私の仕事の都合で、6歳の娘を隣に住む義母に預けていた時の話です。義母は娘と買い物に出かけました。そこで娘はある物をおねだり。しかし、財布のひもが固い義母は、なかなか買ってくれません。娘が「どうしても欲しいと」泣きながらお願いした理由を知って、私の涙腺は崩壊してしまいました。
倹約家の義母に、娘が本気でおねだり
義母に6歳の娘のお守りを丸1日頼んだある日。義母は娘を連れ、ショッピングモールへ出掛けました。買い物が目的ではなく、あくまでも散歩です。義母はかなりの倹約家で、いくらかわいい孫のためでも、100円の菓子ですらめったに買いません。
私だったら孫には甘くなると思うので、義母の徹底ぶりは本当にすごいと感服します。娘も
「おばあちゃんにおねだりしても、どうせ買ってもらえない」と分かっています。だから一緒に買い物に行っても、あれこれ欲しいと言いません。娘の物分かりの良さに、少し寂しい気がするほどです。
しかしこの日は、いつもと違うことが起こりました。仕事を終えて家に帰ると、真っ先に娘が玄関までやってきます。そして満面の笑みを浮かべて
「お母さん! これプレゼント!」と、白いビニール袋を差し出されました。あまりにも唐突で驚きながらも、ビニール袋の中を見ると… 私が欲しかったキャラクターのコスメケースが入っていました。
「今日は母の日だからね、お母さんが欲しいって言っていたからプレゼントしたの」。そう言って、ニッコリ笑う娘。
「覚えてたの? ありがとう!」とお礼を言いつつ、心の中では、財布のひもが固い義母を娘がどう説得したのか気になりました。
そこで、義母に状況を聞いてみたのです。
娘の優しさに胸打たれた母の日
2人が100円均一ショップへ行くと
「どうしても見たいものがある!」と娘は義母の手を引き、コスメコーナーへ連れて行ったようです。キョロキョロしながら必死に何かを探し、数分後に
「あった!」と手を伸ばしたのが、私にプレゼントしてくれたコスメケースでした。
そして義母に
「これ買って」と懇願したようです。
しかし、義母は甘くありません。100円程度の商品でも、必要と思わない物は買わない主義です。娘は
「どうしても欲しい! お母さんにあげたいもん」と言って、コスメケースを離そうとしません。義母は、本当は自分が欲しくて上手くおねだりしているのだろうと思い、
「そんなもの、何に使うの? いらないよ」と冷たくあしらいました。そして買わずに帰ろうとすると、娘はギャン泣き。結局義母は根負けして、買ってあげたと話してくれました。
帰宅後、本当に私が欲しかった商品だと知った義母は、娘に
「悪いことをしたな」とちょっと落ち込んでいるようでした。一方私は、倹約家の義母におねだりしてまで、娘が私にプレゼントをしたかったんだと思うと、心がキュンとしました。
うれしさをかみしめながら、コスメケースのふたを開けました。すると
「おかあさん、だいすき」と書かれた手紙が入っていました。涙腺崩壊です。子どもは純粋で素直、何事にも真っすぐだと感じました。温かい母の日のプレゼントをありがとう。
(ファンファン福岡公式ライター/伊藤優香)
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