タブレット学習が小学生にもたらすメリットは?注意点も含めて解説!

6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

学校や家庭でタブレット学習を行う小学生は増えています。導入前にメリットや注意点を理解しておけば、よりよい活用で成績アップの近道にもなるのでおすすめです。

今回は、小学生のタブレットを使った学習について解説します。紙教材のメリット・デメリットも把握し、子どもに合った勉強方法を見つける参考にしてみてください。

目次

増える、タブレット学習の割合

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問題集や参考書は、紙のテキストを使うのが従来のスタイルでした。しかし、最近はタブレットで問題に取り組んだり、説明を受けたりする「タブレット学習」を選択するケースも増えています。

まずは、タブレット学習に取り組む小学生の割合を見てみましょう。

家庭学習では6割近くが「タブレット学習」を選択

教育メディア「ちいく村」が2022年に実施したアンケートによると、家庭学習でタブレットを選択する割合は、59.5%でした。

※「ちいく村」より引用

息子たちは「進研ゼミ」で紙のテキストを選択しており、もちろん紙教材で勉強している友達もいます。しかし、通信教育を選択している家庭の保護者に聞いたところ、筆者の周りでも6割近くがタブレットを選択していました。

タブレット学習が圧倒的というわけではないものの、紙教材よりも多く選ばれているのは確かでしょう。

学年が低いほどタブレット学習が多い

学年別で見てみると、タブレット学習を選択するケースが多いのは低学年です。

※「ちいく村」より引用

どの学年を見てもタブレット学習を選ぶ人が多いものの、高学年になるにつれてタブレットと紙教材の差が縮まっていることがわかります。後述しますが、タブレット学習は「勉強」への抵抗感を取り払いやすく、学習の習慣化にも役立ちます。学年が小さいうちは、「机に向かう」ことの第一歩として、タブレットを取り入れる家庭も多いのではないでしょうか。

小学校でもタブレット学習は増加

文部科学省の「GIGAスクール構想」のもと、小学校や中学校、高等学校でも「1人1台端末」に向けた動きが進んでいます。小学校でのタブレット普及率はほぼ100%で、授業でのタブレットの利用はもちろん、タブレットで取り組める問題集などを宿題に出す小学校もあります。

息子たちの小学校でも1人1台タブレット端末を貸与されており、3年生の長男は時間割もタブレットで確認しています。1、2年生の頃は「スマイルネクスト」という学習教材が長期休みや週末の宿題に出ることもありました。

ちいく村(https://chiiku-baby.com/
令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(https://www.mext.go.jp/content/20231031-mxt_jogai01-000030617_1.pdf

小学生がタブレット学習をするメリット

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学校でも家庭でも、小学生のタブレット学習はいまや「当たり前」ともいえる時代になりつつありますが、タブレット学習にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

勉強に楽しく取り組める

タブレット学習の大きなメリットは、「勉強が楽しい」と思えるようになることです。

机に向かい、教科書や問題集とにらめっこするようなイメージを持っていると、「やらなければいけない」とわかっていても、なかなか学習に向かう気持ちを作れないという子どもは少なくないでしょう。しかし、タブレット学習は動画・音声なども交えた解説や、ゲーム感覚で取り組める問題などで、楽しみながら学べます。

「タブレットを使う」という行為自体も、「鉛筆を持って参考書を開いて…」とするよりも、学習へのハードルを下げてくれる可能性が高いです。

映像で理解が深まる

タブレット教材は印刷のための費用がかからないので、カラフルなイラストや写真を豊富に載せられます。また、映像による解説も可能で、子どもの理解を深められるというメリットもあります。

特に動画は、目と耳から情報を収集できるので、文字ばかりのテキストを読むよりも短時間でさまざまな内容を把握することも可能です。

書き順や正解を自動でチェックできる

紙教材で勉強すると、答えが合っているか保護者がチェックしなければなりません。しかし、タブレットなら書いた答えが正しいかを自動で判別してくれます。また、ひらがなやカタカナ、漢字などの書き順を守れているかがわかる機能などもあり、大人の手間を省きながら、子どもが正しい学びを得られるのもメリットだといえます。

同じ問題に何度も取り組める

紙のテキストは一度書き込んでしまうと終わりですが、タブレット学習なら同じ問題に何度も挑戦できます。間違えやすい内容だけをピックアップした出題も可能で、苦手を克服しやすい、知識を定着させやすいのも魅力です。

学習状況に合わせた学びを提供してくれる

どの問題に取り組んだか、どういった内容を間違えやすいかなど、学習の記録が残るタブレットは、子ども本人はもちろん、保護者も学習状況を確認しやすいです。また、年齢や学習レベルに合わせた学習方法、日々の学習計画などを提案してくれるものもあるので、効率的な学びを実現しやすくなります。

電子機器の使い方が身につく

タブレットで学習するためには、操作方法を理解する必要があります。毎日電子機器に触れることで、使い方が自然と身につくのも、タブレット学習のメリットです。

タブレット学習のメリットとデメリット 学習をうまく進めるポイントとは(https://www.889100.com/column/column115.html

小学生のタブレット学習はここに注意!

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メリット豊富なタブレット学習を、「日々の勉強に導入したい」と考える保護者も多いかもしれません。小学生がタブレット学習をスタートする前には、メリットを生かせるよう次の点に注意しましょう。

遊んでしまう

タブレット教材のなかには、子どもが楽しく取り組めるようミニゲームやお楽しみ動画などを用意しているものもあります。こうしたコンテンツばかりに夢中になり、肝心の学習内容を疎かにしてしまわないよう、注意が必要です。

また、タブレット学習は専用の端末を貸与してくれる場合と、家庭用のタブレット端末にダウンロードするタイプにわかれます。家庭用のタブレットに動画アプリやゲームアプリなどが入っていると、「実は教材ではなくほかのアプリばかり使っていた」ということにもなりかねません。

健康面への問題

長時間タブレットを操作していると、健康面に悪影響を及ぼす可能性があります。最も懸念されるのは視力低下です。また、眼精疲労が進みすぎると、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状を引き起こすかもしれません。

このほか、前のめりな姿勢でタブレットを長時間続けると、猫背や巻き肩、ストレートネックなどの原因になります。

文字を書く機会が減る

タブレット学習は、紙の教材で勉強するよりも、書く機会が少なくなります。タブレット学習の普及は進んでいるものの、授業や宿題、テストなどでは紙への書き込みがメインですので、タブレット学習ばかりしていると「書くこと」に抵抗感を持ったり、苦手意識が芽生えたりするかもしれません。

特に、1年生はひらがなやカタカナを覚えるために繰り返し書く必要がありますし、漢字学習も同様に、「書いて覚える」ことが大切になります。タブレット学習を導入する際は、書く機会が減ることが学力低下につながらないよう工夫をしましょう。

思考力の低下

動画やカラフルなイラスト、写真などで効率よく理解できるのはタブレット学習の魅力ですが、「考える力」が低下する恐れがあることも、忘れてはいけません。すぐに答えがわかるタブレット学習では、「読み込んで理解する」「想像してみる」という力が養えないため、思考力の低下を招く可能性があります。

わからないまま進めてしまう

タブレットは正誤の判別はできても、「間違えたところを本当に理解できたか」までは、判断してくれません。たとえばわからない問題を空白にして答えを提示させ、解説を適当に読み飛ばし、再度出題された際に覚えていて答えを書き込んだとしても、「正解」とみなされます。

実際、筆者もタブレット学習を導入しているママ友から「自分でやってくれるのはいいけど、適当に押して進めてるから意味がない」という話を聞いたことがあります。保護者が答えをチェックする機会がなくなると、子どもがわからないままなんとなく問題を進めてしまう可能性が高まるのは、タブレット学習のデメリットでしょう。

ICT教育でタブレットを導入するメリット・デメリット|現状と課題も紹介(https://belong.co.jp/business/columns/giga-school/ict-education-tablet-introduction/

小学生の勉強、紙教材にはどんなメリット・デメリットがある?

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便利さや楽しい学習の実現など、タブレット学習ならではのメリットもありますが、一方で使用の際に注意したい点も少なくありません。では、従来のスタイルである紙教材を使った学習には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

タブレット学習との違いがわかると、どちらの学習方法を選択すればよいかが、より明確になります。

紙教材のメリット

紙教材には、以下のようなメリットがあります。

・選択肢が豊富で、子どもに合った教材を選びやすい
・「書く」機会が多く、記憶に残りやすい
・紙に書き込むことに慣れるので、テストなどにも抵抗感なく取り組める
・保護者がチェックして、間違えたところを振り返りやすい
・文章を読んで理解することで、思考力が養われる

タブレット学習は、契約した通信教育会社が作成した問題にしか取り組めませんが、紙教材は書店などで膨大な種類から最適なものを選べます。また、「紙に書く」ことが記憶の定着につながり、テストなどにも難なく取り組めるのもメリットです。

紙教材には自動採点機能がないので、学年が小さいあいだは保護者のチェックが欠かせません。大人には手間になってしまいますが、子どもの学習状況を把握し、一緒に見直しをしながらきちんと理解できたかを確認できるのは、安心でしょう。

さらに、文章から内容を理解する、間違えたところの解説を読んで、正しい知識を身につけるなど、思考力を高められるのも紙教材のよい点だといえます。

紙教材のデメリット

タブレット学習にはないメリットが得られる紙教材ですが、以下のようなデメリットもあります。

・「勉強」へのハードルが上がる
・一度答えを書き込んだら使えない
・教科ごとにテキストやノートを準備するため、かさばる
・学習状況の管理や丸つけ、指導など、保護者の負担が大きい
・子どものレベルに合ったテキストを選ぶのが難しい

紙教材のなかにも、楽しく取り組めるよう工夫を凝らしたものはもちろん存在します。しかし、タブレットと比べると勉強に対するハードルは高くなり、始めるのに時間がかかってしまうというリスクがあります。

また、紙教材は一度書き込んだらもう使えません。繰り返し問題に取り組めるようコピーして使ったり、専用のノートを準備したりすれば、そのぶんお金もかかりますし、保管のためのスペースも必要になります。

さらに、タブレットのように採点や学習計画を自動的に行ってくれないので、保護者の負担も大きくなります。最適なテキストを選ばなければ子どもの成績アップにつながらず、新しいテキストを購入するために費用負担が大きくなるのも、紙教材のデメリットでしょう。

「紙で勉強」と「タブレット学習」の違いは何? それぞれのメリット・デメリットをもとに解説(https://biz.ods.co.jp/page.php?pId=268

小学生の学習で、タブレットを活用するポイント

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メリットを生かしたタブレット学習を実現するためには、活用のポイントを知っておくことも大切です。成績アップを目指すために、タブレットをどのように使うとよいのでしょうか。

学習習慣を身につけるきっかけにする

タブレット学習は、最大のメリットともいえる「楽しく勉強できる」という点を存分に生かすのがおすすめです。「楽しい」「いやではない」という気持ちが芽生えれば、学習が習慣化します。

たとえば、学校から帰宅してまずタブレット学習を行えば、その流れで宿題にもスムーズに取り組める可能性が高いです。ドリルやプリントが宿題になっている場合も、タブレット学習を経由することで、ハードルを下げられるでしょう。

遊びにつながるアプリは入れない

学習に使用するタブレットには、遊びにつながるアプリを入れるのを避けましょう。動画やゲーム、SNSなどのアプリが入っていると、子どもが学習とは関係のないことで長時間タブレットを使用する原因になります。

学習用とその他の用途で端末をわけるのが理想ですが、タブレットは決して安価なものではないので、複数台用意するのは難しいこともあるかもしれません。Benesseの「チャレンジタッチ」のように、学習専用の端末を貸し出してくれる通信教育もあるので、迷ったら検討してみるのもよいいでしょう。

紙教材と両立する

タブレットと紙教材にはそれぞれのよさがあるので、「どちらがよい」「どちらが悪い」ということはありません。タブレットと紙教材を両立すれば、双方のメリットを生かしてよりよい学習を実現できます。

「家庭学習にそこまで費用をかけられない!」と思われるかもしれませんが、たとえばタブレット学習は通信教育に申し込み、紙教材は学校の計算や漢字のドリルを活用するという方法もあります。反対に、小学校のタブレットに学習教材が入っている場合は、家庭でも取り組み、書店などで紙教材を購入するのも1つの方法です。

時間を決めて使用する

タブレットを長時間使うと健康面に影響する可能性もあるため、学習目的であっても使用時間は決めておきましょう。

たとえば「チャレンジタッチ」の場合、小学1年生の1回の取り組みは3~5分になるよう設計されています。国語と算数の2教科で、1日の学習時間は10分ほどです。3~6年生は、1日15分ほどで完了する程度のボリュームになっています。

しかし、学年ごとの勉強時間の目安は「学年×10~15分」といわれているので、タブレット学習だけでは足りません。前述の通り紙教材と両立すれば、目安となる時間をクリアでき、知識も定着しやすいでしょう。

保護者も学習に関わる

保護者が学習に関わる負担を軽減できるのも、タブレット学習のメリットです。しかし、子ども本人とタブレットに丸投げしてしまうと、メリットを実感できなくなる可能性があります。つきっきりで見守る必要はありませんが、声かけをしたり、定期的に学習状況を確認したりしながら、保護者も関わっていくことが大切です。

仕事や家事、育児などで忙しい保護者も多いでしょうが、特に学年が小さいうちは、子どもが正しくタブレットを活用できているか、こまめに状況を把握しましょう。

Benesse「小学講座 よくある質問」(https://faq.benesse.co.jp/

小学生のタブレット学習はメリットも多い!ポイントを押さえて活用しよう

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小学生のタブレット学習は、正しい活用で多くのメリットが得られます。しかし、タブレットならではの注意点もあるので、保護者が事前に理解し、成績アップにつながる学習ができるよう導くことも大切です。

わが家の息子たちは、進研ゼミの未就学児講座で紙のテキストに慣れているので、いまも家庭学習には紙教材を使っています。「電子機器=遊ぶためのもの」という感覚なのか、一度「漢字のアプリを入れて欲しい」といわれたものの使ったのは数回で、Benesseから年に1~2度届く電子系の学習教材も、あまり活用できていません。大好きなSwitchにも、Benesse会員が遊べる学習ゲームがあるので、「Switchできるよ~」と誘ってみたものの、こちらも数回遊んでやらなくなってしまいました。

勉強と遊びのメリハリがついているのは悪いことではないでしょうが、タブレット学習ならではの学習面での利点が得られるよう工夫することも大切だと思うので、動画教材を見せたり、学習系のアプリを使う時間を作ったりしていきたいところです。

小学生の子どもを持つ保護者の皆さんも、タブレットと紙教材の両方を活用しながら、よりよい学びにつなげていきましょう!

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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