うちの夫は仕事が忙しく、性格は「昔ながらの日本男児」という感じで子育てにはあまりタッチしない人です。2歳の娘と、0歳の息子の育児もワンオペ状態。そんな中、私が頼りにしていたのが「おんぶ紐」です。下の子をおんぶしながら、上の子を抱っこしたり家事をしたりと大活躍! しかし、夫から「おんぶ紐」を全否定するような驚きの発言があったのです。
おんぶ紐で、どこへでも!
私は2種類のおんぶ紐を使い分けていました。
家の中では胸のところで紐が交差するタイプ、お出かけ用には肩で背負うリュックタイプ。
胸で交差するタイプは子どもの体重が分散されて良いのですが、胸が強調されてしまい、なにせ見た目が昭和! 出かけるときはさすがに恥ずかしく、少々疲れますがリュックタイプを使用します。
その日は、まず娘と公園に行ってから郵便局で手続きをし、最後にスーパーへ寄る予定でした。私は気合いを入れて息子をおんぶし、娘の手を引いて出かけました。
夫の「おんぶ紐はやめてほしい」という一言に絶句
数日後、いつものように息子をおんぶしながら洗濯物を干していると、夫がおどおどした様子でやってきて、
「あ、あのぉ… おんぶ紐なんだけど、出かけるときは… やめてくれない?」と言い出しました。
驚いた私が
「え、どういうこと?」と問いただすと、どうやら先日郵便局へ行ったときに夫の同級生が居合わせて、私のおんぶ紐姿を
「昔ながらでなつかしい!」と冗談混じりで夫に言ってきたらしいのです。
「は? お出かけ用のおんぶ紐だったよ!? カッコ悪くないでしょ。じゃあどうやって、公園行ったり、スーパー行ったり、ぐずった娘を抱っこすればいいの?」
私の正論に、さすがの夫もバツが悪い様子で
「できるだけ。ね、やっぱり、出かけるときは身だしなみというかさ!」と言います。
「はぁ?」私は腹立たしさと悔しさでいっぱいになりました。
おんぶ紐を温かい目で見てくれる人たち
夫に言われたものの、どうしようもないので、おんぶ紐でスーパーや公園に行く日々。
その日も、息子をおんぶしながら、娘を買い物カートにのせて買い物に。すると突然、祖母くらいのご婦人が、ほほ笑みながら近づいてきて娘に話しかけました。
「あら〜、おりこうにしててえらいね。お母さん、がんばってるからね!」
続けて私にも
「大変だけどね、今がいちばんいいときよ! あ、ボクちゃんも笑ってる」と声をかけてくれます。
子育ての大先輩であろうご婦人の言葉に、私の胸はグッと熱くなりました。
他にも街中で優しい言葉をかけてくださる方は、老若男女を問わずたくさんいらっしゃいました。逆に私も、よそのお父さんやお母さんの抱っこ紐、おんぶ紐姿を見ると、とても微笑ましく「がんばって」という気持ちになります。
そして同時に思ったのです。「子育てする側の立場になって考えられる人は、励ます気持ちにはなっても、茶化したり馬鹿にしたりはできない」ということは、もしかして「家で子どもの面倒をみていないヤツにかぎって、あれこれ言うのでは?」と。
オシャレも楽しみながら、おんぶ紐で颯爽と出かけよう
しかし、あらためて郵便局に行った日を振り返ると、「自分自身にも問題があった」と反省しました。
忙しさにかまけて「近所だからいいや」と部屋着のトレーナーとジーンズで、ほぼスッピンだったのです。楽なほうへ流れてしまう私の性格は、普段から夫にも注意されていました。
ただでさえ忙しい子育てや家事に加えて、“キレイなママ”でいるのは大変です。
完璧にする必要はないけれど、気に入った服を着るだけで気分が上がるのも事実。オシャレを楽しんで、その上で堂々とおんぶ紐で出かければ、身も心もハッピーになれるはず。そう気づきました。
その後、私は以前よりも颯爽と、おんぶ紐で出かけています。
(ファンファン福岡公式ライター / 柴田真千子)