娘と出かけた休日のショッピングモール。いざお昼ご飯をと思った時間は、ランチのピークタイムで私たちは途方に暮れていました。そんな私たちに近づいてきたのは、体の大きなイカツイ男性。何かと思って身構えていた時に男性が私たちにかけた言葉とは…?
大混雑フードコート! 座る席がなくて途方に暮れる
休日に友人と会うため、3歳の娘とショッピングモールに出かけたときのこと。「小さい娘を連れての食事は大変だし、待ち合わせまで時間があるし、お昼はフードコートが混む前に先に食べちゃおう」と思い早めに家を出ました。
しかし、道中で想定外の渋滞に巻き込まれ大幅に時間をロス。到着してすぐにフードコートへ向かうも、すでにそこは大混雑です。出産を控えた友人へ渡す、おさがりの服や子ども用の椅子が入った大きな荷物と重い娘を抱えて立ち尽くしました。
娘に
「ご飯は後にしようか」と言っても、ご飯の時間にウキウキしていた娘は
「やだ! 今食べる!」と反発。お菓子で空腹を紛らわそうとしても、こんな時に限って
「お菓子食べない!」とつっぱねます。
「ねぇ、まだぁ? 食べたい食べたい!」と今にも娘は爆発しそうです。
私も必死に空いている席を探しますが見当たりません。空いた! と思ってもすぐに近くにいる人が座ってしまいます。
怖い! 近づいてくるイカツイ男性
ぐずる娘を抱えながら20分ほどフードコートでウロウロしていた時でした。途方に暮れていた私たちの方へ、体が大きくイカツイ男性が近づいてくるのが見えたのです。20代くらいに見える男性は、工事現場の作業着のようなものを着て、不機嫌そうな顔をしています。
「ここに立ってたら邪魔かも」と思って道の端に寄ったのですが、男性は私たちの方に向きを変えずんずんと近寄ってきます。内心「なになに?! 何か迷惑なことした?!」と心臓が飛び出しそうな私。娘も男性を怖く感じたのか、サッと私の後ろに隠れました。
ピタッと男性が私たちの真横で止まり
「あの…」と話しかけてきます。何を言われるんだろうとドキドキしていると、
「自分たちの席、もう空くので使ってください」と少し恥ずかしそうにしながら言うのです。予想外の優しい言葉に
「いいんですか?!」と思わず声が弾みました。
まだ男性に警戒心のある娘は
「抱っこ」と言うので、しかたなく私が大きな荷物と娘を抱えると、男性は
「荷物持ちます」とサッと重い荷物を持ってくれました。歩きながら
「ずっと気になってたんです。急にこんなのが声かけてすみません…」と申し訳なさそうに言う男性。腰の低い言い方にかなり見た目とのギャップを感じました。
行った先には同じように体の大きい男性が2人。2人とも
「どうぞどうぞ」と笑顔で席を譲ってくれました。私は彼らの優しさに感動し、
「本当にありがとうございます!」とお礼。
さらにありがたいことに男性たちは
「あ、注文してきますか? それまでこの席とっておきますよ。娘さんがよければ一緒に待ってますけど…」と提案してくれました。あいにく娘は私から離れない様子だったので、
「荷物を置いておくので大丈夫です、ありがとうございます」と気遣いの気持ちだけ受け取りました。
男性たちの優しさによって私たちは無事に大混雑のフードコートで席を確保。ご飯にありつけた娘は機嫌も直り、私もホッとしました。どうにもならない状況に泣きたい気持ちでしたが、人の温かさに救われ本当にありがたかったです。その後私たちが使った席は、同じように席を探していた親子に声をかけて譲りました。
(ファンファン福岡公式ライター/K)