アライグマが来やがった 「サ日記」

 台風10号は九州から去りつつあるが、先週うちの庭に珍客があらわれた。

 たぬきではない。調べたところアライグマだという。飼い主が夜部屋に居たところ、のぞき込んできたらしい。愛嬌のある顔をしているが、獰猛な性格で、福岡市も見かけたら近寄らんよう、警戒を呼びかけている。

福岡市 特定外来生物「アライグマ」について (fukuoka.lg.jp)

 気をつけにゃいかん。猫は逃げ切れるという話だが。

 庭猫のとらは、少し高い場所に居て安心しておるようだ。

 とらの父親のうしはからだが大きいから高い場所に避難しなくてもダイジョブそうだ。

 とらが「家を守る」と称して勝手に家に入ってきた。ここ一週間庭を見張っているが、その後アライグマの気配はない。夜おれたちが寝静まった頃、こっそりあらわれている可能性はあるが。

 庭でうなり声が聞こえてきた。

 アライグマは関係なく、ハチワレという乱暴者と黒猫がにらみ合っておる。黒いのは少なくとも3匹は常連で庭にいるが、どの黒かは遠くてわからん。

 声が消えて無言での威嚇し合いが続く。

 3分ほど経ったろうか。黒い方がすごすご去っていく。ハチワレはそれほどデカくはないが、ガッチリしていてやはりケンカは強い。おれも関わらんようにしている。

 大きさでは、やはりうしが一番。わりと温厚であまり声を上げることもなく、悠々としている。

 うしの奥さんで、チョビととらの母親である「おかあちゃん」は小柄だが、気は滅法強いぞ。とらが近寄っていくと、いつもなぜか「シャーっ」と火を噴かれている。うちは一向にめげる様子もないが。

 うちの家猫でもないとらが入り込んでいるのを見てけげんな顔のおかあちゃん。「あんた、人間にこびを売ったら終わりよ」と言ってるのかもしれん。

 おれは、「人間にこびを売ってなんぼ」の暮らしを10年以上続ける飼い猫の中の飼い猫だが。

 こんなのん気な寝方ができるのも人間の家に居候してるからだ。とらもその快適さに憧れ、ちょいちょいおれのマネをして寝ている。

 一応、おれの後輩飼い猫となったチョビだが、家人には全然慣れず、いつも部屋のスミでおっかなびっくりで暮らしている。とらが弟だということもわかっておらず、敵視している。火を噴くところは母親のおかあちゃんそっくりだ。

 うし、おかあちゃん、とらの親子三匹勢ぞろいだ。うちの庭に一日の三分の一くらい居るから、近所の人はわが家の家族と勘違いしているかもしれん。

 おかあちゃんととらは何かもめてるのか、打ち合わせでもしているのか。うしはわれ関せずとこっちを見ている。

 実はとらと同じ頃うまれた男のきょうだいがいたけど、いつの間にかいなくなった。愛らしい顔をしていたから、誰か近所の猫好きが連れて行ったじゃなかろうか。1年位前のサ日記にその猫(当時「ヌー」と名づけていた)のことも書いてるぞ。

 チョビもおかあちゃんに似てはいるが、弟のとらと比べると、おんな猫らしい顔をしている。

 飼い主は、「このあたりでは一番のべっぴん猫」と自賛している。赤い首輪を買って用意しているのに、チョビが捕まらないので、「着けてあげられん」と嘆いている。

 さて、そろそろ夏の終わり。早く涼しくなって欲しいが、しばらくは暑いんじゃろうて。

 みなさん、水分補給して体調に気をつけて下さいニャ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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