ピュアな子どもの言動は時として… 。わが家には、まわりの人を動物に例えるのが好きな息子がいます。そのネーミングセンスはかなりのもので、いつも息子が例える独特で絶妙な表現を皆で楽しんでいました。そんなある日、ふと「ママは?」と尋ねてみたくなった私。さて、息子の口から出た答えは?
まわりの人を動物に例える息子
今から2年前の話です。小学1年生の息子は、生き物全般が大好きで、愛読書は図鑑のたぐい。学校の友達から生物博士というあだ名で呼ばれていました。
彼は、まわりの人を動物に例えるのが好きで、相手をジッとよく観察し、ポツリと出すその的を得た独特で絶妙な表現で、いつもみなを笑顔にしていました。
趣味のトライアスロンで日焼けした父親を「新種の赤ゴリラ」、運動神経抜群で優しいお姉ちゃんを「よく動くコアラ」と例えたり…。その表現は、本当にそう見えているかのようで、よくサングラスをかけている私の友達のことを「白部分多めのパンダ」とネーミングしたこともありました。
その頃よく言っていた彼の口癖
「ママはウサギみたいにかわいいからだ~いすき!」という言葉を聞くのが私は大好きでした。
「僕を動物に例えると…」
好きなことにいつも夢中な息子ですが、困りごともありました。好きなこと以外はやらないという徹底ぶりで、学校の宿題を何が何でもしないのです。私は、あれやこれやと様々なことを試しました。
「きれいな字だね」と褒めちぎってテンションを上げる作戦、
「宿題は先生とのお約束だから守らなきゃいけないよ」と説教する作戦、おやつ作戦、図書館に連れて行く場所変え作戦、友達と一緒に宿題をしてもらう作戦。
そんな私の努力の甲斐もむなしく、彼は宿題忘れで担任の先生に叱られ、学校の休み時間に監視付きで宿題をやらされるという日々を送っておりました。
この頃、息子は自分のことを
「僕を動物に例えると、ぐうたら猿だね」と表現していました。宿題をしなければならないと理解していながらも、それをどうしてもすることができないジレンマを息子自身抱えていたのでしょう。
「ママは〇〇なウサギ!」
家でも厳しく宿題しなさいという日々が続いたある日… 私が朝食を食卓に並べていると、息子がかわいい表情で私の顔をジッと見つめているではありませんか。私は最近怒ってばかりいたから、今日は口うるさく言わないぞと誓い
「ママを動物に例えると、な~に?」と、私はかわいいウサギを意識し、いつもよりワントーン高めのやさしい声で尋ねました。すると、間髪入れず息子がこう言ったのです。
「ママはウサギはウサギでも、口の端っこに血がついてる方の人食いウサギだよ!!!(半泣き)」
休日のよく晴れた爽やかな朝に似つかわしくない不穏な空気が流れた次の瞬間、大爆笑する声が響き渡りました。
「ギャハハハハハハハ!!! ヒーーーーッ!!!」新種の赤ゴリラ、よく動くコアラのバカ笑い。
あれから2年。心も体も成長した息子は、自分で宿題ができるようになりました。先日一緒におやつを食べている時、久しぶりにあの質問をしてみました。
「ママを動物に例えると、な~に?」
「実験に失敗して、狂暴化してしまったウサギ」とかわいい笑顔で即答する息子。
ママのかわいいウサギ像は何処へやらですが、彼のネーミングセンスはいまだ健在のようです。
(ファンファン福岡公式ライター/原田らむね)