ニュースなどで“ブラック部活”という言葉を聞いたことはありませんか? 私の夫は中学校教員をしており、部活指導のために1カ月休みがないこともざらです。家にいる時間が少ないパパに対して息子が3歳の時、衝撃的な勘違いをしていたことが発覚しました。
部活指導のため、ほとんど家にいないパパ
運動部顧問の夫は、朝練のために平日は6時前に家を出て、夜は10時過ぎに帰宅します。
土日も部活があるため、同じように家を出て、帰ってくるのは早くて夕方。息子が赤ちゃんの頃もそんな働き方で、父子が一緒にたくさん過ごせるのは、テスト期間中で部活がない時期やお盆やお正月ぐらいでした。
「今日はパパお休みだから、いっぱい遊べるぞ。」
「パパ! パパ!」と嬉しそうにニコニコ笑顔の息子。
家族時間が少ない夫ですが、たまの休みには、息子とめいいっぱい遊んでくれる人です。
「パパ、かたぐるまして!」息子もパパのことが大好きで、パパがいる日は、私とは違うダイナミックな遊びをしてくれるパパについて回り、大はしゃぎです。喜ぶ息子の顔を見ると、教員の子どもに産まれたばかりに、たまにしかパパと遊ぶことができないことを可哀そうに感じることもありました…。
パパと息子のすれ違い生活の果てに
息子が2歳を過ぎると、夜は8時に寝て朝は7時に起きる生活リズムが整いました。息子の成長にとってはいいことですが、これにより、早朝や夜にパパと会えるわずかな時間もなくなってしまい、父子はよりすれ違う生活に突入。
息子が3歳の誕生日を迎えたばかりの、ある朝の出来事です。
時刻は朝の5時半。夫が出勤の支度をしていると、寝室から珍しく息子が早く起きてきました。
「あ! パパだ!」息子はパパに会えたことに大喜び、眠たそうに手でこすっていた目を大きく開き、夫に飛びつきました。
「パパ、どうしているの?」この頃、ちょうど秋の部活シーズンで夫は忙しく、約2週間ぶりに息子は夫と顔を合わせたのでした。夫も起きている息子に会えて嬉しいようで… 仕事もあったはずですが、このときばかりはと少しの時間ですが息子の遊びに付き合い、親子の時間を過ごしました。
そして、いざ夫が出勤するとき。息子と私で玄関まで夫を見送りに行くと…
「○○君、パパ行ってくるね。」名残惜しそうに、夫が息子の頭を撫でました。息子は少し悲しそうな顔をしながら、夫の目をしっかりと見つめ返しました。
“いってらっしゃいしようね”と私が言おうとしたそのとき、息子がかぶせるようにして
「パパ、また来てね。」
息子の言葉に、私と夫は驚いて目をぱちくり。ひと呼吸おいたあと、へなへなと身体の力が抜けて崩れ落ちました。
「“また来てね”じゃないよ、パパも一緒に住んでるんだよ~」何とも言えない表情で夫が言いますが、よく理解していない息子は、きょとんとした顔をするばかり。
まさか、息子にとってパパは“一緒に住んでいない設定”だったとは!
部活動顧問にも家庭はある… 妻として願うこと
この出来事以降、夫はできる限り家族の時間をとろうと奮闘していますが、部活指導がある限りカレンダー通りの休みは難しいです。
そのため金曜日は夜更かしOKでパパを待つ日、月に一度は部活の無い休日をつくる等、工夫しながら家族の時間を大切に過ごしています。
現在6歳になった息子は、パパの仕事を理解し応援しています。ですが私としては、息子にパパと過ごす時間をもっと与えてあげたくて“ブラック部活”がどうにかなってほしいな… と、ひっそり願っている今日この頃です。
(ファンファン福岡公式ライター/かがみ真紀子)