3歳の娘は、義父が苦手です。イヤイヤ期になる頃、顔を見るだけで「コワイ!」と大泣きするように。そのため義実家へ遊びに行ったら、義父は狭い別部屋に隔離されます。そんなかわいそうな義父から「七五三の写真は一緒に写りたい!」と熱い訴えが。私たち(私、夫、実母、義母)も大好きな孫に会えず、傷ついている義父の願いを叶えたいと一致団結! はじめての七五三で、みんなの心を1つにした潜入作戦が、決行されたのです。
ミッションスタート!
心配性の私は、撮影前日ほとんど眠れませんでした。
撮影当日は、晩秋のキリリと寒い朝でした。これから始まる一大イベントに武者震いしながら、写真スタジオへ向かったのを覚えています。
事前の家族会議では
「娘が別室で着付けをしている間に、義父が撮影スタジオに入り、隠れて待つ」という流れで決まりました。スタッフの人とも事前に電話で打ち合わせ、準備は万全!
着付けが終わり、小部屋を出るとスタッフさんが
「お義父様は、スタジオ内に入りました」とサインを送ってくれました。
娘の後ろに、大きな背景ボードがあったので、そこに義父は隠れているだろうと一安心。あとは家族写真を撮る時に、後ろからサッと出て撮影するだけです。
義父、まさかの登場?!
初めての撮影に緊張していた娘も、だんだんとリラックスしてきた様子。撮影は順調に進み、いよいよ最後の集合写真です。このまま無事に終わりそうだ… と思ったその時、前から何かが近づいて来ました!
なんと潜伏しているはずの義父が、チョイ悪なスーツに身を包み、正面からこちらに歩いてきたのです。スタッフが大きなバスタオルで隠してくれますが、足はバッチリ見えています。勘の良い娘がみたら、間違いなくまずい…。
私、実母、義母は瞬時に臨戦態勢に入りました。
「あれ何だろ~?」と視線を外す義母! 体をねじり込ませ、人壁となる私と実母!
「俺のネクタイ曲がってない?」と自分の心配をはじめる夫!(無視しました)
義父は娘の後ろに回り込み、後列の端にスタンバイ。
スタッフが新しい人形を出して、娘の注意をカメラへ引きつけます。娘もどんなポーズで撮ろうかウキウキ。
実母と義母が娘を挟み、真後ろで私が壁役となります。娘からは、義父が絶対に見えないフォーメーションが完成しました。
「はやく! 無事終わってくれ!!」ほんの数分でしたが、とてつもなく長く感じました。予想外のハプニングもありましたが、女性陣の巧みな連携により、作戦は大成功したのでした。(終了後、義父は無事に脱出しました)
その後は神社での参拝があったのですが、気力を使い切った私は、よく覚えていません…。
写真を見た娘は?
1カ月後、写真が完成しました。どれも自然な笑顔で、楽しそうな写真ばかり。
「さすがプロのスタジオだね!」私達夫婦も、娘も大満足でした。しかし最後のページに写っている義父をみた娘は、心霊写真を見たかのようなリアクリョン。
「えっ、なんで… じいじが… 写ってるの?」
娘には、「義父も大切な家族だから、一緒に写ってもらったのだ」と真剣に説明。すると娘も
「そうだよね、じいじも写真に入りたいよね!」と納得してくれました。
大変な七五三でしたが、写真を見て、義父はものすごく喜んでくれました。
「怖いのはしょうがないから、少しずつでいいからね」と、娘を優しく見守ってくれます。娘も
「今は怖いけど、じいじとお話しできるようになりたい」と少しずつ前向きな姿勢になっています。2人が仲良く遊ぶ日が待ち遠しいです。
(ファンファン福岡公式ライター / きさらぎ)