6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
さまざまな理由で、小学生からスマホを持たせる家庭が増えています。いつから持たせるか、依存しないためにどのようなルールを決めるかなど、保護者が気になることも多いのではないでしょうか。
今回は、小学生のスマホに関する情報をまとめました。ルールや依存以外のトラブルなども知り、いつから持たせるのかを検討しましょう。
スマホはいつから持たせる?小学生の所持率は?
スマホをいつから持たせるかは、家庭によって異なります。小学生だけでなく、未就学児からスマホを所持することもあるようです。
小学生のあいだにスマホを持つ割合は5割近く
株式会社NEXTが2023年に実施した調査によると、小学生のあいだにスマホを持つ割合は49%でした。
上図からもわかる通り、「幼稚園から」と回答した割合は17%で、合わせると全体の66%が中学校入学以前にスマホを持っていることがわかります。
小学生からスマホを持たせる理由
半数以上の家庭で小学生からスマホを持たせていますが、その理由には以下のようなものがあります。
連絡手段として持たせている割合は半数近く、実際に持たせてみて連絡が取りやすくなったり、居場所が確認できて安心できたりと、メリットを実感している保護者は多いようです。
また、年齢が上がるとスマホを持つ子どもも増えるので、周囲に合わせて持たせるケースも少なくありません。
小学生のスマホ所持に関する保護者の本音
小学生のスマホは、保護者が子どもとスムーズに連絡を取れる安心感や、子どもが勉強に活用したり、ITリテラシーを身につけたりすることに活用できたりとメリットも多いです。しかし、反対にスマホを持たせることで、以下のような不安が生じる可能性もあります。
年齢の低いうちからスマホがある生活に慣れると、スマホ依存が心配されます。また、インターネットやSNSの利用がトラブルに発展することも、保護者の不安の種のようです。
【500名の親御さんにアンケート】子供がスマホを利用したことにより受けた影響第1位は?子供のスマホ事情を徹底調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000030879.html)
持たせたら注意!小学生のスマホ依存
紹介した調査結果の通り、小学生がスマホに依存しないか懸念する保護者は多く存在します。スマホ依存になると、子どもにどのような影響が及ぶのでしょうか。
スマホ依存(症)とは
スマホ依存は、スマホに精神的な依存をしてしまう症状です。「スマホが常に手元にないと落ち着かない」「用事もないのに画面を開いてスマホを操作してしまう」といった行動が見られる場合、スマホ依存の可能性があります。
スマホ依存の特徴
スマホ依存に見られる特徴を、より具体的に見てみましょう。子どもが以下に当てはまる行動を取っている場合は、すでにスマホ依存に陥っているかもしれません。
・常にスマホを手元に置いている
・スマホがない状況だとソワソワしてしまう
・スマホの通知を頻繁に確認している
・食事中やお風呂、トイレなどでもスマホを見ている
・会話中にスマホを見てしまう
・起きてすぐにスマホをチェックしている
・スマホの充電が切れるとイライラしたり不安になったりする など
スマホ依存がもたらす影響
常にスマホのことで頭がいっぱいになり、スマホが心のよりどころとなってしまうだけでも問題ですが、スマホ依存は、以下のように心身にも悪影響を与えることもあるため、注意が必要です。
・肩こりや腰痛:長時間前かがみで下を向いてスマホを操作することで、肩や腰に大きな負担がかかる
・ストレートネック:頸椎のカーブがなくなり、首の痛みや頭痛を引き起こす
・眼精疲労、ドライアイ:長時間画面を見ることで目が疲れたり、瞬きの回数が減ってドライアイになったりする
・視力低下:小さな画面を近くで見続けるため、視力が低下する
・猫背、巻き肩:前屈みの姿勢を続けると、基本的な姿勢も悪くなる。見た目がよくないだけでなく、便秘や冷え性、浅い呼吸など、体への負担も大きい
・睡眠障害:脳が刺激を受け続けることで寝付きが悪い、眠りが浅いといった症状が起こる
・メンタルの不調:スマホを長時間使い続けると脳が疲弊し、イライラしやすくなる。また、スマホがないときの不安感が大きくなり、うつ病のような症状を引き起こすこともある
依存度が高まれば高まるほど、心身の不調も大きくなります。
大人も子供も要注意! スマホ依存症の症状と対策(https://tone.ne.jp/column/howtouse/smartphone-addiction-2/)
小学生のスマホは依存症以外のトラブルも…
小学生のうちから長時間スマホを使っていると、依存症になる確率も上がります。また、スマホは依存による症状以外にも、次のようなトラブルの原因になることもあります。
個人情報に関するトラブル
SNSやインターネットを自由に使えるようにしておくと、知らないうちに個人情報を危険に晒してしまうかもしれません。「知らない人とメッセージのやり取りをして、年齢や名前、住んでいる地域を伝えてしまう」「相手に促されてLINEや電話番号を教えてしまう」「SNSに投稿した動画や写真から、地域や学校を特定される」などは、大人になっても起こり得るトラブルの1つです。
課金に関するトラブル
保護者が知らないあいだに、有料アプリをダウンロードしたり、アプリ内で課金アイテムを購入したりしてしまうケースも少なくありません。実際にお金の受け渡しがあるわけではないので、子どもは「お金を使っている」という感覚がないまま課金をしてしまいます。
突然高額な請求が届くといったトラブル以外にも、「保護者のクレジットカード番号を暗記して、少額ではあるが内緒で課金をしていた」という事例もあります。フィルタリングサービスを活用していれば安心かと思いますが、動画サイトで「フィルタリングの突破方法」などの動画をアップロードしているチャンネルもあるため、ルールを徹底する必要があるでしょう。
友人関係に関するトラブル
年齢が上がると、スマホを使って友達とやりとりする機会も増えてきますが、これもトラブルの原因の1つです。「チャットに1人だけ入れてもらえない」「連絡先をブロックされた」など、明らかに仲間はずれにされていると感じる内容だけでなく、「自分以外の友達と遊んでいる写真をSNSに上げていた」「限定公開で特定の人の悪口をいっていた」など、ネット上の情報がトラブルを引き起こすこともあります。
子どもにスマホをいつから持たせる?小学生が一般的?注意点を解説(https://event.rakuten.co.jp/family/story/article/2024/smartphone-when/)
小学生がスマホ依存にならないための工夫やルール例
小学生が、スマホ依存やトラブルで悩まないためには、正しく使えるような工夫や、ルールづくりをすることが大切です。適切なルールを設定しておけば、保護者の安心感も高まるでしょう。
キッズケータイを使わせる
年齢の低い子どもに連絡手段として持たせる場合は、大人と同じスマホではなく、キッズケータイを持たせるのも1つの方法です。通話やメッセージといった最低限の機能を搭載したキッズケータイなら、課金などのトラブルの心配がありません。
また、最近はGPSや防犯ブザー、遠隔操作といった、保護者が子どもと離れていても安心できる機能が充実している機種も増えています。
使用する時間・場所を決める
子どもに自由にスマホを使わせる場合も、使用する時間や場所は必ず決めておきましょう。「○時~○時は使わない」「自室に持ち込まない」といったルールを設定すれば、スマホの使いすぎで夜更かしをすることもなくなります。
中学生、高校生と年齢が上がれば、スマホを使う時間や場所の制限が難しくなることもありますが、小学生のあいだは保護者がメインで管理するものとしておいたほうが、依存やトラブルを回避しやすいでしょう。
ルールが守れなかったらどうするかを相談しておく
決めたルールを守れなかった場合にどうするかも、ルールとともに相談します。「○日間電源を切っておく」「課金額の○%をお小遣いから支払う」など、守れなかったルールに応じたペナルティを設定すると、子どもも「守らなければ」という意識が芽生えます。
しかし、子どもにスマホを持たせる以上、高額な課金や個人情報に関するトラブルのように、ペナルティではどうにもならない事態が起こる可能性もゼロではありません。スマホを自由に使わせる際は、ルールやペナルティを決めると同時に、ネットリテラシーについても改めて理解を深められるよう指導しましょう。
使用制限をかける
課金や危険なサイトへのアクセスを避けるには、フィルタリングをかけることが重要です。フィルタリングはスマホの設定からできますし、セキュリティ対策向けのアプリや、キャリアが提供するサービスを活用するのもおすすめです。
年齢が上がると、子どもは友達とのやり取りやどのようなアプリを使っているかなどを知られたくないと感じるようになります。しかし、小学生のあいだはトラブルが起こらないよう、保護者がスマホの中身を確認できる体制にしておくとより安心です。
「ながらスマホ」をしない
勉強中にスマホを使うと、集中力低下につながります。また、食事中やトイレなど、場所を選ばずスマホを使うのもよいこととはいえません。スマホに関するルールには、「ながらスマホをしない」という項目も入れるとよいです。
家のなかではもちろん、外でも「ながらスマホ」でのトラブルが起こらないようなルールを考えましょう。
アプリインストールや課金は保護者の許可を得る
新しいアプリのインストールは、無料でも保護者の許可を得るようにします。また、課金が必要な場合もまずは保護者に相談し、大人が手続きをすると、金銭面でのトラブルを回避できます。
SNSはさせない/閲覧のみにする
InstagramやXなどのSNSは、友人同士はもちろん、世界中とつながれる可能性があるものです。いろいろな情報が収集できるコンテンツでもありますが、個人情報が危険に晒されたり、友人同士のトラブルを引き起こしたりする可能性を秘めているので、年齢が低いあいだはさせないほうがよいかもしれません。
年齢が上がってきたら、まずは閲覧のみから始め、どのような投稿なら問題ないかを親子で考えましょう。
知らない人とやりとりしない
インターネット上で知らない人と交流することが、深刻なトラブルにつながることもあります。知らない人とはゲームでフレンドにならない、ダイレクトメッセージでやりとりをしないなどのルールも、設けておくと安心です。
なお、SoftBankやイオンモバイルのサイトでは、子どもが安全にスマホを利用するためのルールリストを無料で配布しています。必要な内容をスムーズに決めるのに役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
イオンモバイル|スマホルールを親子で確認!子どもが安心して利用するために大切なことは?(https://aeonmobile.jp/column/important-points-for-children-safe-use-to-smartphone/)
SoftBank|親子で作るスマホルールリスト(https://www.softbank.jp/mobile/special/sumaken/rulelist/)
スマホのルールで保護者が注意したいポイント
小学生のスマホのルールを決める際には、保護者の意向を伝えることも大切です。また、子どもが納得して守れる内容にするには、3つのポイントに注意する必要があります。
年齢に合ったルールを検討する
小学生といっても、1年生と6年生ではスマホを使ってしたいこと、スマホの所持率などが大きく異なります。ルールは一度決めたらずっと同じにするのではなく、定期的に見直して年齢に合わせた内容にしましょう。
たとえば1年生の場合、ゲームや動画の視聴などがメインとなるでしょうが、高学年になれば友達とのメッセージのやり取りや通話、SNSでの情報収集などもしたくなってくる子どもが増えます。
しかし、保護者が聞く耳を持たなければ、隠れてスマホを使ったり、わからないように課金やアプリのインストールをしたりするかもしれません。子どもの意見も聞きながら、都度最適なルールを検討するのは、親子の信頼関係にもつながるでしょう。
子どもが納得できる内容にする
ルールは保護者が一方的に押しつけるのではなく、子どもが納得できる内容にします。「なぜ禁止・制限したいか」という理由も具体的に伝えると、子どももリスクを理解でき、安全に使うためのルールを実践しやすくなります。
子どもがどうしても納得できない内容については、「なぜ納得できないか」「どういう内容なら守れるのか」などをじっくり聞き出すと、保護者の安心と子どもの納得のバランスの取れるルールが見えてきます。
何かあったら相談しやすい関係づくりを忘れない
ルールを守ってトラブルなく使えるのがベストですが、スマホを使う以上「絶対」はありません。万一何かしらのトラブルが起こった場合にも、保護者にすぐに相談できるような関係を日頃から作っておくことも、スマホを持たせるにあたって重要です。
ルールを守らなかったことをいい出せない、友人とのトラブルがあっても相談できないとなると、子どもは「1人で解決しなければ」と心を傷めたり、誤った行動を取ったりしてしまうかもしれません。スマホによるトラブルは中学生、高校生になっても起こり得ることですので、いくつになっても保護者にいろいろな話ができるよう、日頃からコミュニケーションを密に取りましょう。
スマホ依存はさまざまな影響が!小学生のスマホは持たせる前にルール決めを
小学生がスマホを持つ際は、依存をはじめとしたトラブルを回避するためのルールを徹底すると、保護者も安心感が増します。子どものスマホについては家族でじっくり話し合い、「いつから持たせるか」というタイミングも検討しましょう。