借金のお願い、宗教の勧誘、マルチ商法のお誘い。この3つを友人から持ちかけられたら、すぐに縁を切った方がよい“ブラック友人”の可能性大です。 筆者の場合、お金にまつわるトラブルはありませんが、学生時代にとある新興宗教に勧誘されたことがあります。「あの事件を起こした宗教とは別物なの? 洗脳されてない?」と下世話に食いつきすぎて、あちらから縁を切られてしまいました。 もうそんな“ブラック友人”に遭遇することもないだろうと、高をくくっていましたが、なんとママ友にとんでもない勧誘をされかけたのです。
ママ友に誘われた料理教室
1年ほど仲よくしているママ友から
「料理教室に興味ないかな? 一緒に参加しない?」と誘われました。ちょうど料理のレパートリーを増やして、日々の献立に役立てたいと思っていた私は、喜んで参加することに。
当日、ママ友と待ち合わせをして、向かったのは高級タワーマンションの一室でした。
「料理を教えてくれる先生の個人宅なのかな?」と疑問に思いつつ、お邪魔すると、そこは高層階ならではの、眺望の良い素敵なお部屋で、数名の女性達が出迎えてくれました。
その後、私のように初めて参加する人が6名ほどやってきて、料理教室はスタートしました。 まず「あれ?」と違和感を抱いたのが、煮物を作っている時でした。 先生が、料理はさておき、調味料の説明を長々とはじめたのです。
先生に感じる違和感
「こちらの醤油はね、遺伝子組み換えではない国産の有機大豆だけを使っているの。しかも、天然のわき水を使って、木樽で熟成させた本物の醤油なのよ。皆さんが普段食べていらっしゃる醤油の味との違い、はっきり分かるはずです」
「煮物に甘みをつけるには、この体に優しい砂糖を使います。さとうきび本来の味わいが楽しめるオーガニックシュガーなのよ。普通の砂糖と比べたら、栄養も豊富で、本当にいい商品なのよ」 立て板に水のごとく、すらすらと調味料の魅力を説明する先生。
続いて、煮物を調理している鍋が、どれほど素晴らしいのか説明が続きました。
「数量限定の鍋でね、この鍋でコトコト煮込むと、魔法みたいに美味しくなるの。この鍋さえあれば、他の鍋なんて必要なくて、私なんて他の鍋は全部捨てたんですよ」 あれれ? 私の頭の中で黄色信号が灯ります。
しゃべり続ける先生と、張り付いた笑顔で調理を手伝う女性達、そして、うんうんと大きく頷いているママ友に対して、薄気味悪い印象を受けました。 さきほど先生が絶賛していた調味料を、さも興味がありそうに手にとってみます。そっと裏返してパッケージを見ると、原材料や内容量が表示された食品ラベルのところに、マルチ商法で有名な会社の名前がありました。
これは危険! 赤信号! 熱心に先生の話を聞いているママ友に
「トイレをお借りしてもよいかしら?」と声をかけて、トイレに向かいました。廊下に出ても、まだ先生の話が続いている声がします。
私が目にしたものは…
教えてもらったトイレの場所には、2つの扉がありました。1つめの扉を開けるとトイレでした。悪いことだとは思いつつ、もう1つの扉をソッと開けると、そこはダンボールの山がどっさりと置かれた小部屋でした。扉を開けてすぐ、無造作に積まれたダンボールの上に、一冊の薄い冊子が置いてあったので、冊子を手にとり、そのままトイレにこもりました。 ザッと目を通すと、それは勧誘マニュアル本でした。
「高級マンションのパーティールームなどを使い、仲間入りすれば、こんな素敵な部屋に住めるのだと信じさせる」
「勧誘に誘ったら、その日のうちに、必ず連絡をとって、次につなげる」など。
料理教室がマルチ商法の勧誘だったことよりも、ママ友に鴨だと思われていたことが、ショックでした。なんとその日の料理教室は、4時間にも及び、たびたび調味料や鍋を勧められました。そしてその日の晩、勧誘マニュアル通り、ママ友からすごい件数のLINEが届いたのです…。 “ブラック友人”と、怖すぎる料理教室、皆さんもお気をつけください。
(ファンファン福岡一般ライター)