福岡市を拠点に活動する女性エンターテインメントユニット「トキヲイキル」(以下、トキイキ)が11月9日(水)~13日(日)、レソラNTT夢天神ホール(福岡市中央区)で舞台「時ヲ生キル」を上演します。先日、本番を間近に控えた稽古場を訪ねてきました。トキイキの5周年記念と銘打った節目の公演は、硬派な内容が多かったこれまでの本公演とは異なり、ファンタジー色を打ち出しながらも観客に優しく寄り添う内容になっていました。
経験積み重ねた5年間の集大成
トキイキは福岡市のアイドルグループ「LinQ(リンク)」の卒業生を中心に2017年に結成し、福岡や東京で主に舞台やライブの公演を続けてきました。舞台では旗揚げ公演の「小さなカフェの片隅から」を皮切りに本公演だけではなく朗読劇やオムニバス劇、メンバーによるプロデュース公演など多彩な公演を重ねてきました。
その間、所属事務所の垣根を超えた人材を集め「劇団トキヲイキル」を結成しトキイキと共に舞台公演の幅を広げてきたほか、他の劇団の公演にメンバーが客演するなど経験を重ねてきました。トキイキとして通算18本目の公演(メンバープロデュース公演含む)となる今回の公演は5年間の集大成。出演者に話を聞きました。
「刺さるせりふある」「ラストの振り付けに注目を」
■原直子さん「トキイキじゃないとできない作品」
(今作は)一人の主人公の成長物語ではなく、トキヲイキルのメンバーが演じる役どころがそれぞれに成長する姿やそれぞれの「気づき」を見ていただける作品です。その中で観客の皆さんに刺さる台詞(せりふ)があると思います。
一人の主演ではなくトキイキのメンバー全員が主演という異例の作品ですが、5年間培われた阿吽(あうん)の呼吸でトキイキらしい、トキイキじゃないとできない作品になっています。
■大庭彩歌さん「振り付けにも注目を」
今回はメンバーが初挑戦した殺陣(たて)も見どころの一つです。ダンスとは勝手が違うので集中して練習を重ねています。この5年で台詞が一番多いのですが、台本をすんなり覚えることができたのは意外でした。今回は振り付けや構成も担当しました。演出の松多壱岱(まつだ・いちだい)さんに任せていただいたことがとても嬉しいです。特にラストシーンの振りに注目してほしいと思っています。
「悩みや苦しみ隠す役」「芝居初めてでも楽しめる」
■岩本琴音さん「表情の『謎解き』楽しんで」
今回は感情の入れ替わりが激しい役どころです。悩みや苦しみを隠している役柄を演じるのは難しかったです。台詞がない場面での表情にも意味を持たせ、「だからあの時ああいう表情だったのだ」と話が進んでいく中で観客が「謎解き」できるような演技を心掛けています。
■桃咲まゆさん「観ればちょっぴり『生きやすく』なる作品」
私は笑って泣ける舞台が好きなのですが、今回は笑えて、グッときて、さらに歌とダンス、殺陣もある作品なので始めて芝居を観る人にも楽しんでいただけると思います。そして舞台を見た人が劇場を出た後に、見ていない人よりちょっぴり「生きやすく」なる、生きるのがより楽しくなるような舞台だと感じています。上演時間は長めですが、それを感じさせない作品です。
「なかなかない平安の人物」「それぞれのキャラクター愛して」
■悠乃さん「こだわりの衣装にも注目を」
平安時代の人物を演じるので話し方に気を付けています。普段はなかなかしない役柄ですし衣装へのこだわりも見どころです。衣装が重く動きも制限されるので指先の所作まで気を配り表現するようにしています。
松多壱岱さんに演出していただくのは小品以外で初舞台だった「四月の霊」以来約2年半ぶりなのですが、今回は他の劇団への客演やそのほかの仕事で培ってきたものを松多さんに発表する場にもなっています。観客の皆さんにも成長を見てもらいたいと思います。
■cheluさん「メンバーの絆を感じてほしい」
今回はトキイキが主演の公演なのですが(メンバーの)原直子さんとWキャストということが嬉しいです。初めて観る人たちにはエンタメとして楽しんでもらえる作品ですが、トキイキを5年間見てきた人たちにはトキイキと劇団トキイキの私たちの関係性や絆も感じてもらえると思います。
演技の上では、非リアルな世界にお客さんに入り込んでもらうために最初のシーンで登場人物の関係性を大切に演じることを心掛けました。それぞれのキャラクターを愛してもらえたら嬉しいです。
「時ヲ生キル」あらすじ
ダメ男ばかり好きになってしまう品川彩。 転職する先々いつもブラック企業の小田原泉。 人気アイドルを目指すもオーディションで必ず失敗してしまう豊橋詩。 結婚こそ女の幸せだと婚活を続けるが、土壇場で逃げられてしまう三島咲。
4人は5年前、バイトで知り合った友人だ。今日は久しぶりに集まり、熱海に旅行に来た。それぞれが抱える問題や悩み、苦しみを相談に乗ってほしいのだが、そこはお年頃の女子たち。なかなか自分から本音を言い出せない。
訪れた神社は樹齢二千年の大木を御神木とした屈指のパワースポットだという。自分たちの問題を解決してもらおうと神頼みで必死にお祈りをする。
「ツイてなさすぎ!」「前世の祟(たた)りかも」「誰か何とかしてよぉー」「神様頼みます、この通り」。4人の心の声はだだ漏れ。それを見た巫女(みこ)見習いの浜松楓は、今の苦しみは昔の因縁が影響していると話し、巫女の掛川吟に「何とかなりませんか?」と聞く。楓自身、かつて吟に救ってもらったことがあるようだ。
吟は少し考えると、「みなさんに質問です。あなたは、イマを変えたいですか?」と聞く。「変えたい!」と答えた4人を御神木の中に案内すると、不思議なことに時代が遡(さかのぼ)り…。
戦国時代の姫君、平安時代の女流歌人、江戸時代の遊女、大正時代の女学生。果たして4人は前世の因縁を解き、イマを生き直すことができるのだろうか?
トキヲイキル5周年記念公演「時ヲ生キル」
日時:11月9日(水)~13日(日)
9日(水)、10日(木)19:00
11日(金)14:00/19:00
12日(土)13:00/18:00
13日(日)12:00/16:30
場所:レソラNTT夢天神ホール(福岡市中央区天神2-5-55 5階)
料金:S席8,000円(お土産付き)、A席5,500円(特典付き)、A席4,500円、B席(特典付き)4,500円、B席3,500円
問い合わせ:ジョブ・ネット
電話:092ー406ー7100
Eメール:tokiwoikiruticket01@masa0211