子どもを妊娠・出産しても、仕事をセーブしたくなかった私は毎日必死でした。「子育ても仕事もうまく両立させる」そう思っていましたが、実際は子どもの気持ちに寄り添えていなかったのです。そんなワーママが「ママ大好き」の言葉で泣いた話です。
共働きでフルタイム… 頼れる人はいない
私は結婚後も仕事を辞めず、娘2人を出産しても正社員として働き続けました。2人目の育休から半年で復帰して、子育てと仕事を両立させるためバタバタの毎日。
もちろんママになる喜びも大きく「もっとゆっくり子育てしたい」と思ったのも事実です。しかし、仕事をしている自分のことも大好きでした。
夫には
「子育てが落ち着くまでゆっくりしたら?」と、仕事をセーブするように促されましたが、私はどちらもうまく両立させたいと思っていました。とはいえ、どちらの実家も遠方で頼れる人はいません。肝心の夫も朝早く出勤し、帰宅は娘達が寝てからでした。
つまり、朝起こしてから保育園に送るまで、お迎えに行ってから寝かせるまでは全てワンオペ育児だったのです。
「両立できているつもり」 私が見落としていたこと
次女がまだ離乳食を食べていた時期は、食事の準備がとにかく大変でした。大人用の食事を準備できず、お弁当を買って帰るのも日常茶飯事。洗濯物はドラム式洗濯機で乾燥まで、床掃除はお掃除ロボット、洗い物は食洗器と“三種の神器” を駆使していました。
「娘達との時間を大切にしたい」その思いから、できるだけ家事の時短にこだわっていたつもりでした。お迎えが遅くならないよう、仕事量を調整して定時退勤を心がけていたつもりでした。つもり… でした。
次第に「共働きなのに仕事も家事も育児も頑張っている私すごい」と思いあがるようになっていたようです。2歳になった次女が、寂しい思いをしているとも知らずに…。
ある日、保育園にお迎えに行くと次女のクラスの保育士さんに呼び止められました。
「最近お家で何かありましたか? ママと一緒に眠れなくて寂しいって…」と言われたのです。私はその質問の意味が理解できませんでした。だって、毎日一緒に同じ布団で寝ているんですから!
その日の夜も、いつもと変わらず娘達と一緒に布団へ。私はスマホで仕事に関する調べものをしていました。すると背中から
「ママ大好き」の声が 。私の背中を触りながら、ぼそっとつぶやくような声でした。
「ママもだ~いすき!」と振り返った時、嬉しそうに笑う次女の表情を見て、保育園の先生との会話を思い出しました 。
「ママ大好き」は切なくて寂しい言葉
私は無意識のうちに、布団に入ると背中を向けてスマホで調べものをする癖がついていたのです。娘達が眠りにつくまでの時間を有効活用しようと思ったのが始まりでした。ただ、いつからそうしていたのか、娘がどんな顔をしていたのかは思い出せません。
そして毎日のように布団のなかで
「ママ大好き」と言ってくれていたことにも気付きました。そのセリフを言えば私が振り返って
「ママも!」と答えるのを知っていたのでしょう。
娘の気持ちを想像すると、涙が止まりませんでした。保育園の先生に言ったのも「ママは背中を向けて仕事しているから寂しい」と思ったからでしょう。なんでもうまく両立できていると自負していた私でしたが、こんなに寂しい思いをさせていたなんて考えもしませんでした。
それからは、布団に入る前にスマホの電源を切り、眠るまで向かい合って手を握るようにしています。
「ママ大好き」は、目を見て言ってもらう方が嬉しいですからね。
(ファンファン福岡公式ライター / 山本a)