子どもの成長をお祝いする七五三。義母が思い出の着物を持ってきてくれましたが問題が。双子の娘に対して一着の着物しかありません! 記念写真は少々荒業になりました…。しかし後日嬉しいサプライズがあったのです。
義母の突然の提案
双子の娘が3歳になり、七五三のお祝いに義両親を呼んで食事会を開いた時の事。神社へのお参りは別日の予定だったので時間は少し遅めの開始。ところが予定よりも早く到着した義父母の手には何やら大きな荷物が…。
「ねぇ、これ〇〇ちゃん達に着せてくれない?」義母が持ってきたのは少々色褪せた着物でした。
「娘や姪っ子達も着た着物なのよ。どう、綺麗に取っておいたでしょう。」嬉しそうに私に見せてくれる義母と義父。ニコニコと笑顔を浮かべながら、私の反応を見ています。
手に取ると、薄緑色に赤い小花が散った可愛らしい着物です。所々シミらしきものもありましたが、袖を通すとあまり目立たず気になりません。
「親戚の子達みんな、この着物を着たのよ。〇〇ちゃん達もぜひ着て写真を撮りましょう」
義母は得意気な表情で着物を娘たちに合わせ始めました。思い出の着物で、祖父母として孫の成長を祝いたい気持ちが伝わってきました。何より髪飾りも足袋も千歳飴さえも持参でやってきた義父母に、私は何も言う事ができません。
撮影会開始
「あの…。一着しかありませんよね」双子の娘の前でわずかな期待を込めて聞いてみます。
「もちろんよ。でも交代で着替えて1人ずつ写真を撮ればいいじゃない」義母は、私の質問の意図は何も感じなかったようで、満面の笑みで答えました。
本当は着物はレンタルして記念写真を撮ろうと思っていました。残念ながらレンタルでは同じデザインの着物は扱っていないらしく、2人の着物写真もお揃いというわけにはいかなかったのですが…。
それでも私としては同じ背丈で同じ顔つきの今だからこそ、1度しかない七五三の記念写真を撮りたかったのです。改めて着物をレンタルして写真を撮りたいなど言い出せず、モヤモヤとした気分のまま、交代で着替えさせられる事に焦れて、おもちゃで遊びだす双子をなだめながら、何とか1人ずつ写真を撮りました。
後日、嬉しいサプライズ
七五三のお祝い後しばらく経ってからの事。嬉しいプレゼントが届きました。主人が嬉しそうに見せてくれた携帯に、お揃いの着物姿の双子が並んで写っています。
「え? これ、どうしたの?」ビックリした私は主人へ種明かしを求めます。
「妹が合成したんだって。上手く出来てるよな~」WEBデザイナーをしている義妹は主人から送られてきた写真を見て、
「やっぱり双子だもん。並んでいる写真の方がいいよね」と2人が並んだ合成写真を作ってくれたそうです。
写真には、同じ着物ですまし顔、千歳飴をもって並んで写っている2人の姿。合成には見えず本当に一緒に撮ったようです。まるでマジックのような義妹の技術に少し驚きつつも私の喜びように、義妹は
「上手くできているでしょう? でもちょっとこの境目が気になって」と納得がいかないのか、素人目には全く気にならない部分を何度も修正してくれました。その度に
「ここ直したんだけどもっと色味を変えた方がいいかな? どう思う?」と、感想を求められるのは困りましたが…。
双子の七五三写真は、時代を反映したデジタル技術によって見事に2人並んだ写真になりました。当時より少し大きくなった娘達も時折その写真を眺めては「自分はこっち」と確認しています。お揃いの着物で笑顔で写っている2人の写真は、家族みんなのお気に入りです。
(ファンファン福岡公式ライター/ハギワラヤヨイ)