミングで一度きちんとお話しておくのもよいでしょう。例えば、「命を大事にしないとき・嘘をついたとき・危険なことをしたとき」はきちんと叱るよなどとあらかじめ伝えておきます。
「命を大事にしないとき」というのは、自分の命や友達、家族、そして動物など身のまわりの命のこと。誰かを傷つけるようなことをしたり、自分のことも大事にできない時にはきちんとお話をします。
「ありがとう」や「ごめんね」は親も伝えよう
これは全年齢の子どもに対して親が気をつけたいことですが、どんな場面でも子どもに対して「ありがとう」や「ごめんね」を親も素直に伝えることが大切です。待っててくれてありがとう、お話聞いてくれてありがとう、お手伝いしてくれてありがとう。など実は子どもへお礼を伝える場面は沢山あります。
また、勘違いしてごめんね、ちゃんとお話しきけてなくてごめんねなど親が悪かったなと思った時にはすぐに子どもに伝えるようにすると、子ども達も「ごめんなさい」と「ありがとう」が言える子になりますよ。
これはNG! 今日からやめたい叱り方
子どもを叱るポイントとして、気をつけたいのが感情的になったり攻撃的になること。これは「叱る」ではなく「怒る」になってしまうからです。子どもの問題行動を改善したいのですから、そのようなやりかたはNG。かっとなってしまった時には一回深呼吸をして、今から叱ることの本来の目的は何なのかを考えてみてからお話をしてあげてください。
絶対に手は出さない・感情的にならない
思わずカッっとしまっても叩いたり手を出すのはNGです。子どもに恐怖心を植えつけたり親の支配下に置くようなやり方では子どもはトラウマになり心に傷をおってしまいます。
一度だけと思っていてもそのような叱り方(怒り方)が日常化していくともはやそれは虐待になります。手をださないのはもちろんですが、感情的に怒鳴ったり威圧したりするのもやめましょう。
気分によって叱る・叱らないを変えない
同じ案件でもこの前は叱ったけど今日は叱らないなど、親の気分や都合によって叱り方を変えるのはやめましょう。毅然としたブレない態度でどんと構えていてください。
叱る内容をすり替えない
ついついやってしまいがちなのが、叱る内容をすりかえたり過去のことを引っ張り出してまた叱ること。「この前だってこんなことして…」「そういえばあの時も…」などと本来の話から飛躍すると子どもに肝心な内容が伝わりにくく、過去のことをまた叱られては子どもも滅入ってしまいます。
だらだらと長く話すのではなく、簡潔にわかりやすく伝えることもポイントです。
決めつけない
子どもにも言い分があったり、親の知らない事実が隠されているかもしれません。大人の考えを押し付けたり、根拠もなく思い込んで叱るのは子どものためになりませんね。
小さいうちからきちんと子どもの気持ちも聞いてあげて、子どもが自分の話をできるような時間と心のゆとりをもっておきましょう。
叱ることは愛情あっての行為だと忘れずに
繰り返しお伝えしたいのが「叱る」という行為は親の感情をぶつけるのではなく、子どもがより成長できるために場面場面できちんと教育することです。いけないことを指摘するだけでなく、愛情をたっぷりと伝えてあげるのも大切です。
できれば、叱るよりも褒めることが多くなるように意識して子ども達の短所ばかりを見るのではなく、長所も沢山見つけてあげてくださいね!
【参考文献】
・子どもを叱るときのポイント 年齢別の叱り方など – NHKすくすく子育てch
・「怒る」と「叱る」で子どもは変わる!?健やかな成長を育む親子のコミュニケーション術とは?|LINK@TOYO|東洋大学