私の実家は田畑の多い田舎にあります。2歳の息子にとって広い庭はレジャー施設。私も息子も、年に1~2回の帰省を楽しみにしていました。しかし、年末の帰省で息子の意外な体質が判明し大騒動に…。楽しいはずの帰省が悲劇に変わったエピソードをお話しします。
大歓迎の両親
実家は、わが家から車で約3時間の場所にある、緑豊かな田舎町です。夫は年末年始も仕事のため、私が年末に息子を連れて帰省し3日ほど滞在するのが恒例でした。
私たちはマンション暮らしです。実家の広々とした庭や土いじりのできる畑は、子どもにとって普段と違う経験ができる貴重な場所になります。
両親も息子を大歓迎。お菓子や新しいおもちゃを準備し待っていました。のんびりした田舎の空気や、優しい祖父母を前に息子はご満悦。イヤイヤ期はどこへ行ったのか、キャッキャとはしゃいでいました。
大好きなミーちゃん
息子が特に喜んだのは飼い猫とのふれあいです。
実家にはミーちゃんという、人懐っこい猫がいます。息子は怖がりなので、去年は猫に近づかなかったのですが、2歳ともなれば好奇心マックス。
「首の後ろを優しくなでてあげてね」とアドバイスすると、おそるおそるミーちゃんに触れました。
ミーちゃんは息子の手にすり寄ります。息子の目がキラキラと輝きました。
「かわいいー!」とミーちゃんを撫で続け、
「こっちおいで!」と追いかけ回す始末。ミーちゃんは2歳児の相手に疲れたのでしょう。しばらくして、どこかに隠れてしまいます。
「ミーちゃーんどこぉ? ミーちゃーん!」息子がミーちゃんを探し回る声を聞きながら、私と母は
「息子くん、猫好きみたいだね」と苦笑しました。
しかし、楽しかったのはそこまで。夕方、おもちゃで遊んでいた息子が突然しきりに顔をこすります。
「ママ、目がへんなの」
息子の顔を見てギョッとしました。目は真っ赤に腫れ、鼻は決壊したかのように鼻水があふれています。
息子は猫アレルギーだったのです。
納得できない息子
息子は2歳まで大きなケガも病気もなく、病院には年に数回かかる程度でした。私は初めてのことに焦りましたが、両親はさらに大慌て。
「近所の病院は休診だし、救急車を…」なんて、今にも電話をかけそうです。
息子はアレルギー反応が出ているものの、吐き気や失神といった危ない症状ではありません。アレルギー源と思われる猫から、ひとまず離れることにしました。
車内で息子を着替えさせ、ドラッグストアへ。鼻炎シロップと子ども用目薬を購入します。いつもは何でも
「イヤ! やりたくない!」と言う息子も体の異変を感じたようで、大人しく服用してくれました。
ここから実家に戻るにも、夜も更けていたので当日宿泊できる施設を探します。運良く空いていた近くのビジネスホテルに泊まることにしました。ホテルに着くころ、息子のアレルギー症状は沈静化。元気になった息子が思い出すのは、楽しく遊んだ猫のミーちゃんです。
息子の気持ちは分かるけれど、今後一緒に遊ばせることはできません。
「ヤダ! ミーちゃんと一緒に寝る!」泣き叫ぶ息子をどうにかなだめ寝かしつけました。
翌日、私と息子は自宅マンションへとんぼ返り。田舎でのんびり年を越すはずが、私たちも両親もドタバタな年末になってしましました。
年明け、息子のアレルギーを検査しました。思ったとおり“猫”のアレルギー反応が突出。今後、お泊り帰省は叶いそうにありません。トホホな年末でしたが、ミーちゃんだけは平和そうにコタツで丸くなっていたそうです。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)