福岡県柳川市にある福厳寺(ふくごんじ)は、初代柳川藩主の立花宗茂やその父である名将・戸次道雪が眠る由緒ある寺院です。創建350年を迎えた今年、クラウドファンディングで「聖観音」仏像の修復費用を募っています。福厳寺では、定期的に座禅会などの地域に根ざした催しも実施されています。
立花家の菩提寺として柳川へ
もともと筑前立花山のふもとにあり、曹洞宗の寺院だった梅岳寺は1587(天正15)年、立花宗茂が柳川に城を築いた際、立花家の菩提寺として柳川へ移されました。その後、1669(寛文9年)に3代柳川藩主・立花鑑虎によって臨済宗黄檗派に改宗され、寺名は「梅岳山福厳寺」と改められました。
本堂の御位牌堂には立花家一族の位牌(いはい)が祀られています。御霊屋(おたまや)には、立花家の初代・戸次道雪や立花宗茂たちが眠っています。希望者は誰でもお参りできるそうです。歴史好きの人はもちろん、戦国武将のゲームをきっかけに訪れる参拝者もいるんだとか。
立花宗茂は自らの信念を貫いた武将であり、関ケ原の戦いでは西軍として戦ったものの敗北。一度は領地を失いましたが、後に再び大名として復帰し、旧領に戻ることが許された唯一の大名として知られています。
創建350年の今年、聖観音像の修復費を募る
天王殿には7体の仏像が安置されています。2体の韋駄天像があり、その背後には聖観音像(弥勒菩薩坐像)、さらにその四方を守護するように四天王像が配置されています。これらの仏像は、1674(延宝2)年までに京都の七条仏師・康祐によって制作されたものです。
聖観音像は、全体的に傷みが見られ、下地・素地が露出している箇所があります。多額の修復費用がかかることから、インターネット上で広く支援を募る「クラウドファンディング」を実施し、支援を呼びかけることにしました。目標額は700万円。11月15日(金)まで専用サイトから支援できます。
寺院内には直木賞作家・檀一雄、芥川賞受賞作家・長谷健、俳人・木村緑平の墓もありました。
座禅で心落ち着く静かな時間を
釈迦牟尼仏の安置された本堂は広く、厳かな雰囲気です。福厳寺では月に1度、本堂で座禅会が開催されています。忙しい生活から一時的に離れ、心を落ち着けるために人気が高まっている座禅。静かな空間で座禅を組み、自己と向き合う時間を過ごすことができます。
30分ほど座禅体験をした後、希望者には作業療法士が健康体操もレクチャー。年内の開催は11月11日(月)と12月2日(月)に予定されています。時間は午前9時30分から。予約不要で参加費はかかりません。
毎日午後9時になると福厳寺から梵鐘の音が響きます。温かみがあり、心安らぐ音は日常に溶け込んでいます。彼岸とお盆、大みそかには「開枕太鼓」という太鼓もたたかれるそうです。
大みそかは、除夜の鐘をつくことができます。檀家の人をはじめ周辺住人にとって恒例の風物詩です。当日は、煩悩の数にちなんだ108個のだるまを配布。鐘をついた人に1個ずつ渡しています。
「今後は大人から子どもまでが集ってボードゲームやカードゲームなどで遊べる場所づくりをしたいと思っています。学びに、遊びに、癒やされに、ぼーっとしに来られてください。心よりお待ちしています」と副住職の龍岡隆道さん。
柳川の歴史ある福厳寺へ立ち寄ってみては。
福厳寺
住所 福岡県柳川市奥州町32-1
電話 0944-74-0033
アクセス 西鉄柳川駅から西鉄バスで「布橋」へ(約10分)。「布橋」バス停から徒歩約3分